メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手。シーズン中は連日のように彼の活躍が報道され、日本人初のホームラン王と2年連続のMVPを獲得しました。
ところで、MVPの発表時に大谷選手と一緒にメディアに出てきた犬が気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大谷選手が飼っている犬種について解説していきます。ニュースなどを見て少しでも「飼いたい!」と思った方はぜひご一読ください。
この記事の目次
大谷翔平選手が飼っている犬の種類は?
2023年11月17日、大谷選手が2度目のメジャーリーグのMVPに選ばれた際、受賞発表時のアメリカのテレビ局での中継で彼の犬が映り「most valuable puppy(最も価値のある子犬)」と紹介されました。これをきっかけに多くの人の関心が集まったものの、愛好家からは懸念の声が出ています。
この犬は「コーイケルホンディエ」という犬種で、略して「コイケル」とも呼ばれます。日本では飼育頭数が少なく、初めて聞いたという方も多いでしょう。では、コーイケルホンディエとはどのような犬種なのでしょうか。
コーイケルホンディエの歴史
コーイケルホンディエはオランダ原産の犬種で、16世紀頃には鴨猟の手伝いをしていました。その後、貴族の間で人気となり、レンブラントやフェルメールなどの絵画にもしばしば登場しています。
しかし、第二次世界大戦後にはわずか25頭まで減り絶滅の危機に瀕していました。愛好家たちの努力により、徐々に数を増やし、1971年に犬種として公認されました。日本での知名度は低く、年に100頭程度しか登録されていない珍しい犬種です。
コーイケルホンディエという名前には、「鴨猟のおとりの犬」という意味があります。
コーイケルホンディエの特徴
身体的特徴
コーイケルホンディエの体高はオスで40cm程度、メスで38cm程度、体重は9〜14kgで、中型犬に分類されます。
体高と体長がほぼ同じでスマートな体型をしており、垂れた耳もポイントです。
被毛
コーイケルホンディエの被毛は、少し長めでウェーブのかかったダブルコートです。四肢や耳、しっぽなどに飾り毛があり、優雅な見た目も魅力的です。
毛色は、ホワイト地に鮮やかなオレンジレッドのまだら模様をもちます。
性格
コーイケルホンディエは、明るく活発な性格をしており、飼い主に忠実で一緒にいることが大好きです。
他の犬や人にもフレンドリーでおおらかな子が多く、無駄吠えもなく飼いやすいとされていますが、番犬としてはあまり向いていない犬種であるともいえます。
コーイケルホンディエを飼う際のポイント
遺伝性疾患に気を付ける
コーイケルホンディエは一時期絶滅の危機に瀕していたことから、近親交配により遺伝子の多様性が低く遺伝性疾患を発症しやすい犬種とされています。遺伝性疾患は両親がもつ遺伝子を検査することで予防できるため、適切なブリーディングが重要です。
フォンビルブラント病という遺伝病を発症すると、鼻血や歯茎からの出血、怪我をしたときに血が止まりにくいなどの症状が現れます。他にも、コイケル麻痺と呼ばれる遺伝性壊死脊髄障害やセロイド・リポフスチン脳症といった遺伝病にも注意が必要です。
運動量は多い
もともとカモ漁の手伝いをしていたことから、運動が大好きなため、1時間程度の散歩を1日2回行いましょう。
飼い主とのコミュニケーションも大好きなので、ただ散歩をするだけでなく、一緒に遊べる運動も取り入れてあげるのがおすすめです。
犬を飼う前に考えるべきこと
有名人や憧れの人が飼っている犬と同じ犬種を飼いたいと考える人は多くいます。実際、今回の大谷選手の犬が話題になるとともに、ブリーダーやペットショップに問い合わせが殺到しました。
しかし、日本にはコーイケルホンディエを扱っているブリーダーは少なく、予約をしても1、2年はかかるといわれています。その間にブームが過ぎ、予約をしていた人も興味を失ってしまった場合、飼われる予定だった多くの犬の飼い主が不在になってしまいます。
命あるものをお迎えしようとしたときに、ブームや人気に乗っかるのが悪いわけではありません。しかし、その犬種の特性を理解し、最期まで責任をもって飼えるかどうかをしっかり検討した上で飼うことを決めてほしいと思います。
人気になればなるほど不幸な子が増えるかもしれない
コーイケルホンディエは国内だけでなく海外でも飼育数は少なくブリーダーも限られているため、近親交配による遺伝病を抱えた子が生まれてくるのを危惧されています。
現在でもブリーダーにより慎重に繁殖が行われていますが、コーイケルホンディエの需要が増えれば、それだけ悪質なブリーダーも増え、先天的な病気を抱えた状態で生まれてくる子も多くなると考えられます。
不幸な子が生まれてくるのを防ぐためにも、覚悟をもってコーイケルホンディエをお迎えすることが決まったら、適切なブリーディングをしているブリーダーに相談することが大切です。
最後に
コーイケルホンディエはオランダ原産の犬種で、一度は絶滅の危機に瀕しましたが、愛好家の手によって数を増やしてきました。大谷選手が飼育していることで話題となり、多くの注目を集めています。
しかし、ブームは一過性のものに過ぎません。かつて、漫画の影響でシベリアンハスキーの飼育者が激増し社会現象を引き起こしたものの、飼いきれなくなった飼い主が続出し、数年後には動物保護センターに多くのシベリアンハスキーが持ち込まれたという過去があります。
動物を見て「かわいい」と思うのは自然なことですが、もしペットとして飼いたいと思った時は、本当に最期まで飼い続けられるかを自分と向き合ってみてください。