上品な見た目と賢く活発な性格が魅力的なパピヨンは、かつてヨーロッパ貴族に愛されていました。そして現在は、日本国内でも全犬種の中で毎年上位の飼育頭数を誇っています。
この記事では、パピヨンの歴史や性格、飼い方のポイントなどをご紹介していきます。パピヨンを飼っている人も、これから飼ってみたいと思っている人もぜひ参考にしてください。
この記事の目次
パピヨンの歴史
パピヨンはフランスとべルギー原産の犬種で、先祖はスパニエルの一種とされています。16世紀以降、ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットをはじめとするヨーロッパの貴族から愛されるようになり、多くの絵画にもパピヨンが描かれました。
当時は垂れ耳のタイプがほとんどでしたが、まれに立ち耳のパピヨンが生まれ、18世紀末頃からは立ち耳のパピヨンが選択的に繁殖されてきました。
その後、チワワなどとの交配によりサイズも小さくなり、現在のような姿のパピヨンが誕生したとされています。
名前の由来
パピヨン(papillon)はフランス語で「蝶」という意味があり、パピヨンの耳が蝶の羽を開いたような姿であることから名付けられました。
また、垂れ耳のパピヨンはフランス語で「蛾」という意味の「ファーレン(phalene)」と呼ばれており、日本では同じ犬種として認められていますが、別の犬種として扱っている国もあります。
パピヨンの特徴
大きさ
体高は20〜28cm、体重は3〜4.5kgで、超小型犬に分類されます。
オスとメスでサイズに違いはあまりありませんが、オスの方が少しだけ大きい傾向がみられます。
被毛
被毛はシングルコートで長めです。耳と尾にはパピヨンを象徴する長い飾り毛があり、優雅な見た目をしています。
ジャパンケネルクラブでは、白地であれば全ての色が認められるとしており、黒、茶、レモン、セーブルなどの色が組み合わさって二色の「パーティカラー」や三色の「トライカラー」になります。
パピヨンの性格
パピヨンの魅力は外見だけではありません。その愛くるしい性格も人気の理由のひとつです。
すべての人とフレンドリー
人間が大好きで甘え上手なため、小さな子どもから高齢者まで、誰とでも仲良くなれます。
初対面の人や犬にも友好的ですが、警戒心が強い一面もあるため、トラブルにならないよう注意してあげましょう。
知能は高いが従順ではない
賢いことで知られるパピヨンの知能の高さは、全犬種の中でも上位に入ります。
一方で、自己主張が強く、従順さはあまりみられないため、子犬の頃からしっかりとしつけることが大切です。
活発で運動が大好き
パピヨンは小型犬にも関わらず、運動能力に優れ、飼い主と一緒にドッグスポーツを楽しめます。
パピヨンの好発疾患
パピヨンはほかの小型犬と比べると遺伝の病気は少なく、あまり病気になりません。しかし、それでも注意したい疾患があります。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は、膝のお皿にずれが生じて脱臼してしまう疾患で、小型犬によくみられます。先天的な場合と、足に負担がかかることが原因の後天的な場合があります。
立っている状態で膝がカタカタ震えだす、足をかばいながら痛がるなどが見られる場合は、膝蓋骨脱臼の疑いがあります。すぐに病院に連れていきましょう。
眼瞼内反症(逆さまつげ)
まぶたが内側に巻き込んでいる先天的な疾患で、眼球がまつげに刺激されて、角膜や結膜の疾患を引き起こします。
常に涙目になっており、放置すると目ヤニや涙やけなどが見られるようになります。
パピヨンの飼い方のポイント
散歩や運動
1日30分程度の散歩を2回行いましょう。パピヨンは小型犬ですが、体力があり運動好きな子も多いので、長めの散歩が必要です。
ただし、激しい運動を長時間行うと足に負担がかかるため、適度な運動量を守りましょう。
足腰への負担がかからない環境
滑りやすい床や、段差の登り降りは、犬の足に負担がかかります。
床には滑りにくいマットを敷き、犬がソファやベッドに登ることがあるのなら、専用の階段やスロープを設置してあげましょう。
お手入れ
パピヨンはシングルコートで、抜け毛は少なく、トリミングは必要ありません。しかし、長く柔らかい被毛で絡まりやすいため、ブラッシングは毎日してあげると良いです。
また、立ち耳のため、垂れ耳の犬と比べると耳の病気になりにくく、耳のお手入れも頻繁に行う必要はありません。
まとめ
昔から多くの人に愛されてきたパピヨンの魅力は、気品にあふれた見た目だけでなく、フレンドリーで賢く、活発な性格にもあります。
賢いがゆえに、一度甘やかすとわがままになってしまうこともありますが、子犬の頃から正しくしつければ、最高のパートナーになることは間違いないでしょう。
パピヨンを飼っている方も、これから飼おうと思っている方も、ぜひ参考にしてみてください。