中国のペット事情大公開! 一番人気なペットは?

中国のペット事情大公開! 一番人気なペットは?

古代から日本と深い関係を持つ中国ですが、皆さんは中国のペット事情をご存じでしょうか。

中国でも古くから犬や猫が飼われており、現代の生活に溶け込んでいます。しかし、日本とは少し異なる独自の文化も見られます。

今回は、そんな中国におけるペット事情についてご紹介します。

この記事の目次

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中国におけるペットの飼育総数

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近年、中国ではペットを飼う家庭が増えています。2022年には、大都市における飼育率が日本を上回ったというニュースが報じられました(出典)。

報道によると、中国の大都市でのペット飼育率は39.1%で、日本の21.5%を大きく上回っています。ただし、中国国内では地域による差も顕著で、中小都市での飼育率は12.3%にとどまるそうです。

一方、飼育数についての2023年の予測値では、犬は約8,800万頭、猫は約1億頭に達すると見込まれています。人口が多い中国では、犬猫の飼育数はすでに日本の約12倍にのぼります。

中国は1990年代以降の急速な経済成長により、多くの人々が生活にゆとりを持ち、ペットを家族の一員として迎える人が増加しました。また、婚姻数の減少や単身世帯の増加もペットの飼育数を押し上げています。

今後も中国国内でペットの飼育総数は、さらに増加していくと推測できます。

どんな人がペットを飼うのか?

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かつての中国では、ペットを飼うことは非常に贅沢とされ、毛沢東政権下ではペットの飼育自体が禁止されていました。その後、1980年代以降には狂犬病撲滅を理由に、犬の飼育が禁止されていた地域もあったとされています。

しかし、時代の変化や経済成長に伴い、中国ではペットを飼う人が増えています。では、どのような人々がペットを飼い始めているのでしょうか。

若者の間で増加

特に若者の間でペットを飼う人が増加しており、飼い主の約7割が1985年以降に生まれた世代だと言われています。また、高学歴・高収入層が犬や猫を飼うケースも多いようです。

この背景には、経済成長が大きく影響しており、生活に余裕ができたことや、職場でのストレスや孤独感の緩和を目的に、若年層がペットを飼い始めるケースが増えていると考えられています。

高齢者の間でも

若者の飼い主が増える前は、比較的高齢者がペットを飼うことが多かったようです。一人っ子政策の影響で、子どもが独立した後に寂しさを感じた夫婦が、ペットを家族の一員として迎えるケースが見られました。

現在でも、多くの高齢者がペットを家族の一員として迎え、日々の癒しや伴侶として共に暮らしています。

中国で人気のペットとは?

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中国におけるペットの多くは犬と猫が占めています。2021年の統計によると、ペット全体に占める犬の割合は51.7%、猫は59.5%、これに魚類、爬虫類、げっ歯類、鳥類が続きます(出典[PDF])。

小型犬が人気

中国では、農村地帯を除き、屋内でペットを飼う文化が根付いています。そのため、家の中で飼いやすい小型犬、特にトイ・プードルポメラニアンなどが非常に人気です。

高層マンションが立ち並ぶ都市部では、部屋の広さに限りがあり、庭のような遊ばせるスペースもありません。さらに、外に出れば人や車が多く、散歩に適した環境とは言えない場所がほとんどです。

こうした理由から、広いスペースや十分な運動が必要な大型犬よりも、小型犬が好まれる傾向があります。この点は、日本の都市部と共通しています

柴犬も人気

一只正在晒太阳的中华田园犬
中華田園犬(热血小亮, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

2010年代後半頃から、中国でも柴犬の人気が高まっています。中国には柴犬に似た「中華田園犬」という中国原産の犬種がいますが、なぜ柴犬が人気を集めているのでしょうか。

一説には、柴犬の丸い顔や頭、フワフワとした触り心地、愛嬌のある性格が好まれているとされています。一方で、中華田園犬はシャープな顔立ちで、毛が硬くゴワゴワしており、柴犬に比べて警戒心が強い傾向があるようです。

猫の人気も根強い

日本では、2014年に猫の飼育頭数が犬を上回り、ペットの中で最も多く飼われるようになりました。一方、中国でも2021年に猫が初めて犬の数を超えました

中国では、ラグドールやブリティッシュショートヘア、アメリカンショートヘアといった猫種が好まれています。また、中国固有の「中華田園猫」も人気です。これは、日本でいうところの三毛猫やトラ猫のような存在です。

ブームが招く生態系の破壊

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かつての中国では、ペットを飼うこと自体が富裕層にのみ許された贅沢であり、ペットは家族というよりも、どちらかというと「所有物」と見なされることが一般的でした。

そして、日本でも特定の犬種が人気になるペットブームが幾度もありましたが、中国でも同様の現象が見られます。

流行の最先端を追い求める富裕層は、ペットを大量に購入し、ブームが過ぎた犬種を放棄して新しい犬を飼うことを繰り返していたと言われています。

チベタン・マスティフの事例

具体的な例として、チベタン・マスティフが記憶に新しいかもしれません。この犬種は軍用犬としてチンギス・ハーンと共に戦争に赴いたことで知られ、2010年頃には中国で絶大なブームを迎えました。一頭がなんと2億円もの価格で取引されることもあったそうです。

しかし、ブームが過ぎると富裕層は次々にチベタン・マスティフを手放し、新たな人気犬種に興味が移りました。その結果、野生化したチベタン・マスティフが群れを作り、人間や絶滅危惧動物を襲うなど、深刻な社会問題を引き起こしています

犬食文化と人と犬の新しい関係

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また、中国には昔から犬の肉を食べる文化があり、年間約1000万〜1500万頭の犬が食されていると考えられています。しかし、時代とともに犬は「モノ」から「パートナーや家族」へと認識が変わり、現在では中国国内でも犬食に反対する声が高まっています

このような背景から、2020年に中国農業農村省が発表した「食べていい動物リスト」では、初めて犬が除外されました。人間と犬との関係の変化や、海外からの批判も影響し、国を挙げて犬食を禁止する動きが見られています。

まとめ

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今回は、日本と深い関係のある中国のペット事情について簡単にご紹介しました。

ブームによるペットの爆買いや飼育放棄は、現在では減少傾向にあるようです。動物保護団体の活動や、「ペットはモノではなく家族である」という考え方の広まりが、その背景にあると考えられます。

また、若者がペットの飼い主として増加している点は、日本とは少し異なるペット事情と言えるかもしれません。加えて、今後5年間でペットの数が2億1,000万頭に達すると予測される中国は、ペット市場でも大きな注目を集めています。

犬食の禁止に向けた動きも進んでおり、動物保護団体の働きかけを通じて、今後どのようにペット事情が改善されていくのかが注目されます。

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