猫がヒアリと並んで「侵略的外来種ワースト100」に選ばれる理由

2024.09.30
猫がヒアリと並んで「侵略的外来種ワースト100」に選ばれる理由

みなさんにとって、猫とはどのような存在ですか?

「癒し」でしょうか。「大切な家族」でしょうか。

一方、特に鳥類などの小動物にとって、猫はものすごく脅威的な存在となり得ます。中には、猫によって絶滅にまで追いやられてしまった種もあります。

この記事では、猫が生態系に及ぼす被害の実態をご紹介し、猫の飼い主として何ができるかを考えていきましょう。

この記事の目次

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猫が生態系に及ぼす脅威とは?

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猫が鳥類の絶滅の原因!?

アメリカ・ジョージタウン大学のピーター・マラ氏は、ネコはこれまでに63種にも上る脊椎動物(ほとんどが鳥類)の絶滅に関与してきたと言います。

アメリカとカナダでは、年になんと20億以上の動物が猫によって命を奪われているとの報告もあります。また、オーストラリアの研究では、オーストラリア国内で猫が1日に殺す鳥類は100万羽を超え、野生化した猫では年に3億1600万羽、飼い猫でも年に6100万羽の鳥類を殺していると推測されています。

猫は侵略的外来種ワースト100

猫は、世界の「侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。

侵略的外来種ワースト100とは、国際自然保護連合(IUCN)の「種の保全委員会」が定めたリストで、外来種の中でも特に生態系や人間の生活に大きな被害をもたらす生物が選ばれています。リストには、他にもシロアリやヒアリなどが載っています。

IUCNは、猫は鳥などの小動物にとって脅威的な捕食者であるとし、特に、猫のような捕食者がこれまでいなかった離島に人間の飼い猫が持ち込まれたことで、多くの動物が絶滅の危機に追いやられたと説明しています。

なぜ飼い猫が生態系を狂わせるのか

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狩りをし過ぎてもエサに困らないから

「捕食者」である猫と、猫に襲われる鳥などの小動物との関係には、野生の「喰う・喰われる関係」とは決定的に異なる点があります。

野生のライオンとシマウマの関係を例に考えてみましょう。例えば、ライオンの数が増えれば、食べられてしまう数が増えるのでシマウマは徐々に減っていきます。シマウマが減れば、食べ物が少なくなるのでライオンの数が減っていきます。するとまた、シマウマの数が増えていきます。このように、野生の世界では、捕食者が永遠に増え続けたり、被食者が減り続けたりすることはなく、基本的にはある一定の期間内で生態系のバランスがうまく保たれる仕組みになっています。

一方、人間に飼われている猫と、誰にも飼われていない小動物との関係はどうでしょうか。

人間に飼われている猫が増え、彼らが外に出て狩りをすると、小動物は減っていきます。しかし、野生の世界と違って、小動物が減っても猫は一向に食べ物に困りません。なぜなら、猫は人間にエサをもらえるからです。捕食者が減らないので小動物は数を回復することができず、その一部は絶滅にまで追いやられてしまうのです

遊びで小動物を傷つけるから

猫は、食べることが目的ではなくても、遊びで小動物を傷つけたり、殺してしまうことがあります。中には、ご主人(飼い主)に喜んでもらうため、鳥やネズミなどを狩って家に持ち帰ってくる猫もいます。

「怪我くらい大丈夫じゃないの?」と思うかもしれませんが、傷ついて動きが鈍ってしまった動物は、他の天敵に襲われやすくなってしまいます。

猫の飼い主にできることは何か

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猫が生態系を壊してしまわないために、猫の飼い主にはどのようなことができるでしょうか。

飼い猫をなるべく外に出さない

当たり前ですが、飼い猫を外に出さなければ、猫が小動物に危害を加える心配はありません。

室内でもストレスが溜まらないよう、しっかり運動ができるようなキャットタワーを置いたり、ゆっくり日向ぼっこができるスペースを確保してあげるなどの工夫もしてみましょう。

去勢・避妊手術をする

猫を家の外に出す場合や、多頭飼いをしている場合は、去勢・避妊手術をすることで、必要以上に猫が増えてしまうのを防げます。これは猫自身の殺処分数を減らす上でも重要です。

また、猫をあまり家の外に出さない場合、手術をしていないと、発情期の猫は大きなストレスを感じてしまいます。

子猫が生まれるのを望んでいて、生まれた子猫の世話をしっかりできる環境が整っているのであれば手術の必要はないかもしれませんが、そうでない場合はなるべく去勢・避妊手術をしてあげましょう。

飼えなくなった猫を外に捨てない

一度猫を飼い始めても、「猫アレルギーになってしまった」「子猫がたくさん生まれてしまった」「病気や怪我で世話をする余裕がなくなってしまった」など、様々な理由で飼育が困難になってしまうことがあるかもしれません。

そんな時、猫を外に放してしまうと、猫は小動物を狩って生きるようになる上、去勢・避妊手術をしていなければ、その地域で猫が繁殖してしまうということもあり得ます。

野良猫が数を増やして近隣住民を悩ませるという話は決して珍しい話ではありませんし、もちろん被害は人間だけでなく、地域の鳥やトカゲなどの小さな動物たちにも及んでいるでしょう。

猫を飼うときは、最後まで面倒を見るのが鉄則ですが、もしどうしても猫を手放さなければならない状況になった場合は、引き取ってくれる人を探したり、動物保護団体に相談をしてみるようにしましょう。

まとめ

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今回は、猫が生態系に及ぼす影響をご紹介し、猫の飼い主にできることを考えました。

猫は、私たち人間にとってはかわいくて癒される存在かもしれませんが、実は鳥類をはじめとする多くの小動物にとっては脅威となっており、ヒアリと並んで「侵略的外来種ワースト100」にも選ばれていることがわかりました。

猫がここまで生態系を脅かす存在となったのは、猫が人間によって世界中に持ち込まれ、小動物が減っても常にエサをもらえるという大きな特権を手にしたからでした。決して猫だけで生態系を壊すのではなくて、人間に愛されたからこそ猫が脅威となったことを、私たち人間は忘れてはいけません。

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