大きくておっとりした姿のセント・バーナード。日本では日常的に見かける犬種ではありませんが、一部の人からは熱狂的に愛されています。
アニメなどにも登場するため、姿はわかるけど、ちょっと大きいし近づきがたいと感じる人もいるかもしれません。
では、実際にはセント・バーナードはどのような性格で、どのような特徴があるのでしょうか。今回はセント・バーナードという犬種について解説していきます。
この記事の目次
セント・バーナードの歴史
セント・バーナードはスイス原産の犬種です。2世紀頃にローマ帝国からやってきた犬が起源であると考えられており、当時は番犬として飼われていました。
17世紀頃になると、イタリアとスペインの国境にあるアルプス山中の修道院で、遭難救助犬として活躍したセント・バーナードの祖先は、20世紀までに2,000人以上の遭難者を救ってきました。
その後、近親交配が原因で重い遺伝性疾患にかかる犬が多く、絶滅の危機に瀕してしまったため、19世紀にイギリスのニューファンドランドと交配させて種を存続させ、現在のような姿になりました。
「セント・バーナード」という名は、アルプス山中にあったグラン・サン・ベルナール修道院に由来します。
首から樽をぶら下げている?
首から樽をぶらさげたセント・バーナードの姿を見たことがある方もいるかもしれません。
樽の中にはラムやブランデーなどのアルコール度数の高いお酒が入っており、極寒の山中で遭難した人の体温を上げるためにアルコールを与えていたとされています。
イギリスの有名な動物画家のランドシーアが、セント・バーナードの原種であるアルパイン・マスティフの首に樽をぶら下げた絵を描いたことから、広く知られるようになりした。
ランドシーアが描いた絵画はこちら
『Alpine Mastiffs Reanimating a Distressed Traveler, 1820』(オーストラリア国立美術館)
https://www.nga.gov/collection/art-object-page.220510.html
セント・バーナードの特徴
体の特徴
セント・バーナードの標準的な体高は、オスで70〜90cm、メスで60〜65cmです。体重は少なくとも50kgはあり、個体によっては100kgを超えることもある超大型犬です。
骨格はがっしりしており、筋肉質です。
被毛の特徴
被毛は、短毛のスムースコートと長毛のラフコートの2種類があり、どちらもアルプス山中の寒さにも耐えられるダブルコートです。
多少の色味の違いはありますが、多くのセント・バーナードが白地に赤茶色のまだら模様をしています。
性格
性格は温和でおっとりしていますが、繊細で警戒心の強い一面も見せます。また、飼い主にはとても従順ですが、マイペースで興味のないことは無関心のため、トレーニングに苦労する場合もあります。
基本的には攻撃性はありませんが、体が大きく力も強いため、興奮してしまうと手がつけられなくなってしまうこともあります。飼い主さんがコントロールできるよう、小さい頃からしっかりしつけをしましょう。
アニメや映画に登場するセント・バーナード
セント・バーナードは、そのおっとりした性格や大きくがっしりした体格からか、アニメや映画にもよく登場します。ここでは、アニメや映画に登場するセント・バーナードをご紹介します。
アルプスの少女ハイジのヨーゼフ
ヨーゼフはハイジのおじいさんが飼っている大きなセント・バーナードです。
普段は寝ていることが多いですが、ハイジやおじいさんがピンチになると助けてくれる頼りになる存在です。
ベートーベン
『ベートーベン』は、ペットショップから盗まれたセント・バーナードのベートーベンと家族のドタバタを描いた映画です。
溺れている家族を救ったり、だまされて会社を乗っ取られそうになっている契約を邪魔したりと、賢く勇敢な姿が描かれています。
魔女の宅急便のジェフ
魔女の宅急便に犬なんて登場したっけ?と思った方もいるでしょう。
セント・バーナードのジェフは、キキがジジにそっくりの猫のぬいぐるみを届けるシーンに登場します。ぬいぐるみの代わりに届けられたジジを子どもから守り、キキの元に帰してくれました。
温和でおっとりし、与えられた役目を果たそうとするセント・バーナードの特徴がよく描かれています。
セント・バーナードの飼い方のポイント
セント・バーナードを飼う上で気をつけたいことがいくつかあります。
1. 食事の管理で肥満対策
太りやすい体質であるため、食事の管理が重要です。低カロリー、低脂肪のフードなどを採用し、肥満にならないように注意してあげてください。
2. 十分な運動をさせよう
体が大きいため、十分な運動量が必要ですが、激しい運動は好みません。ウォーキングを基本とした散歩を1回1時間、1日2回行いましょう。
過度な運動は関節に負担がかかるため注意が必要です。
3. 暑さ対策は徹底して
セント・バーナードは寒さには強いですが、暑さにはとても弱く、室温の管理が重要です。
日本の夏は暑く湿度が高いため、なるべく室内で飼育するようにしてあげましょう。
夏場の散歩は日中を避け、なるべく涼しい時間帯に行くようにしてください。
4. ブラッシングと口周りのお手入れ
ダブルコートのため、季節の変わり目は特に抜け毛が多いです。ブラッシングはなるべく毎日行うようにしましょう。
また、よだれが多く出るため、口の周りも定期的にお手入れしてあげてください。
まとめ
セント・バーナードは見た目こそ大きいですが、性格は穏やかで飼い主にはよく懐きます。他の犬や人間の子どもとも仲良くなれるため、性格の面だけを見れば飼いやすい犬種と言えるでしょう。
一方で、十分な運動量が必要で、室内飼育が望ましいことから、時間やお金の余裕がないと飼うのは難しい犬種とも言えます。今は飼えないという方も、ぜひ将来飼いたい犬種のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?