子犬が遊んでいると噛み付いてくる。シェットランド・シープドッグ(愛称:シェルティ)が自転車に吠える。ラブラドール・レトリバーがスリッパを咥える。
一見すると困った行動だと感じるかもしれませんが、これらは犬としては自然な行動です。
しかし、飼い主が「うちの犬は困った子だ」と思って、愛犬に「ダメダメ!」と叱ってばかりで関係性が悪くなってしまうケースがよくあるのです。
これは、私たち飼い主が犬はどのような行動をする動物なのかを知っていれば、どんな状況下でも落ち着いて対応でき、愛犬の行動を受容することもできます。
子犬らしい行動とは?その犬種らしい行動とは?
今回、「犬の幸せと自然な行動」をテーマにスウェーデン在住のカリスマ動物ライターがオンラインセミナーを行います。
今回はその中からほんの一部ですが切り取ってご紹介します。犬と飼い主が楽しく幸せに暮らすために、私たち飼い主ができることを学んでいきましょう。
この記事の目次
動物福祉先進国から学ぶセミナー
北欧は人間の福祉だけでなく、動物の福祉も先進国と言われています。
スウェーデン在住の動物ライターである藤田りか子氏がオンラインセミナーを開催し、犬が犬らしく幸せに生きるためにはどうあるべきなのかを、リアルな北欧のドッグライフを紹介しつつわかりやすく教えてくれます。
この記事を見て興味を持って頂けたら、ぜひこの機会に犬という動物について理解を深め、愛犬をもっと幸せにするためには何をしてあげたらよいのかを学んでみてはいかがでしょうか。
「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」
子犬らしい行動
子犬は筋力や脳など身体が成長途中であるため、子犬特有の行動が見られます。
子犬特有の行動は通常、成長とともに緩和されていきます。しかし、飼い主の対応によってはその行動が酷くなったり、成犬になっても癖のように続いてしまう場合もあります。子犬の成長過程から出てくる自然な行動にはどのようなものがあるのかを理解し、大らかな気持ちで対応してあげましょう。
例1)遊んでいると噛みつく
子犬の視点で見ると、人間の手や足は自分の目の前に現れた不規則な動きをするおもちゃのような物体です。そのため、興味を持ってジャレついたり遊んだりしたい気持ちが湧き起こります。
そして、噛み付いてみると「痛い!」と甲高い声がしたり、さらに激しく不規則に動き出したりするものですから、子犬はさらに楽しくなって噛むようになるのです。
【対策】
子犬は動くものに興味を持って噛むものだということを頭に置きましょう。子犬の前ではゆっくり動くように心がけ、声を出したりバタバタ動いたりしないことが重要です。噛まれても痛くないように厚手の靴下を履き、大きな声を出さないように気をつけましょう。
例2)あちこちにオシッコする
子犬は、興奮したり、運動したり、寝起きのときなどはオシッコをしたくなります。しかし、筋肉が未熟なため、オシッコを我慢したり排泄タイミングをうまくコントロールすることができません。
そのため、トイレまで歩いて行けずに、その場ですぐに排泄してしまいます。
【対策】
こまめにトイレの場所まで誘導し、排泄できたら褒めてあげて、トイレの上で排泄をするようトレーニングしてあげましょう。筋力の成長とともに自分で歩いてトイレまで行って排泄できるようになります。また、男の子の場合、生後5ヶ月を過ぎたぐらいからは、通常の排泄行動とは別にマーキングとしてオシッコをする行動も出てきます。
これは男性ホルモンに影響された行動ですので、早めに去勢をすることでなくなることがほとんどですが、去勢のタイミングが遅くなると、マーキング行動が習慣になってしまい去勢後も残ってしまう場合もあります。
例3)散歩中に葉っぱを食べる
子犬は好奇心が旺盛ですので、散歩中にさまざまな物に興味を持ちます。
そして、興味を持ったものの匂いを嗅いだりかじってみたりして情報を収集します。世の中にはいろいろな葉っぱが存在して、こんな匂いとこんな味がするのだと知っていくのです。
なお、犬の胃酸は強酸性で人間の胃酸と比べてかなり強い殺菌力があります。多少の葉っぱを食べてもお腹を壊したりすることはまずありません。農薬など有害物質がついている危険性がなければ自由に咥えたりかじったりさせてあげましょう。
