「なんだか今日の愛犬の呼吸が速い…」と感じることはないでしょうか?
特に理由がないのにも関わらず呼吸が速い場合は、何かしらの病気が隠れていることがあります。
呼吸数はどこまでが正常でどこからが注意が必要なのか、知っておくことで愛犬の体調悪化の目安にすることができます。
今回は、犬の正常な呼吸数と呼吸が速い際に考えられる病気について、ご紹介します。
この記事の目次
犬の正常な呼吸数
犬の正常な呼吸回数は以下の通りです。
犬の正常な1分間の呼吸数(安静時)
・小型犬:25回前後
・大型犬:15回前後
大型犬は小型犬より少なめで、子犬の場合は上記の回数よりも数回が多くなります。
また、フレンチブルドッグ、パグ、チワワなどの短頭種は、鼻孔や気管が狭いため呼吸の回数が多いです。
運動後、緊張時、暑い時などは上記よりも呼吸の回数が増えますし、特に夏場は体温調節のために少し呼吸が速くなることがあります。
このように犬種や状況によって正常な呼吸数は変化しますが、1つの目安として平常時の呼吸数が30回を超える場合は、呼吸が早くなっていると考えても良いでしょう。
犬の呼吸数の測り方
寝ている間やリラックスしている間など、安静時の1分間の胸の上下運動の回数を測ります。食後や運動後は避けましょう。
胸の上下運動が分かりづらい場合は、鼻先にティッシュペーパーを当てて揺れる回数、または、鼻先に鏡を当てて曇る回数を数える方法もあります。
正確な値を得るためにも、最低30秒の回数をもとに1分間の呼吸数を出してください。
TPRって知っていますか?
動物の体温・心拍数・呼吸数のことをTPRと呼びます。Temperature(体温)、Pulse(脈拍)、Respiration(呼吸)のそれぞれの頭文字を取っています。
獣医師は体の異常の有無を判断する際、この3つの数値を考慮することが多いです。
飼い主さんが愛犬のTPR値を知っておくことで、異変に気付きやすくなります。
先ほど呼吸数についてはご説明したので、以下では、犬の体温と心拍数の目安もご紹介します。
・体温 小型犬:38.5〜39.0℃、大型犬で:7.5~38.5℃
(子犬はこれよりもやや高く、老犬はやや低くなる傾向があります)・心拍数 小型犬:60~80回、大型犬:40~50回ほど
(子犬の場合は成犬の2倍ほどあります)
呼吸が速い時に考えられる病気
犬の呼吸が荒い際に、考えられる病気はたくさんあります。以下では、その中から5つをご紹介します。
気管支炎
ウイルス、寄生虫、ハウスダスト、タバコなどの化学物質、誤飲などが原因で起こる気管支の炎症です。咳や食欲不振が見られ、悪化すると呼吸困難が見られます。
ウイルスが原因の場合は、ワクチンによる予防が可能です。
気管虚脱
気管や気管支が潰れ、呼吸ができなくなる病気です。遺伝や肥満、加齢が原因と考えられており、中高齢犬や小型犬に多く見られます。
興奮後や首輪の状態で引っ張った際などに、ガーガーという喉鳴りが見られ、悪化すると呼吸困難やチアノーゼになります。
肺炎
主にウイルスや細菌感染によって肺胞やその周辺に炎症が起こる病気です。
咳、鼻水、震えなどの症状が見られ、悪化すると呼吸困難を起こし命に関わることがあります。
僧帽弁閉鎖不全症
犬の心臓病で非常に多くみられるのが僧帽弁閉鎖不全症です。心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁が閉じることができなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
シニアの小型犬に多く発症するといわれています。
早期は無症状で、進行すると運動時などの咳、さらに進行すると疲れやすい、痩せる、呼吸困難などを起こし、命に関わることがあります。
熱中症
熱中症とは、体温上昇に伴い、脱水症状やさまざまな臓器の障害、脳や体内組織の酸欠などを引き起こされる病気です。
口を開けたまま苦しそうに速い呼吸をする、吐き気や下痢、元気消失などの症状が見られます。
こんな場合は動物病院を受診しましょう
運動後や暑いなどの理由がないのにも関わらず呼吸が正常値より速いときは、動物病院へ連れていくことをおすすめします。
また、呼吸数が正常値でも以下の様子が見られる場合は、動物病院へ相談しましょう。
- 上を向いて呼吸をしている
- 伏せることができない
- 深い呼吸が続く
- 咳が続く
- 舌の色が青い・白い
まとめ
犬の呼吸数の正常値や計測方法は、知っていて損はないため把握しておくと良いでしょう。
犬の呼吸が速いときに考えられる病気は、呼吸器官や心臓など重大な病気に繋がっている可能性があります。
少しでも違和感を感じたら動物病院に相談することをおすすめします。
日頃から愛犬の健康管理をするためにも、呼吸の観察を気にしてみてくださいね。