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いぬ健康

【獣医師監修】ヘルニア以外にも!ダックスフンドの好発疾患と予防法

相澤 啓介 獣医師

ダックスフンドを飼っている方や、これから飼おうと思っている方は、ダックスフンドがかかりやすい病気をご存知ですか?

胴長犬種に多い「椎間板ヘルニア」の他にも、眼の病気や自己免疫疾患などがダックスフンドの好発疾患として知られています。

今回は、ダックスフンドの好発疾患の症状や、飼い主さんに日常生活で注意してほしいことを、獣医師が詳しくご紹介します。

ダックスフンドの歴史と特徴

もともとはアナグマの狩猟犬

ダックスフンドはドイツが原産の犬種で、ドイツ語では「ダックスフント」と呼ばれます。
「ダックス」はドイツ語でアナグマ、「フント」は猟犬という意味を持ちます。

その名の通り、ダックスフンドは古くからアナグマ猟を手伝っていた犬で、短足胴長の体型を活かしてアナグマの巣穴にもぐり込み、アナグマを追い出す役割を担っていました。

3つのサイズがある

ダックスフンドには大きく3つのサイズがあり、大きい順に「スタンダード・ダックスフンド」「ミニチュア・ダックスフンド」「カニヘーン・ダックスフンド」と呼ばれています。

ダックスフンドの飼い方

ダックスフンドは体のサイズの割に活発で運動を好むため、毎日30~40分程度の散歩をさせてあげましょう。

また、もともと狩猟犬なのもあって声が大きいため、吠え癖がついてしまうとご近所に迷惑がかかってしまいます。
そんな時は、防音素材の壁紙を利用するなどの工夫をしましょう。

ダックスフンドの好発疾患

椎間板ヘルニア

【症状】
・患部の痛み
・足を引きずる、歩き方がおかしい
・足の麻痺
・排尿障害
【原因】
遺伝性、慢性的な腰への負担、外傷など。
【備考】
背骨と背骨の間にある椎間板が突出し、脊髄を圧迫する疾患。
内科治療による緩和も可能な場合もあるが、根本的な治療は外科手術による。

進行性網膜萎縮

【症状】
・視力低下
・夜盲症(暗いところでの視力が低下)
・失明
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞の変性。遺伝的なものが多いとされる。
【備考】
早期の病態把握をし、病気と上手に付き合っていく必要がある。

白内障

【症状】
・水晶体の白濁
・視力低下
・失明
【原因】
糖尿病などの代謝性疾患、肥満、緑内障やぶどう膜炎からの続発など。
【備考】
放置すると緑内障やぶどう膜炎、網膜剥離などの眼疾患を続発する可能性がある。
早期に発見し、適切な処置を行う必要がある。

外耳炎

【症状】
・耳介の発赤
・耳の痒み
・耳の臭い
【原因】
耳道内環境の悪化による細菌や真菌の増殖。
【備考】
垂れ耳のダックスフンドは耳の通気性が悪く、耳内環境が悪化しやすい。

免疫介在性溶血性貧血

【症状】
・貧血
・可視粘膜(歯茎など)の蒼白
・黄疸
・尿の色が濃くなる
【原因】
遺伝性
【備考】
気付いた時にはかなり貧血が進行しているケースが多い。

日常生活でできる椎間板ヘルニアの対策

床は滑らないように

腰への負担を軽減するために、まずは床の素材に注意しましょう。
フローリングなどの床材は滑りやすくブレーキが効きにくいため、足腰に負担がかかります。

小さな負担が積み重なって椎間板ヘルニアを発症することもありますので、床にはマットを敷くなどの対策が必要です。

段差をできるだけ小さく

ソファやベッドなどの高いところを上り下りするときにも、腰に負担がかかってしまいます。
なるべく段差を小さくするため、ソファやベッドには犬用の階段などをつけてあげましょう。

爪や足裏の毛は定期的にお手入れを

爪や足裏の毛が伸びていると、歩くときに滑り安くなってしまいます。
特にダックスフンドは足裏の毛が伸びやすいので、定期的にカットすることが大切です。

爪切りが苦手な子は、動物病院やトリミングサロンに相談してみましょう。

抱っこの仕方にも注意

みなさんは愛犬を抱っこするときに、どのような持ち方をしていますか?
頭を上に、お尻を下にした縦向きの抱っこは、実は腰に負担をかけてしまいます

愛犬が自然に立っている姿勢、つまり背骨と地面が水平になるように抱っこするのが正しい持ち方です。

正しい抱っこのしかた
①愛犬の横から抱っこする。正面からの抱っこはNG!
②片手をわきの下に入れ、肩を抱くように持つ。
③もう片方の手を両足の間から差し込み、手のひらで胸を支える。
④愛犬の体全体を自分の胸に付けるようにして、水平に持ち上げる。
⑤下ろす時は、愛犬の四肢が地面に同時に着くように水平に下ろしていく。

視力異常にいち早く気づくために

たまに家具の配置を変えてみる

言葉の話せない動物の視力低下を見抜くのは簡単ではありません。
特に、家の中では家具の位置を覚えているため、視力が弱くても問題なく行動できてしまうのです。

そこで、たまにイスをいつもと違う位置に置いてみたり、ダンボールを床に置いてみたりと、部屋のレイアウトを変えてみましょう。
愛犬が障害物にぶつかってしまった場合、視力が低下している可能性があります

初めての場所に連れて行ってみよう

初めて連れて行く場所で、異常に動きたがらない様子が見られる場合、視力低下のサインかもしれません。
散歩の際にいつもと違うコースに連れて行くなどしてみましょう。

まとめ

今回は、ダックスフンドがかかりやすい病気と、日常生活で気をつけてあげたいことを解説しました。

生き物にとって病気をすることは仕方のないことかもしれません。
病気を完全に防ぐことはできませんが、病気のリスクを抑えるために色々と工夫することはできます。

愛犬の犬種がかかりやすい病気をしっかりと理解し、日頃から対策を徹底してあげましょう。

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