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ねこ健康

【獣医師監修】ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患

相澤 啓介 獣医師

ノルウェージャン・フォレスト・キャットは長毛で大型、筋肉質で野性味のある猫種です。モフモフの体には思わず顔を埋めたくなります。

そんなノルウェージャン・フォレスト・キャットですが、猫種ならではのかかりやすい病気がいくつかあるのをご存知でしょうか。
今回の記事では、ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患や日常生活でできる病気の予防などについて、獣医師が詳しく解説します。

なお、猫種の名前が長いので、以降は「ノルウェージャン」と記載します。

ノルウェージャンの基本情報

歴史

ノルウェーを中心に、古くから「スコウガット(森林の猫)」として親しまれてきた猫で、北欧神話にも登場します。
昔のノルウェーの人たちと暮らしていたノルウェージャンは、農場で飼われたり、バイキングの船に一緒に乗ったりして、ネズミの駆除役として活躍しました。

その後、第二次世界大戦の影響で個体数が激減し、一時は絶滅の危機に。
しかし戦後、ノルウェージャンを愛する人たちの力によって、再び個体数を増やすと、1970年代にはヨーロッパの「国際猫協会」に品種登録され、世界中にファンを持つ人気の猫となりました。

身体的特徴

大きめでがっしりとした体つきで、体重は3〜9kgほどです。長くて美しいダブルコートの被毛が特徴的な猫です。

毛色や模様は、ブラック、ホワイトなどの単色や、シルバー、ブラウンが混ざったバイカラー、タビー柄などがいます。季節によって、毛色のトーンが変わることもあるようです。

性格

性格はとても穏やかで、他のペットに対してもフレンドリーです。飼い主さんにも従順で、知らない人や子供と遊ぶのも大好きです。
好奇心が旺盛で賢く、いたずら好きの猫や、簡単な芸を覚えられる猫もいるようです。

ノルウェージャンの好発疾患


慢性腎疾患など一般的に猫に多い疾患の他に、ノルウェージャンには遺伝的に発生しやすい疾患があります。

遺伝子の異常があるからといって必ずしも病気になるわけではありませんが、どんな疾患があり、どんな徴候が見られるのかは、しっかりと把握しておきましょう。

グリコーゲン貯蔵異常(糖原病)

【症状】
筋力の低下、易疲労性、低血糖、昏睡など。
【原因】
糖代謝に関わる酵素の先天性異常により、グリコーゲンが肝臓や筋肉に蓄積する。ノルウェージャンでは遺伝疾患として報告がある。
【備考】
非常に稀な病気で、まだ解明されていないことが多い。

毛球症

【症状】
便秘、食欲不振、嘔吐など。腸閉塞が引き起こされると腹痛、排便困難、便臭の嘔吐物なども見られる。
【原因】
グルーミングによって口から取り込まれた被毛が消化管内で絡まり、閉塞を来たす。
【備考】
毛玉対策用フードや毛玉溶解サプリメントによって毛玉の排泄を促す、あるいは定期的なブラッシングなどによって口に入れる被毛の量を減らすことで予防する。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、体重減少、肥満、嘔吐、下痢、便秘、脱水、昏睡、感染症にかかりやすい、傷が治りにくいなど様々。
【原因】
遺伝的要因(インスリンの分泌が少ないことやインスリンの効果が低いなど)と環境要因(肥満やストレスなど)が相互に関与することで発症する。肥満、老齢、感染症、膵炎などが危険因子となる。
【備考】
猫は元々肉食動物であり、アミノ酸からグルコースを作り出す代謝系が活発である。よって興奮やストレスで血糖値が上昇しやすく、血糖値を上昇させる因子や血糖値を下降させられない因子が関与すると糖尿病になりやすい。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼが遺伝的に欠損することによる溶血性貧血が見られる。常染色体劣性遺伝で伝達されるため、遺伝子変異がある場合は繁殖には供しない。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症および骨硬化症が進行し、造血能は低下していくので注意。

ノルウェージャンの飼育で注意したいこと

ノルウェージャンという猫種だからこそ、日常の中で注意したい点があります。
好発疾患を踏まえて、普段の生活でどんなことに注意すればよいのかを見ていきましょう。

1. 肥満に注意

ノルウェージャンは、元々体の大きな猫種です。それに加えて被毛が長いため、肥満には非常に気付きにくいです。
しっかりとしたカロリー管理と適度な運動によって太りすぎを予防しましょう。

一般的に、被毛の下の皮膚を触ってみて、肋骨が軽く触れるくらいが適正な体型と言われています。
スキンシップの際に定期的に肋骨に触れて、肥満チェックをしてみてください。ただし、あまり強く触ると痛いので注意が必要です。

2. 大きな体でも運動できるスペースを

室内で生活をしていると、簡単に運動不足になります。
特に大きいサイズのノルウェージャンでは、「体を動かす場所がない→脂肪がついてさらに体が大きくなる」という悪循環に陥りやすいです。
大きめのキャットタワーなどを用意し、体を動かせる環境を整えましょう。

3. 季節に合わせた温度調整

元々寒い地方の猫であるノルウェージャンは、暑さに弱い猫種です。
そのため、猫の中でも熱中症にかかりやすいと言われています。

夏場はクーラーなどで室温を下げ、逆に冬場は暖かくなりすぎないようにしましょう。
人間が快適に生活できる温度であれば問題ないと思います。

4. ブラッシングは定期的に

長い被毛は、放置すると簡単に毛玉になってしまいます。
毛玉によって皮膚が引っ張られて痛みを感じると同時に、大きくなっていく毛玉によってだんだんと身動きが取りにくくなっていきます。

また、猫は自身で定期的にグルーミング(毛づくろい)を行うことによって被毛や皮膚の健康を守っています。
その際に長い被毛を飲み込んでしまうことで、毛球症に陥ることもあります。

定期的にブラッシングをしてあげることによって無駄な被毛を除去し、毛玉が大きくなる前に処理してあげることが必要です。
ムダ毛の除去には柔らかいブラシを、毛玉を少し梳かす時にはスリッカーを使用します。

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まとめ


ノルウェージャンとの生活は、特別なことに満ちています。
愛猫が与えてくれるものはかけがえのないものであり、飼い主は愛猫の健康を最大限守らなければなりません。

愛猫との生活が素晴らしいものになることを願っています。何か変わったことがあれば遠慮なく動物病院にご相談ください。

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