プラスチック製のレジ袋が有料化された今、「犬のうんちを捨てるためにプラスチック袋をわざわざ購入している」という飼い主さんもいるかもしれません。
せっかくプラスチックを減らそうと社会が動いているこの時代、できれば犬のうんちもプラスチックフリーで処理したいものですよね。
今回の記事では、犬のうんちを捨てる際に、プラスチックなどのゴミを減らすために飼い主さんができることを考えます。
この記事の目次
そもそもプラスチックを減らさないといけないのはなぜ?
プラスチック問題の鍵を握る「マイクロプラスチック」とは?
直径5mm以下の小さなプラスチックの破片のことを、「マイクロプラスチック」と呼びます。
ごみ処理場に行き着かなかったプラスチックごみは、街中の側溝、川から海へと流れ着きます。そして、強い紫外線を浴びると分解され、小さなマイクロプラスチックになります。
通常のプラスチックは、自然界で完全に分解されきることはなく、半永久的に残り続けると考えられています。
マイクロプラスチックは有害なの?
海の小さな生き物がマイクロプラスチックを食べると、食物連鎖を通じて陸上の生物、すなわち私たち人間にも巡ってきます。
マイクロプラスチックは、海水中のさまざまな有害物質とくっつきやすい性質を持っているため、マイクロプラスチックが体内に入るとそれらの有害物質も一緒に取り込んでしまうのです。
オーストラリアの研究グループによる2018年の調査では、日本を含む8か国の人の便が調べられ、全員の便からプラスチックが検出されました。プラスチック問題は、決して他人事ではないことがわかるでしょう。
プラスチック問題は海洋だけでなく、大気にも
これまで、プラスチックの終着点は海洋だと考えられてきました。
しかし近年では、マイクロプラスチックが波しぶきと共に大気中にも放出されることが分かってきています。
放出されたプラスチックは風に乗って世界中を循環し、呼吸を通して私たちの体に取り込まれる可能性が高いのです。
適切に処理すれば問題ない?
「海にプラスチックが流れつかなければいいのだから、きちんとゴミ出しすれば問題ないのでは?」と思うかもしれません。
確かに、ポイ捨てをするよりは正しくゴミ出しをした方がよっぽど良いですが、それで万事解決とはならないのが現実です。
例えば、プラスチックを作る過程・燃やす過程で二酸化炭素が出ますし、ゴミ捨て場などから雨や風、鳥によってプラごみが側溝に流れてしまうこともあります。
また、実は日本のプラごみの多くが途上国に輸出されており、そこで適切な処理ができずに海に流れてしまうことも少なくありません。
「生分解性」「バイオプラスチック」は本当に地球に優しい?
最近、「生分解性プラスチック」や「バイオプラスチック」などと呼ばれるプラスチックを目にする機会が増えました。
「なんとなく地球に良さそう」と感じてしまいますが、実際のところはどうなのでしょうか?
「生分解性プラスチック」と「バイオプラスチック」の違い
- 生分解性プラスチック
自然界の微生物によって分解しきれるプラスチック(通常のプラスチックは分解しきれないため半永久的に残る)の総称 - バイオプラスチック
サトウキビなど、植物由来のプラスチック(通常のプラスチックは石油由来)の総称
生分解性プラスチックやバイオプラスチックと呼ばれるものの中には、「植物由来かつ生分解性のプラスチック」もあれば、「植物由来だけど分解されないプラスチック」や「分解されるけど石油由来のプラスチック」もあります。
生分解性でも分解には時間がかかることに注意
生分解性プラスチックは、確かに実験では微生物によって分解できるとされましたが、自然界ではそう簡単にはいきません。
温度や微生物の数などの環境条件によって、完全に分解されなかったり、すごく長い年月がかかってしまうこともあります。
特に、海中ではスムーズに分解されないとの見方もあり、過度な期待はできません。
犬のうんち、どうやって処理する?
プラスチックの使用量を減らし、ゴミになるうんちの量を減らすためには、私たちは犬のうんちをどのように処理したら良いのでしょうか?
「生分解性プラスチック」での代用は良い選択?
最近、犬のうんち処理袋として、生分解性のものが「エコ製品」として販売されています。
確かに、生分解性プラスチックやバイオプラスチックは通常のプラスチックよりは環境に優しい製品です。
しかし、先ほどもお伝えした通り、これらのプラスチックにも限界があるのが現実です。
生分解性だからと言って100%無害とは言えないことを理解しておきましょう。
紙で代用する
欧米では、プラスチックの代わりに紙でできた処理袋が出回っています。
日本ではまだあまり見かけませんが、代わりに要らない新聞紙や広告などで簡単に作ることもできます。
新聞紙は異臭を吸収してくれるので、臭いも気になりにくいのが特徴です。
コンポストを使う
コンポストとは、生ゴミや落ち葉などを堆肥化させる容器のことです。
土と一緒に分解を助ける微生物などを入れることで、自然界よりはるかに早く分解・発酵が進むのです。
コンポストで堆肥化することで、ゴミとして燃やされるうんちの量を減らせます。
ただし、コンポストを使ったとしても、病原体が残る可能性があるので、できた堆肥は野菜などに使うのではなく、プランターで育てる観賞用の草花などに使用するのが望ましいでしょう。
トイレに流す
コンポスト同様、トイレに流すことでゴミになるうんちの量が減り、正しい下水処理を経て堆肥として再利用されます。
ただし、自治体によって、犬のうんちをトイレに流せるところと流せないところがあります。自分の住んでいる地域の規定を確認してみましょう。
なお、トイレに流せるとしても、うんちに付着した小石などが排水管を傷つけることがあるので、なるべく取り除くようにしましょう。
室内でうんちをさせた方がエコ?
コンポストに入れるにしても、トイレに流すにしても、散歩中にうんちを拾ってから家に持ち帰る間、何かしらの容器が必要になりますよね。
紙で代用して使用済みの紙は捨てる、水に流せるタイプのビニール袋を使う、トイレットペーパーで拾って外袋を使い回す…など、色々な方法があります。
しかし、結局どの方法でもゴミが増えることに違いはありません。
プラスチックを含めたゴミを減らすには、犬にはなるべく室内でうんちをしてもらうようしつけるのが望ましいでしょう。
まとめ
今回は、プラスチックを含めたゴミの量を減らすために、私たちにできる最適な犬のうんちの処理方法について考えました。
社会が脱プラスチック、ゴミの削減に向かっている今、犬の飼い主のみなさんも、犬との生活の中でできることを考えてみてはいかがでしょうか。
これからのペットの飼い主さんたちには、犬の健康や公衆衛生だけでなく、地球環境に配慮する責任も求められるようになるでしょう。