鉛中毒は、インコやオウム、文鳥など、どのような鳥にも起こりうる病気です。
鉛以外にも、亜鉛や銅も重度の金属中毒となる恐れがあり、命に関わるため予防が大切です。
鉛は日常的に使われているものに含まれており、室内飼いの鳥でも気づかないうちに口にしてしまう危険性があります。
今回は、鳥の鉛中毒について、その症状や中毒金属が含まれる日用品、予防策をご紹介します。
この記事の目次
鉛中毒とは?
鉛中毒とは、鉛を摂取することで発症する中毒症状です。
経過が早く、悪化すると最悪死に至るほか、完治後も後遺症が残ることもあります。
野生では、狩猟に使われる鉛の銃弾を野鳥が口にしてしまい、中毒になることがあります。
2000年前後の日本では、狩猟された鹿が放置されることで、ワシが肉と一緒に鹿の体内に残っていた銃弾を飲み込み、鉛中毒になって死んでしまうケースが多発していました。
野生の鳥だけではなく、室内で飼っている鳥も、放鳥中に日用品に含まれる鉛を口にしてしまい中毒になることが多いです。
鉛以外にも、亜鉛と銅も同じように重度の中毒症状を示すため、合わせて金属中毒と呼ばれることもあります。
なぜ鉛を飲み込んでしまうのか?
鳥は消化を促進するために、適度な大きさの小石や砂を飲み込み、砂嚢という胃の後方部分に溜め、食物をすりつぶす習性があります。
そのため、鳥には小石くらいの大きさの硬い物質を飲み込みやすい特徴があります。
また、鳥は光るものに興味を示すことも原因とされています。
鉛中毒の症状
鉛中毒は、好奇心旺盛なオカメインコやセキセイインコなどのインコ類に発生しやすい傾向がありますが、どのような鳥でも起こる病気です。
鉛中毒になってしまった場合、以下のような症状が見られます。
- 突然の嘔吐
- 突然の元気消失
- 止まり木からの落下
- 食欲低下
- 多飲
- 緑色の排泄物
- 下痢
- 黄疸
- 呼吸困難
- 痙攣
- 頭部下垂(前屈みの姿勢)
- 旋回
飲み込んだ量や金属の種類によって症状は異なりますが、目に見えてわかる症状が多いです。
鉛中毒は、発見・治療が数日でも遅れれば命に関わる病気です。経過が早いため、何か異変を感じたらすぐに病院に連れていくことをおすすめします。
鉛中毒の治療では、キレート剤と呼ばれる解毒剤を注射します。鉛中毒が疑われる場合は、病院に解毒剤が置いてあるかどうか、事前に確認すると安心です。
日常にある鉛・亜鉛・銅が含まれるもの
鳥の中毒を発症する鉛・亜鉛・銅は、さまざまな日用品に含まれています。
【鉛を含んでいる可能性のあるもの】
- カーテンウェイト
- はんだ付けに使われるはんだ
- 釣り道具のおもり
- メッキされたアクセサリー(ストラップ、ペンダント、ブレスレットなど)
- 塗料
- 電球の基部
- 金網
- ステンドグラスのつなぎに使う鉛
- ワイン瓶の金属箔
特に、裾に鉛の粒が縫い込んであるタイプのカーテンウェイトは気がつきにくく、また、鳥が口にしやすい高さにあるため注意が必要です。
【亜鉛を含んでいる可能性のあるもの】
- 亜鉛メッキのケージや鈴
- 塗料
- 日焼け止めクリームや化粧品
- 5円玉、10円玉、500円玉
【銅を含んでいる可能性のあるもの】
- 銅線ケーブル
- 銅鍋
- 仏像
- 1円玉以外の硬貨
このように、鳥が中毒になる金属(鉛、亜鉛、銅)は日常的に使われているため、全てを排除するわけにはいけません。では、どのように予防策をとれば良いのでしょうか?
鉛中毒の予防策
鉛中毒は経過が早く命に関わるため、予防が非常に大切です。
次のような対策を取って、鳥を金属中毒から守ってあげましょう。
1. 放鳥中の注意
鳥が鉛を口にしてしまうのは、放鳥中が多いです。
放鳥する部屋の金属製品をチェックし、鳥が直接触れられないようにしましょう。
特に、鳥のお気に入りの場所には、金属製品を置かないことをおすすめします。
加えて、放鳥中は金属を口にしないように、常に見てあげるようにしましょう。
中毒になる金属だけでなく、人間の食べ物などの誤飲の防止にもなります。
2. ケージ内の注意とケージの状態確認
ケージ内にも、鉛などが含まれる金属製のものは置かないようにしましょう。
ケージをかじる鳥の場合は特に、ケージの塗料の成分も確認しておくと安心です。
また、ケージが老朽化すると、塗装やメッキが剥がれてサビが出てきますので、買い替えを検討してみてください。
ステンレス製のケージは、少し値段は張りますが、手入れがしやすくサビにくいため長持ちし、安全性が高いと言われています。
まとめ
鳥にとっては珍しくない鉛中毒。非常に危険な病気のため、予防と早期治療が大切です。
放鳥中は日常にある鉛などの金属に近づけず、目を離さないようにするほか、ケージの状態も確認しましょう。
そもそも室内には鳥にとって危険なものが多く、放鳥中は気をつけてあげましょう。鉛中毒について知ることでより意識を高め、鳥に安全な環境を作ってあげることができるのではないでしょうか。