皆さんが飼育中の犬や猫について、「最近、前よりもぽっちゃりしてきた」「おなかの肉が邪魔して崩れた座り方をするようになってきた」と思うことはありませんか?おなかが脂肪で盛り上がっていたり、触ってみて肋骨の位置がわからないのは、肥満の証です。
人間同様、犬や猫のペットも肥満になると、関節の病気や糖尿病などの病気にかかりやすくなってしまいます。肥満を予防するには、ごはんの量と運動量の管理がとても大切です。
そこで、今回は食事のエネルギー量の計算方法からペットの運動量を可視化できるデバイスまで一気にご紹介します。これで、「いちいち計算なんてしていられない」と思っている面倒くさがりの方でも、肥満予防ができるかもしれません。
この記事の目次
適切なごはんの量を求める計算式
運動をすることはもちろん大事ですが、それ以前に、ごはんをあげすぎてしまっては元も子もありません。まずはごはんの適切な量を考えるにあたって、必要なエネルギー量を計算してみましょう。
一日あたりのエネルギー要求量を求める計算式
体重が2kg以上の場合、安静時に必要なエネルギー量は、以下の式で求められます。
安静時のエネルギー要求量(kcal)
体重[kg] × 30 + 70
さらに、一日あたりの必要なエネルギー量は、以下の式で求められます。
一日あたりのエネルギー要求量(kcal)
安静時のエネルギー要求量[kcal] × 係数
このときの「係数」は、成犬や成猫かつ、避妊・去勢済である場合は、以下の数字で計算します。後述しますが、使役犬や幼犬、幼猫、老犬や老猫の場合は、この係数が変わってきます。
犬の場合: 1.6
猫の場合: 1.2
係数は成長段階や活動量によっても異なりますので、病気の場合や幼犬や高齢の場合は最適な係数を得るため、ごはんの量はかかりつけの獣医師にご相談ください。上記の係数については、あくまで健康的であり、避妊・去勢済の成犬や成猫の場合の基準値としてお考えください。
適切な一日あたりの食事量を求める計算式
さらに、与えているペットフードのパッケージに表示されている代謝エネルギーの値を用いて、一日あたりの食事量を計算することができます。
適切な一日あたりの食事量
一日あたりのエネルギー要求量 ÷ ペットフードのパッケージに書かれている100gあたりの代謝エネルギー × 100
適切なごはんの量を具体例で考える
体重が5kgのトイ・プードルの場合
計算式だけ見てみても何やらよくわかりません。では、具体的な数字を使って見ていきましょう。下記は体重が5kgのトイ・プードルを飼育しており、代謝エネルギーが100gあたり344kcalのペットフードを与えている場合の計算結果です。
安静時のエネルギー要求量
5kg × 30 + 70 = 220kcal
一日あたりのエネルギー要求量
220kcal × 1.6 = 352kcal
適切な一日あたりの食事量
352kcal ÷ 344kcal/100g × 100 = 102.325581g
この例からは、このペットフードを与える場合は約102gが、この犬にとって適切なごはんの量ということがわかりました。
なお、これは一日あたりの量であり、一回あたりの量ではありません。一日のうち、朝と夜の二回の食事にしている場合は、一回あたりは半分の約51gを与えるのが適切な量になるということです。
ここまで複雑な計算をしなくても、ほとんどのペットフードには、体重に対して与えるべき量が記載されています。一日に必要なエネルギー量と、あげるべき量を参考にして、ごはんをあげすぎないように気をつけましょう。
おやつはどう考える?
おやつについては、パッケージに限度量の記載がありますので、その量を超えないようにしましょう。
そして、おやつは別腹ではありません。おやつをあげる場合は、その分だけ上記の食事量を減らす必要があります。
また、パッケージに記載されている限度量を守っていても、複数のおやつを限度量まで何種類も与えることは望ましくありません。おやつは一日に必要なエネルギー量の10%前後に留めておくのが理想的でしょう。
犬・猫のエネルギー要求量(PDF)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/4/2/4_88/_pdf
環境省 体調管理について(PDF)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/6.pdf
便利デバイスでペットの管理をしよう
適切な一日あたりの食事量がわかりましたが、この量を減らせば、摂取するエネルギー量も減るため、自然と痩せるでしょう。
しかし、人間も同様、ダイエットをするには食事制限だけでは成り立ちません。犬や猫に適度な運動をさせ、適切なエネルギー消費を促すことで健康的な体型を目指すことができると言えます。
そこで、特に計算式や考え方が難しい運動量の計算をしなくとも、ペットの活動量や運動量の管理ができるデバイスを集めてみました。
食事と運動、どちらの管理も両立させようとすると飼い主の負担も大きくなってしまいますが、これらのデバイスを用いることで手軽に運動の管理をすることができます。管理が楽になることは、飼い主の方にとっても嬉しいことではないでしょうか。
Catlog(キャトログ)
Catlogは首輪状のデバイスで、食事、水飲み、運動、歩行、毛づくろい、睡眠、嘔吐を識別し、24時間365日、常に記録をしています。また、登録された食事量と、変化する消費量のバランスを毎日モニタリングし、愛犬にとって健全な食事量やカロリーバランスのコントロールに役立ちます。
さらに、トイレマット型のヘルスモニターを使うことで、体重、おしっこ量・回数、うんち量・回数を自動で計測できます。
愛猫が今何をしているのか、外出からもリアルタイムの行動を確認できるため、仕事で家にいないことが多い飼い主にとってはとても心強いデバイスです。
Catlog
https://rabo.cat/catlog/
PetVoice(ペットボイス)
PetVoiceも首輪状のデバイスで、犬・猫ともに利用可能です。PetVoiceでは、平均直腸温(推定)、活動量、休息時間、食事回数、毛づくろい量、水飲み回数、トイレ回数と、全部で7つのデータを取得できます。
AIをつかってペットの毎日の行動をモニタリングし、体調の変化を見逃さずに察知することができます。
また、ペットの体調に不安を感じたら、PetVoiceと連携している獣医師に相談が可能です。病院に行くほどでもないけど、心配ごとがあるという場合も気軽に利用できるのがうれしいポイントです。
PetVoice
https://www.petvoice.co.jp/
ITを使って犬の健康管理を
スマートフォンの普及率が格段に上がったこととネットワークが進化したことにより、手持ちのスマートフォンを使い、より手軽に犬や猫の細かな状態を把握できるようになりました。
言葉でコミュニケーションを取ることができない代わりに、こうした便利なデバイスを最大限活用してペットのことをリアルタイムに理解していくことが、現代人の新たなペットとの暮らし方(ライフスタイル)と言えるのかもしれません。
スマートフォンの普及とITの技術の進化に伴い、これから次々とペットの便利デバイスが販売開始されることが予想されます。ウェアラブルなものから身近に使えるものまでたくさん。最先端の技術を使って、ペットの健康寿命を延ばしていきたいですね。