犬や猫を飼いたいと思った時、「チワワがいい!」「アメリカンショートヘアがいい!」などと、特定の犬種や猫種を思い浮かべるでしょうか?
中には、「雑種の方が体が強そう」「マルチーズとプードルのミックスがいい!」という人もいます。
ところで、「純血種」や「雑種」について、きちんと理解していますか?何も知らないと、遺伝的な問題を抱えていたり、成長した姿が予想と違ったときなどに、「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるかもしれません。
今回の記事では、純血種と雑種のメリットやデメリットについてご紹介します。新しくペットを飼おうと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
純血種の特徴
純血種とは、同じ品種の動物から生まれた動物のことで、いわゆる「血統書付き」の犬や猫はすべて純血種です。
純血種というと昔から存在する犬種や猫種だと思いがちですが、その動物が持つ特徴を強調させたり、ほかの品種を交配したりすることで人為的に作り出されたものも多く、20年余りの歴史しかない猫の純血種もいます。
なお、品種によっては特徴そのものが疾患である場合もあり、問題視されている一面もあります。
純血種のメリット
純血種は同じような遺伝子を持ったもの同士を交配させているため、姿や形が似たようなものになります。
成犬・成猫になってからの大きさや、被毛の長さ、量などが大まかにわかるため、実際に飼育したときのギャップは小さいでしょう。
また、環境やしつけの影響はありつつも、あまり吠えない、甘えん坊などのような性格も、純血種であれば予測がしやすいです。
純血種のデメリット
純血種は近い遺伝子をもつ動物を繰り返し交配することから、遺伝的な疾患を持つケースがあり、特定の病気にかかりやすくなります。
また、両親が発症していないからといって、その子供が元気に生まれてくるとは限りません。両親に発症していなくても、病気の遺伝子をもつキャリアの場合は、その子どもに発症してしまう可能性があります。
特定の品種に好発する疾患について、ブルドッグとスコティッシュ・フォールドを例に見ていきましょう。
ブルドッグの場合
ブルドッグは人間が作為的に作り上げて現在のような姿になったため、遺伝子の多様性が低く、遺伝子疾患に罹患する可能性が高まっています。
かわいらしいつぶれた顔は呼吸器疾患を引き起こし、生まれつき問題がある骨格により自然分娩ができず、ほとんどのブルドッグが人工授精と帝王切開により生まれています。
スコティッシュ・フォールドの場合
スコテッシュ・フォールドは折れ耳が人気の猫種ですが、この折れ耳は骨軟骨異形成症という病気の一種です。有効な治療法はないため、発症したら一生付き合っていかなければいけません。SNSで見かける「スコ座り」は、骨軟骨異形成症により関節が痛むために足を前に投げ出しているとも言われてます。
なお、折れ耳同士のスコティッシュ・フォールドを交配させると発症しやすいため、最近では折れ耳同士のスコテッシュ・フォールドの交配は原則禁止とされています。
雑種の特徴
雑種は、複数の品種の交配によって生まれた動物です。
雑種のメリット
雑種は純血種と比べて遺伝的に多様であり、その品種に特異的に発症しやすい病気にかかる可能性が低くなります。
だからと言って、雑種が遺伝子的に強いとは一概には言えません。遺伝的な病気は両親が持つ遺伝子に大きく影響されます。両親がそれぞれ異なる純血種であっても、両親の病気を受け継いでしまうこともあるからです。
雑種のデメリット
雑種の一番のデメリットは、成長した後の姿が予測できないことです。体の大きさや性質などはある程度両親の遺伝子に依存しますが、雑種の場合は、予想外に大きくなってしまったり、期待していた顔つきと違う姿になってしまうこともあります。
ミックス犬と雑種は違う?
最近はよく「ミックス」という表現を聞くことがありますが、これは、純血種同士を意図的にかけ合わせた一代目の犬・猫のことで、雑種とは厳密には意味が異なります。ミックスの場合は、親犬・親猫が血統書付きで、ミックスの子供世代以降はすべて雑種に分類されます。
「ハーフ犬」や「ハイブリッド犬」などと呼ばれることもあります。
代表的なミックス犬は以下の通りです。
- マルプー(マルチーズ×プードル)
- チワマル(チワワ×マルチーズ)
- チワプー(チワワ×プードル)
- チワックス(チワワ×ミニチュアダックスフンド)
- マルペキ(マルチーズ×ペキニーズ)
ミックス犬は両親の特徴を受け継ぐため、被毛が抜けにくかったり、クリクリしたかわいらしい目をもったりと、今までにいなかった特徴をもつ犬を生み出すことができます。
しかし、それぞれの犬の欠点を受け継いでしまうこともあり、興味本位で安易にミックスするのは避けた方がいいでしょう。
まとめ
純血種は外見上のブレがあまりないため、お目当ての見た目や性格のペットを飼いたいという人にとってはおすすめです。しかし、近い遺伝子の交配を繰り返すことにより、遺伝的な病気にかかりやすくなってしまうことは頭に入れておきましょう。
もちろん、純血種は悪だ、雑種を飼うべきだなどと言うつもりはありません。しかし、それぞれのメリットやデメリットを理解することで、飼育環境の改善や、定期的な健康診断を意識的に行うようにしましょう。
純血種や雑種に関わらず、飼っているもしくはこれから飼おうと思っているペットのために、どのようなことに気をつけるべきなのかをしっかり勉強して、愛するペットが幸せに過ごせるようにしてあげてください。