【対策】
植物の中には犬にとって毒になり得るものもあるため(例:チューリップ、アジサイなど)、それらに気をつけた上で、なるべく自由に行動させましょう。
どの植物が安全で、どの植物が危険かは、飼い主さんがしっかり判断できるようにしましょう。
シェルティの犬種らしい行動
シェルティは、イギリス北部スコットランド原産の牧羊犬です。広い牧場を走り回り、羊を管理したり、野生動物が牧場に入って来ないように警戒するなどの仕事をするために作られました。そのため牧羊犬特有の行動がよく見られます。
例1)自転車に吠える
牧場への侵入者などに吠えて追い立てる仕事をしていたため、散歩中に素早く走り去る自転車やバイクなどに反応して興奮して吠えることがあります。
車輪をめがけて追いかけて行ってしまうと、交通事故にあってしまう恐れがあるので注意しましょう。
【対策】
普段の生活から、名前を呼んだらこちらを見るアイコンタクトやお座りなどのトレーニングをしっかり行います。
散歩中に自転車に興奮して吠えても、すぐに名前を呼んでこちらに意識を戻して落ち着かせるようにしましょう。
例2)子供を追いかける
子供が複数人数で遊んで走り回っていると、牧羊犬の本能が刺激されて追いかけてしまうことがあります。その本能とは、群れから外れてしまいそうになった羊を追いかけて群れに戻し、動きを管理しようとするものです。
牧羊犬としてはとても良い行動なのですが、街中で子供を追いかけてしまうのは困ってしまいますよね。
【対策】
追いかけたくなる衝動を抑えるトレーニングを普段の生活の中でも繰り返し行い、衝動的に動かないように少しずつ改善させてあげましょう。
例3)ドッグランで柵沿いにひたすら走る
飼い主としてはドッグランに連れて来たら犬同士で遊んで欲しいかもしれませんが、シェルティは犬同士の遊びよりも、牧場を走り回るようにドッグランの柵沿いを走ったり犬たちに吠えて追い立てる行動が出やすい犬種です。
【対策】
そういう仕事のために作られた犬種であることを理解し、走り回ってエネルギー発散させてあげましょう。
ラブラドール・レトリバーの犬種らしい行動
ラブラドール・レトリバーは、ニューファンドランド島(カナダ)原産の狩猟犬で、獲物を回収する仕事をしていました。網にかかった魚を咥えて陸にいる漁師のもとに運んできたり、打ち落とした鳥を見つけ出して咥えてきたりする役割をしていました。
性格は基本的に、人に対してフレンドリーで、人の指示を聞いたりコミュニケーションを取ることが好きな犬種です。
例1)スリッパを咥える
魚や鳥を咥えて人のもとへ運んでくる仕事をしていたため、丸みを帯びたものを咥えて嬉しそうに人のもとに持ってくることがよくあります。現代の自宅内ではスリッパが恰好の回収物となりがちです。
【対策】
普段からロープやボールなど、噛んでも良いものを投げて遊んであげ、回収欲を満たしてあげましょう。
例2)水たまりで寝転ぶ
水が大好きな犬種ですので、水浴びをしたり泳いだりすることに喜びを感じる犬が多いです。そのため、雨上がりの水たまりなどに積極的に入ったり、寝転がって泥だらけになってしまうこともよくあります。
【対策】
そういった行動をしがちな犬種であることを理解し、水たまりに入ってもらいたくない場合は、水たまりを回避しながら散歩するなどして防止しましょう。
犬が犬らしく暮らすためには犬の自然な行動への理解が必要
犬として自然な行動をしている時、犬はイキイキしていますし、欲求が満たされて充実感や幸せを感じるものです。しかし、それらの行動を叱ったりして一方的に止めさせるだけでは犬はストレスを溜めてしまいます。
日本においては愛犬を連れて狩りに行ったりすることは簡単にできません。日常生活で犬らしい行動の欲求を満たしてあげるためにはどうしたらよいのでしょうか?ぜひ、この機会に考えてみてください。
もっと詳しく知りたい!そう思った方は、ぜひこちらのオンラインセミナーにご参加ください。
「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」