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迷子の早期解決が可能?次世代ペットトラッカーRing Fetch

2020.04.01
迷子の早期解決が可能?次世代ペットトラッカーRing Fetch

皆さんはもしも愛するペットが脱走してしまい、突然どこか遠くへ行ってしまったらどうしますか?家から離れたところに行ってしまった場合、そう簡単に見つけられません。

そんな時、ペットたちの現在地がリアルタイムでわかったら…

インターネット通販サイトのアマゾンは2019年9月、飼い犬の行動を追跡できる「Ring Fetch」を発表しました。

現在でも携帯電話と同じ通信回線やWi-Fi、Bluetoothを用いたペット用の追跡装置はたくさんありますが、Ring Fetchはそれらの装置となにが違うのでしょうか。

今回はシェリー編集部も気になるアマゾンの「Ring Fetch」について詳しく解説していきたいと思います。

この記事の目次

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ペットの追跡装置に使われている技術

ペットの追跡装置には様々な通信技術が使われている
今の時代、さまざまなものが、インターネットと接続されています。みなさんがお持ちのスマートフォンやタブレット端末はもちろん、テレビやデジタルカメラ、スマートスピーカーなどもインターネットと接続されています。

このように、インターネットに接続が可能なさまざまな電子機器のことをIoT(Internet of Things/モノのインターネット)と言います(ここでは、それらのことをIoT機器と呼びます)。

IoT機器をインターネットと接続する上で欠かせない技術が、Wi-FiやBluetooth、GPSといった通信技術です。ペットの追跡装置であるペットトラッカーの場合はBluethoothやGPSが使われていることが多いようです。

ペットの追跡装置に求められる要件

既存の通信技術はペットの追跡装置に最適であるとは言えない
ペットの追跡装置は、首輪にかけたり、洋服に付けたりと様々なタイプがありますが、いずれも軽量であることが求められます

また、ペットが遠くへ行ってしまったときのことを考えると、ペットが遠くにいても、それを検知できなければなりません。同様に、常に電源コードをつけているわけにもいかないですし、迷子中に電源が切れてしまっては意味がありません。最低でもバッテリーが1日は持つような設計をしなくてはなりません。

このように考えていくと、ペットの追跡装置で選択できる技術はとても少なくなってきます。Wi-Fi、Bluethooth、GPSとで比較してみましょう。

Wi-Fi

Wi-Fiは電波の届く範囲が小さく、その通信距離は一般的にルーターから直線距離で50〜100mと言われています。これは家の外に出てしまうと届かなくなることを表しています。

皆さんもWi-Fiがギリギリ届かなくて、接続が悪くなり、イライラしてしまった経験があるのではないでしょうか。

つまり、ペットの追跡装置にはあまり向かない通信技術であることがわかります。

Bluethooth

先程も申しましたが、Bluethoothはワイヤレスイヤホンやワイヤレスマウス等に広く採用されており、主に手持ちのスマートフォンやパソコンと通信する際に使われます。製品にもよりますが、通信範囲も10〜100mほどが限界とされています。

一方で、電源効率が良く、バッテリーの消費量が少ない特性が周辺機器に向くことから、通信範囲の限界を補うため、スマートフォンと組み合わせてよく使われています。

そのため、例えば、室内のペットの活動量(行動量)を計測するような行動範囲が限られるようなIoT機器の場合は、Bluethoothが使われているケースをよく見かけます。

GPS

GPSはカーナビやスマートフォンの位置計測に用いられている技術です。GPSが使用されている状況下であれば、人工衛星との通信を使い、位置を特定できるため、迷子になってしまったペットを発見することを目的とするペットの追跡装置に向いた技術と言えます。

しかし、スマートフォンでずっとGoogleの地図を開いていたことがある方はおわかりだと思いますが、電源効率が悪く、バッテリーが長持ちしません

一方で、バッテリーの容量を増やしてしまうと、今度は軽量化ができなくなるジレンマを抱えており、やはりペットの追跡装置には使うには現状では役不足と言えそうです。

アマゾンが開発した新しい通信技術「Amazon Sidewalk」

ペットの追跡装置に最適なSidewalkという技術をAmazonが開発
ここまで見てきたように、Wi-Fi、Bluethooth、GPSとも、一長一短があり、迷子になってしまったペットを追跡する用途に用いる場合には少し物足りない点がありました。

そこで、Amazonが新しく開発したのが、「Amazon Sidewalk」と言う通信技術です。Amazon Sidewalkは、900Hz(ヘルツ)の電波を使うWi-FiやBluetoothとは異なる全く新しい通信方式です。

特徴は、低消費電力で遠くまで通信ができることです。500mは確実に到達し、見通しが良ければ約1.6kmまで届くと言われています。また、通信仕様がシンプルなため、デバイス自体もローコストとなる一方、通信速度は低速です。

消費電力がとにかく低いため、バッテリーが切れる心配はしなくて良いとも言われています。デバイスにもよりますが、『月』単位ではなく、『年』単位でバッテリーが持つとされています。

Sidewalkの最初の対応機器として登場した「Ring Fetch」

Sidewalkの最初の対応機器はペット用トラッカーのRing Fetch
Ring Fetchは、Amazon Sidewalkの最初の対応機器として発表されたペットの犬用のトラッカーです。従来のペットの追跡装置であるトラッカーよりも、低コストで、遠くまで追跡ができるというのが大きな特徴です。

ペットが設定されたエリアの外へ出てしまったり、遠くまで行って帰ってこない時などに、現在地を確認して迎えに行けるといった使い方を想定しているそうです。

先ほどご紹介したペットの追跡装置に求められる要件を整理すると、以下の3点だと考えます。

  • デバイスが軽量であること
  • 通信範囲が広いこと
  • 省電力であること(バッテリーが長持ちすること)

こうして考えると、Amazon Sidewalkの最初の対応機器として発表されたのがペット用の追跡装置というのは頷けます。

むすびに

待望のRing Fetch、残念ながら日本での販売時期は未定
この「Ring Fetch」、残念ながら日本での販売はまだ未定のようです。

しかし、もし日本でも販売されれば、とても実用的なものとなるでしょう。脱走癖のある犬や人間の社会をあまり知らない野犬出身の保護犬などには特に役立つことでしょう。

また、放し飼いはオススメできませんが、猫を飼っている方にとっても、このような追跡装置の存在は気になるところではないでしょうか。

私たちシェリー編集部でも、日本で発売が開始されたら、すぐに購入してレビューすることを考えています。ペットの生活に役立つ新しい技術や製品が次々と発表されるのはなんとも嬉しいことですね。

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