老化や病気などが原因で、犬でも排泄の介助が必要になることがあります。
しかし、排泄の介助といっても、具体的にどのようなことをすればいいのか知らない飼い主さんも多いのではないでしょうか?
今回の記事では、犬の排泄介助について、方法や注意点をご紹介します。
この記事の目次
排泄介助が必要な理由
1. 老化で足腰が弱くなった
排泄機能は失われていなくても、足腰の筋肉が衰えて排尿の姿勢が取れなくなってしまった場合には、排泄介助が必要になります。
トイレに連れて行ったり、排泄の姿勢をとる補助をして、最終的には自分で排泄をさせます。
2. ヘルニア等による下半身麻痺
高齢犬に限らず、重度の椎間板ヘルニアなどになると、下半身が麻痺して排泄機能が失われてしまいます。
筆者の犬も、9歳で椎間板ヘルニアになった際、自分で立てないだけでなく、支えてあげてもおしっこができなくなってしまったことがあります。これは、下半身の神経が完全に麻痺していたことが原因でした。
幸い、鍼灸治療をしたことですぐに排尿障害は改善しましたが、排尿障害は自分で排尿できないのは犬にとっても飼い主にとっても大きなストレスになると感じました。
3. 神経や脳の病気で立てなくなった
神経や脳の病気でも、排泄の姿勢を取れなくなったり、神経が麻痺して自分で排泄ができなくなってしまうことがあります。
4. 老化で前立腺が大きくなった
老犬になり、前立腺が大きくなると、排泄がしづらくなることがあります。
この場合は、排泄ができないわけではないので、補助してあげることで自分で出せるようになります。
自分で排泄ができる場合
排泄機能が失われたわけではなく、トイレまで歩けない、排泄の姿勢が取れないといった場合には、飼い主さんが補助をしてあげるだけで自分で排泄ができます。
トイレに連れて行く
家の中でトイレをする場合は、定期的にトイレに連れて行ってあげましょう。
「歩けるけど、トイレに行くまでの段差がまたげない」という場合は、トイレまでの障害物を無くしたり、トイレシーツだけを平面に敷くようにすることで、自分でトイレにたどり着くことができるかもしれません。
外に連れて行く
散歩中にしかトイレをしてこなかった犬は、あまり歩けなくても外に連れ出してあげることで排泄できるかもしれません。
ただし、毎回外に連れて行くのは飼い主さんにとっても犬にとっても負担なので、できるだけ家の中でも排泄ができるようトレーニングをしておくことをおすすめします。
排泄の姿勢を補助する
自分の足でうまく立てない場合は、腰のあたりを支えて、排泄の姿勢を取らせてあげることが重要です。
筆者の犬の場合、排尿障害が改善した後も、しばらくは自分の足で立っておしっこの姿勢を取ることができなかったため、腰を支えてあげることで排尿を促していました。
便の場合は肛門を刺激する
便の場合、手や綿棒で肛門を外側から刺激してあげると、腸が動いて便が肛門の方に出てきます。
なかなか自分で排便をしようとしない犬でも、刺激を与えることで自力で出せる可能性があるので試してみてください。
自分で排泄ができない場合①圧迫排尿
自分で排尿ができない場合には、「圧迫排尿」や「カテーテル」などで人工的に排尿させます。
まずは「圧迫排尿」についてみてみましょう。
オスの方が難しい?
圧迫排尿は、オスよりもメスの方が時間がかからずにすぐに排尿できます。
オスの場合は尿道が長くてねじれているため、なかなか尿が出てこないことがあるかもしれません。
オスの圧迫排尿のコツは、膀胱を押す際におへその方へ持ち上げながら圧迫することです。そうすることで、捻じれた尿道が真っすぐになり、比較的スムーズに排尿できます。
圧迫排尿の注意点
①膀胱内と尿道にある尿を出し切る
膀胱に尿が残っていると、体中に細菌が増殖して病気の原因になります。
圧迫排尿の際は、尿をできるだけ出し切るようにしてください。
②膀胱を強く圧迫しない
膀胱が過度に膨らんでいたり、膀胱を強く圧迫しすぎると、膀胱が破裂する恐れがあります。膀胱の破裂は腹膜炎を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。
③必ず獣医師に習ってから行う
圧迫排尿のやり方はネットにも出ていますが、実際に動物病院でやり方を教えてもらい、練習をしてからの方が安全です。
うまくできない場合は、無理に頑張って圧迫しすぎると危険なため、自分でできるようになるまで動物病院に通って教えてもらった方が良いでしょう。
自分で排泄ができない場合②カテーテル
カテーテルを尿道に通し、注射器のようなもので尿を吸い取る方法もあります。
筆者の犬の場合は、圧迫排尿でうまく尿を出すことができなかったので、病院でカテーテルをもらって排尿をしていました。
カテーテルの注意点
①トイレシーツの上で行う
圧迫排尿に比べて、カテーテルによる排尿はおしっこが周りに飛び散りにくいです。それでも、カテーテルを抜いた時などに飛び散ってしまうことがあるので、必ずトイレシーツを敷いてから行うようにしましょう。
②カテーテルは消毒してから使う
カテーテルは、毎回消毒をした上で、麻酔のジェルを塗って尿道に入れます。
使用後は、綺麗に洗って干せば2回ほど使用できますが、くれぐれも衛生管理には気をつけてください。
③なるべく2人がかりで行う
慣れてしまえば1人でもできるかもしれませんが、できれば2人で行った方が良いです。
犬も慣れないうちはカテーテルを怖いと感じてしまうので、1人が体勢を支えて犬の気をそらしながら、もう1人が集中して排尿を行うようにすると良いでしょう。
まとめ
自分で排泄がスムーズにできないのは、犬にとっても飼い主さんにとってもストレスがかかることです。
排泄機能が失われていないうちは、トイレに連れて行ったり、排泄の姿勢を取らせるなどのサポートで排泄ができます。
一方で、下半身の麻痺などで、特に排尿機能が失われることも珍しくありません。その場合は、獣医師の指示に従い、圧迫排尿やカテーテルによる排尿のやり方を覚える必要があります。