みなさんは大型犬にはどんなイメージをお持ちでしょうか。かわいい、かっこいい、迫力がある、元気など、同じ犬でも小型犬や中型犬とはまた違うイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は、大型犬の魅力、そして大型犬ならではの大変さや一緒に暮らす上での注意点等をご紹介します。
この記事の目次
大型犬の定義
ジャパンケンネルクラブ(JKC)では、体高や体重などによる小型・中型・大型犬の明確な基準は設けていません。
一般的には、おおよそ成犬時の体重を基準に以下のように分けられることが多いです。もちろん同じ犬種でもサイズに個体差はありますが、こちらを目安に考えるといいでしょう。
小型犬:10kg未満
中型犬:10kg以上25kg未満
大型犬:25kg以上
大型犬の飼育頭数比率
都心ですと、小型犬に比べると大型犬を街で見かける頻度は少ないですが、実際は各サイズどのくらいの割合なのでしょうか。
「アニコムどうぶつ白書2021」の統計データによる飼育頭数と、その割合は以下の通りです。
サイズ区分 | 頭数 | 割合 |
---|---|---|
小型犬 | 504,337頭 | 83.54% |
中型犬 | 83,389頭 | 83.54% |
大型犬 | 15,975頭 | 2.65% |
合計 | 603,701頭 | – |
参考:アニコムどうぶつ白書2021(犬の品種ランキング(全年齢))
調査対象は全ての飼い犬が対象ではありませんが、やはり圧倒的に大型犬が少ないことがわかりますね。
また、都心は家が小さめということもあり小型犬を飼育する傾向が高く、逆に土地が広い郊外では大型犬が多い傾向があるかもしれません。
人気の大型犬種
大型犬といっても、もちろん多くの犬種がいます。ここでは、大型犬の飼育頭数TOP3をご紹介します。
1位:ゴールデン・レトリーバー
目安体高 オス:56~61cm/メス:51~56cm
2位:ラブラドール・レトリーバー
目安体高 オス:56~57cm/メス:54~56cm
3位:バーニーズ・マウンテン・ドッグ
目安体高 オス:64~70cm/メス:58~66cm
特に1位のゴールデン・レトリーバー、2位のラブラドール・レトリーバーは街でも見かけることが多く、納得の結果でしょう。
3位のバーニーズ・マウンテン・ドッグは街で見かける回数は少ないかもしれませんが、犬種名としてはメジャーで、写真を見ると「この子ね!」となる方も多いのではないでしょうか。
参考:アニコムどうぶつ白書2021(犬の品種ランキング(全年齢))
大型犬の魅力
大型犬の魅力はなんといっても戯れではないでしょうか。大きく頑丈で、いわゆる「ワシャワシャ」と思い切り撫でたり、抱き着くことができます。
また、走ったり、フリスビーなどをしても迫力があり、水が好きな子は水遊びなども特に夏場は楽しみやすいでしょう。
そして、丈夫という点も人によっては魅力を感じるポイントかもしれません。骨が細く小さい小型犬は「小さすぎて心配」という方には、大型犬の大きさが魅力になるでしょう。
大型犬の6つの大変さと注意点
大型犬ならではの良さがある反面、大変さももちろんあります。基本的にはなんでも多く、大きいと思っていただくと良いと思います。
体が大きい分、体力・運動量、食べる量、排泄量、必要なスペースも小型犬に比べると大きいまたは多くなります。
①体力・運動量
犬種や年齢によって必要運動量も変わってきますが、基本的には小型犬と比べると倍以上の運動量が必要になると考えて良いでしょう。
具体的な数値で表すことは難しく、明確な運動時間は決まってはいませんが、目安として成犬では1回のお散歩で、最低でも1時間以上、できれば2時間は確保することが望ましいでしょう。また、運動の内容もただ外を歩くだけでは、犬本来の運動による満足感を満たしにくいです。
なお、その犬種がもともと持った特性、与えられていた役割に近しい運動をする機会を作ることで精神的にも充足感を味わうことができます。ただのお散歩を毎日続けるのではなく、色々な運動の機会を作り、愛犬が楽しんでやれるものを複数見つけてあげられるといいでしょう。時間が確保できない場合は、短い時間でも思いっきり走り回れる環境を作るなど、1日に数回、運動ができる環境を作ってあげることが理想的です。
そして、この運動にしっかりと対応できる飼い主さんの体力や時間も必要になります。
<与えられていた役割と特性に合った運動の例>
ゴールデン・レトリーバー
役割:ガンドッグといい、ハンターが銃で撃ち落とした獲物を見つけ、場所を知らせ、獲物をハンターの元に持ってくる
おすすめの運動:おもちゃの持ってこい遊び、フリスビーラブラドール・レトリーバー
役割:回収犬とも呼ばれるレトリーバーとして、ハンターが銃で撃ち落とした水鳥を泳いで回収し、陸地に持ち帰る
おすすめの運動:おもちゃの持ってこい遊び、フリスビー、水遊びバーニーズ・マウンテン・ドッグ
役割:荷物や牛を牽引したり、牧場で羊や牛を追う
おすすめの運動:ボールやディスクを追いかける
②強い力と必須のトレーニング
成犬ともなると引っ張る力や噛む力などが非常に強くなります。そのため、特に小さなお子さん・ご高齢の方・女性などがリードを持った際に引っ張られ、転倒や引きずりによるケガ、リードを離してしまうことでの脱走の可能性が高くなります。
また、飛びつきや噛まれた場合も同様に人側がケガをする可能性があります。
このようなケガや事故が起きないようにするためにも、お迎えしてからすぐに適切なトレーニングをすることが必要です。後回しにすると、大きなケガや事故に繋がってしまうかもしれません。間違ったトレーニングをすると逆効果ですのでプロのトレーナーの力を借りるのがおすすめです。
③食べる量が多ければ排泄量も多い
食べる量も体重に比例します。食べる量が多ければごはん代もかかり、経済的負担が増します。そして排泄量も多いです。
大型犬の排泄物を見て驚かれる方も多いですが、人と大差ない場合もあります。そして、量が多い分ニオイも気になりやすくなりますので、ニオイ対策も重要です。
④毛量だって多い
しつこいようですが、大型犬は毛量も多くなります。長毛種、ダブルコートの犬種の場合は特にお手入れも大切になります。
抜け毛も多くなりますので、お掃除の頻度が増えたり、お風呂に入った際のドライヤーの時間も長くなります。
⑤サークルのサイズも大きい
ゆったりと過ごすサークルも必要です。サークルのサイズは最低でも体長の倍以上は必要となりますので、ご自宅も十分な広さがあることが求められます。
⑥足腰にかかる負担も大きい
体が大きい分、体を支える四肢にも負担がかかりやすいです。十分な運動と適切なごはんの量で愛犬にとっての適正体重をキープすることが大切です。
また、足腰への負担を軽減するために、床が滑りにくい素材のものにしましょう。
まとめ
大型犬でしか味わえない生活がある一方で、大型犬を迎えるには、小型犬や中型犬以上の覚悟と責任、飼い主さんの体力、経済的な余裕やご自宅の広さなども必要です。当然ですが、しっかりと検討された上で、迎えるか否かの判断をしてください。
もし、大型犬をお迎えされた際には、しっかりとその犬種、愛犬の特性を理解し、愛犬も人も幸せな日々を過ごしてくださいね。