犬はキャットフードを好んで食べることを知っていますか?
犬と猫の両方を飼っている方は、犬がドックフード以上にキャットフードや猫缶に興味を示す様子を見たことがあるかもしれません。
しかし実は、犬がキャットフードを食べ続けると、中長期的に健康への悪影響をもたらしてしまうのです。
今回は、犬がキャットフードを好む理由、犬と猫の必要な栄養素の違い、犬にキャットフードをあげ続けてはいけない理由をご紹介します。
この記事の目次
犬がキャットフードを好む理由
犬はなぜキャットフードを好む傾向にあるのでしょうか?実は、キャットフードには美味しく感じる要素が2つあるのです。
1.嗜好性が高く作られている
一般的に猫は食に対する好き嫌いが多く、偏食しやすいと言われています。
猫の味覚は人間や犬に比べて弱く、特に甘味はほとんど感じられないのですが、代わりに嗅覚はとても発達しています。
猫の好みに対応するため、キャットフードは魚などの香りが強いものが多くなっています。
2.タンパク質とナトリウムが豊富
猫は犬に比べて、必要とするタンパク質とナトリウムの量が多いため、キャットフードにはそれらが多く含まれています。
タンパク質を構成するアミノ酸は甘味や旨味がするものが多く、また、ナトリウムは塩味がするため、キャットフードは犬にとっても味が濃く美味しいと感じられるのでしょう。
ちなみに、猫は甘味をほとんど感じませんが、犬は甘味に敏感だと言われています。
犬と猫、必要な栄養素の違いとは?
キャットフードにはドッグフードよりも多くの栄養素が含まれています。では、犬と猫で必要な栄養素にはどのような違いがあるのでしょうか?
タンパク質
肉食動物である猫は犬よりも高タンパク・高脂質の食事を必要とします。
猫は常に体内で一定のタンパク質をエネルギーに変えています。そのため、必要とするタンパク質は犬の2倍程あると言われています。
猫特有の必須栄養素
また、猫には犬と違って、体内で作れない栄養素が存在します。
具体的には、タウリン(アミノ酸の一種)、アラキドン酸(脂肪酸の異種)、ビタミンAです。これらは食事から摂取する必要のある必須栄養素となります。
- タウリンは網膜、心臓、神経、生殖、免疫調節などに重要な栄養素です。
- ラキドン酸は重要なエネルギー源となる他、腎機能や皮膚の健康に関連します。
- ビタミンAは皮膚や被毛、視力の健康を保ちます。
犬がキャットフードを食べ続けると…
猫は犬よりも必要な栄養素が多いため、キャットフードには多くの栄養が含まれることがわかりました。しかし、栄養豊富だからといって犬にも食べさせて良いというわけではないのです。
犬が食べてはいけないものは入っていないため、少量であれば食べても問題はありません。しかし、日常的に食べ続けてしまうと、少しずつ体に変化が現れます。
以下では犬がキャットフードを食べ続けることによる、4つのリスクをご紹介します。
1.栄養バランスが偏る
犬は猫よりも、犬種や成長によって体の大きさにばらつきが出ます。キャットフードではその犬に合った栄養を十分に補えません。
そのため、犬種や体格に合ったフードでないと、栄養不足・栄養過剰による健康への影響が懸念されます。
2.腎臓への負担
腎臓は、取りすぎた栄養を体の外へ排出する機能があります。
キャットフードはドッグフードと比べて、タンパク質・脂質・塩分の量が多いため、日常的に摂取すると腎臓に負担がかかってしまいます。
その結果、慢性腎臓病・腎不全のリスクが高まります。
3.肥満になりやすい
高タンパク・高脂肪のキャットフードを食べ続けると、肥満に繋がります。
肥満は関節炎や糖尿病など、様々な病気の原因になるため気をつけましょう。
4.ドッグフードを食べなくなる
犬が一度嗜好性の高いキャットフードの味を覚えてしまうと、ドッグフードを食べなくなり偏食につながる可能性があります。
興味本位であげてみる、といったことはしないようにしましょう。
逆に猫がドックフードを食べるとどうなる?
反対に、猫がドックフードを食べてしまうとどうなるのでしょうか?
ドックフードは猫にとっての嗜好性は低いため、好んで食べる猫はあまり多くないと考えられます。万が一食べてしまっても少量なら問題ありません。
しかし、日常的に食べ続けると以下のように健康を損ねる可能性があります。
タウリン不足
猫が食事から摂取する必要のあるタウリンは、ドッグフードには多くは含まれません。
タウリン不足の状態が続くと、網膜に障害が起き視力低下を引き起こし、最悪、失明の恐れもあります。また、心筋症や免疫機能不全のリスクもあります。
ビタミンA不足
猫が体内で生成できないビタミンAは、ドッグフードには含まれないことが多いです。
ビタミンAが不足すると、皮膚疾患、夜盲症や繁殖障害が起こります。
ウェットフードは消化できない
食材がそのまま入っているような犬用のウェットフードなどは、猫が消化できない可能性があるため注意が必要です。
まとめ
犬にとって魅力的なキャットフードですが、栄養の過剰摂取による疾患や偏食の恐れがあるため、進んであげることはしないようにしましょう。
食欲が減退した犬にキャットフードをトッピングしてあげてみる、ということもあるようですが、偏食や栄養の偏りなどのリスクを十分に理解した上で、一時的・少量にとどめてください。
食欲減退の原因が何らかの疾患である場合、栄養が偏ると悪化する恐れがあるため、まずは獣医師に相談することをお勧めします。
犬・猫別のフードにすることを大前提に、愛犬・愛猫それぞれに合うごはんを探してみてくださいね。