犬の幸せとは?マレーシア、クアラルンプールの犬事情から考える

2024.10.14
犬の幸せとは?マレーシア、クアラルンプールの犬事情から考える

クアラルンプールは、外国企業の進出も多く、日本からの移住者も年々増加傾向にある東南アジア有数の近代都市です。多民族国家であるマレーシアでは国民の6割がイスラム教を信仰し、2割ほどの仏教徒、1割ほどのキリスト教徒がいます。

もちろん、そこにも日本とは違う文化のもとで飼われているさまざまな犬たちがいます。今回、クアラルンプールのさまざまな環境で暮らす犬たちを見てきましたが、そこに暮らす犬たちを通じ、「何が犬にとって幸せなのか?」という問いが浮かび上がってきました。

この記事の目次

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クアラルンプールのペット事情

クアラルンプールに到着後、すぐに見えてくるのは、高層ビルの立ち並ぶ街並みです。そこに犬の姿はありません。付近を探してみたのですが、見かけることもありませんでした。

気温が常に高いため、日中は散歩に連れ出さないのかもしれません。しかし、野良犬もいないのでしょうか?もしかすると、犬や猫などのペットを飼っている人が少ないのかもしれません。そこで、まずはクアラルンプールのペット事情を探ります。

ペットショップで犬猫は買えない


ペットショップは、ショッピングモール内にもあり、店内には多様な種類のフードやケアグッズがたくさん並んでいます。その商品の中には日本でおなじみのブランドのものもあります。また、市中にある大きいスーパーマーケットの中にもペットコーナーがあり、こちらでもさまざまな種類の犬猫のフードが陳列されています。

店内は清潔感があり、日本のペットショップと同じような印象です。ただし、犬や猫を売っているスペースはありません。クアラルンプールでは、生体販売をおこなっているペットショップは少ないのだとか。ペットを飼いたい人は動物の保護施設から譲渡してもらうことが多く、ペットショップやブリーダーから直接購入するというのは、少数派のようです。

超高層マンションのソファーでくつろぐ犬


今回、私はクアラルンプールに住む友人宅を拠点としていました。その友人宅は、まるでリゾートホテルのような設備の整った高層マンションでした。発展途上国のイメージがあるマレーシアでしたが、クアラルンプールは多くのビルが立ち並び、とても発展しています。

20階層ほどの棟が4つあり、住人しか入れない中庭には共有の大きなプールやフィットネスジムも完備されています。日本からの移住者や富裕層は、安全面からこのようなマンションに住むことが多いそうです。

そのようなマンションの一室に犬がいました。窓越しに見えるその犬は、部屋の中のソファーでくつろいで寝ています。私が滞在した5日間、その犬は毎日ほぼ同じ姿勢でソファーの上に寝そべっています。散歩中やその帰りにばったり会ったりしないだろうかと考えていましたが、滞在中に外でその犬と出会うことはありませんでした。

住宅街の犬


クアラルンプール中心部から少し離れた住宅街を歩いていると、何度か犬を見かけることがありました。そこで出会う犬たちは総じてリードも首輪もしていません。

林の中にポツンとある民家の前にいた3頭の犬や、小さいお店の前で寝ている犬は、人に対して警戒する様子を見せることはなく、自分で涼しい場所を見つけて寝っ転がってのんびりしています。

飼い主さんがいるのか、野良犬なのか、それとも地域の人たちが世話をしている地域犬と呼ばれる子達なのかは定かではありませんが、彼らは自由にのんびり生活しているように見えます。しかし、自由に暮らしているように見える一方、残念なことに交通事故に遭ってしまう犬も少なくないとのことです。

マレーシアの保護活動

ここまで、都会、高層マンション、郊外の住宅地と、それぞれの場所に暮らす犬たちの様子を見てきましたが、クアラルンプールに保護施設はあるのでしょうか?クアラルンプールでは、ペットショップで犬や猫を飼うことは少ないということでしたので、犬や猫を飼いたいと思った時に現地の人たちがまず出かけるであろう保護施設を見学してきました。

保護施設「SPCA Selangor」


クアラルンプール中心部から車で30分ほどのところにある「SPCA Selangor」は、1985年に創立された動物保護施設です。最近改築したばかりの、とてもきれいな施設でした。掃除も行き届いており、衛生面でも安心です。

子犬たちと触れ合うことができる

開放的な受付を通り、中に入っていくと中庭が見えてきます。中庭に出てみると、この日は広いガラス扉の部屋に5頭の子犬がいました。ここでは、靴を脱いで部屋に入ることができます。実際にその子犬たちと触れ合うことができるのです。子犬たちは見学に来ていた現地の子供と遊んだり、スタッフが餌をあげたりして、ゆったりと暮らしているように見えます。

雑種が多く保護されている

大きなグレートデンも保護されており、エアコンの下で気持ち良さそうに寝ていました。このグレートデンは初対面の私が近づいても警戒する様子はなく、チラっと私を見ただけで、なでている間もずっと寝ていました。

2〜3頭ずつ、壁で仕切られた小部屋がずらっと並んでおり、その中に保護された犬たちが生活しているようです。小型犬はほとんどおらず、中型から大型の雑種が多い印象です。先程のグレートデンもそうですが、中にはゴールデンレトリバーやシェパードなどの犬種も保護されていましたが、メインは雑種でしょうか。

清潔な部屋で管理された生活

SPCA Selangorにいる犬たちは、掃除の行き届いた清潔な部屋で落ち着いた生活を送っているように見えました。

激しくほえ続けるなど、攻撃的な様子の犬はいませんでしたし、犬舎には1頭ずつのプロフィールが掲示されていて、きちんと管理されています。スタッフもたくさんいて、質問すると1頭ずつの性格などをとても丁寧に説明をしてくれました。

保護施設「Paws Animal Welfare Society」


SPCA Selangorだけではなく、比較のため、別の保護施設も見学してみました。

ほえ声が聞こえてくる犬舎

犬舎に近づいていくと、たくさんの犬のほえ声が聞こえてきます。SPCA Selangorとは雰囲気が全く違います。

古めの施設

表現がよくありませんが、サビや汚れが目立つ鉄格子のようなドアに囲われていました。奥へ入っていくと、8平米ほどの犬舎があり、その中に約25頭の犬が保護されていました。

コンクリートの床をフェンスで囲っただけのその犬舎の屋根は、スペースの半分ほどしか覆っていません。犬たちはその中で、日かげに集まって寝ていました。ここは日本ではなく、マレーシアですので、日差しが強いため、日向は暑すぎるのです。

誤解のないように追記しておきますが、施設の奥の方は、1頭ずつの小部屋が並んでいました。たまたまその約25頭は大部屋での日向ぼっこタイムだった可能性はあります。こちらは聞くことができなかったので、どのような意図なのかは詳しく知ることができませんでした。

あまり衛生的ではない施設での生活

犬舎は清掃してあるようでしたが、犬の排せつ物がいくつかそのままになっており、鼻を突く匂いも漂っていました。保護施設といっても、その環境は施設によって大きく違うようです。

犬の幸せとは

白ぶち犬
今回マレーシアで、さまざまな環境の中で暮らしている犬たちに出会うことができました。あくまでも特定のシーンを切り取っただけですが、「それぞれの環境の中で、犬は幸せに暮らしているのだろうか」と考えずにはいられません。そして、どの環境にいる犬が本当に幸せなのかは、なんとも言えないところがあります。

犬がどんな環境で暮らすか、そして犬が幸せであるかには、人間の存在が大きく関わってきます。犬たちとしっかり向き合って、彼らの幸せを考えてあげましょう。

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