皆さんは聴導犬ってご存知ですか?
耳が不自由な人の自立や社会参加を助けるために訓練された犬のことです。聴導犬はまだ歴史が浅く、認知度の低さから、なかなかユーザーの数が増えていません。
今記事では、皆さんに知ってもらいたい聴導犬についてのことや、「もし聴導犬とそのユーザーに出会ったらどんな対応をすればいいのか」などをまとめてみました。
この記事の目次
聴導犬のお仕事
聴導犬は、聴覚障がい者(ユーザー)に必要な音を教え、音源へ誘導するよう訓練されています。
日常生活で、私たちはさまざまな「音」を利用して生活しています。それが、もし聴こえないことを想像して見てください。
朝に予定通りの時間に起きることさえ、難しいかもしれません。
聴導犬は、耳の聴こえない人に必要な音を知らせることで、安心して生活を送る手助けをしているのです。
災害時には、安否確認のドアノックなどを知らせて逃げ遅れるのを防いでくれます。
音の例
- チャイムの音
- お湯の沸いたやかんの音
- 目覚まし時計
- 赤ちゃんの泣き声
- 後ろからの自転車のベル
- 車のクラクション など
聴導犬の歴史
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1976年 アメリカで第1号の聴導犬が育成
1981年 日本で育成開始
1982年 イギリスで育成開始
2002年 日本で「身体障害者補助犬法」が施行
最初に始まったアメリカでは1991年までに、19の団体で約3000頭が育成され(実働数とは異なる)、その後は推計でおよそ4000頭が育成されているのではないかと言われています。
日本より一年遅れのイギリスでも、700頭は育成されているようです。
なぜ日本は少ないのか
日本補助犬協会によると、現在日本で実際にユーザーと共に生活している聴導犬はたったの74頭しかいません。
地域によっても偏りがあり、都道府県によっては0頭ということもあります。
この聴導犬の頭数の少なさは、対象ユーザーへの認知度や受容度の低さが問題としてあげられます。
また、1981年当初、日本において聴導犬は高い値段で売られていました。その頃から「聴導犬は高い」というイメージが定着してしまっていると考えられます。
もしかすると、現在のユーザー対象の人の中でも、「高いから買えない」といった認識があるのではないでしょうか。
また、聴導犬は、訓練する人も少ないですが、それ以前にユーザー対象の人の認知や希望が少ないために、なかなか増えないのかもしれません。
どんな犬が適している?
たとえば、目の不自由な人を補助する盲導犬では血統が重視されますが、聴導犬の場合は以下のような適性があれば血統は重視されません。
「音を仲間に知らせる」ことは犬の本能でもあるため、犬種に制約がないという理由があるそうです。
- ストレスに強い
- 人懐こいこと
- 仕事が好き
- 体が健康なこと
- 音に過敏に反応しないこと など
適性さえあればもともとユーザーが飼っていた愛犬を訓練して聴導犬にしたり、保健所などから保護した犬を候補犬に選ぶことができるのが、他の使役犬と大きく異なるところです。
日本では住宅の広さなどの事情から、小型犬が選ばれることが多いようです。
聴導犬とそのユーザーに出会ったら
- 目印はオレンジ色のベスト!
- 聴導犬は、外出時は「お仕事中」です
聴導犬は、オレンジのベストを着てユーザーに連れられているときが「お仕事中」の印です。
そのお仕事は、ユーザーの安全に直接関わる大事なお仕事。
聴導犬には、ユーザーの許可なく触ったり、勝手に餌などを食べさせてはいけません。「可愛いから」「頑張っているから」といった理由であっても、遠慮しましょう。
気をつけること
- 聴導犬には、ユーザーの許可なく触らない。
- 聴導犬ユーザーに話しかける際には、軽く合図をして、正面から話しかける(後ろや横から呼ばれてもわからない)
- 必ず、顔や表情や口元がよく見えるようにする。
- 同時に複数の人が話さないようにする。
- 放送などがあった場合、内容を手話や筆談などで伝える。
- 会議や行事などでは、聴導犬の管理はユーザーができるので、場所だけ手話通訳や要約筆記、目で見てわかる配慮をする。
- 道路を歩く時は聞こえる人が車道側を歩く。(後方の車の音が聞こえないので危険)
- 話しかけたり、餌をあげるのはNG。
まとめ
普段あまり接する機会のない「聴導犬」。74頭でもまだまだ少ないとはいえ、徐々にその数を増やしています。
そのうち、盲導犬のように街で見かけることは珍しくなくなるかもしれませんね。そんなとき、「聴導犬」であることにすぐ気付ければ、何かお手伝いできることも増えるかもしれません。
また、聴導犬のお仕事を必要とする方にまで、その仕事ぶりが広く伝わっていくことを願っています。