犬の目を見つめていると、「まばたきが少ないな」と感じたことがあるかもしれません。
犬のまばたきが人間よりも少ないのは正常で、それにはちゃんとした理由があります。また、犬のまばたきが通常よりも多い場合は、犬が飼い主さんに何かを伝えていたり、病気や怪我をしていることが考えられます。
今回の記事では、犬のまばたきについて考えます。
この記事の目次
犬のまばたきが少ない理由
犬のまばたきの回数が人間に比べて少ない理由は、目の構造の違いにあります。
人間の目には、「上まぶた」と「下まぶた」がありますが、犬の目にはそれに加えて「瞬膜(しゅんまく)」という第3のまぶたがあります。
瞬膜は見える?
犬の目をよく見てみると、端の方に少しだけ白い膜があるのがわかるかもしれません。
あるいは、犬が寝ているときに白目になっていることがあるかと思いますが、実はそれは白目がむき出しなのではなく、瞬膜が閉じているのです。
この白い膜が「瞬膜」の正体で、犬や猫の目に存在します。
上まぶたや下まぶたは通常上下に移動しますが、瞬膜は水平方向に移動します。
瞬膜の役割
そもそもまぶたは、涙を目に行きわたらせて目の乾燥を防いだり、目の中にゴミが入るのを防いだりする役割があります。
瞬膜は、涙の約30%を作り出す働きがあると言われているため、それがあることでまばたきの回数が少なくて済むのです。
犬のまばたきが多い理由
人間に比べてまばたきが少ないとはいえ、犬がまばたきをするのは正常です。
では、いつもよりもまばたきの回数が多いと感じる場合、犬はどのような状態なのでしょうか?
1. 目にゴミが入った
人間も、目にゴミが入ればまばたきをして排出しようとしますよね。
犬でも同じように、目に入ったゴミを出すために一時的にまばたきを多くすることがあります。
この場合は通常、すぐにまばたきはしなくなります。
2. まぶしい
光がまぶしいと感じると、目を細めるようにしてまばたきをすることがあります。
まぶしくないところに移動してまばたきが止めば、心配する必要はありません。
3. 敵意がないサイン
他の犬や飼い主さんと目があったときに、視線を逸らしたりまばたきをするのは、相手に対して敵意がないサインです。
犬と目があってまばたきをされたら、ゆっくりとまばたきを仕返して優しく撫でてあげましょう。
4. 緊張・退屈を感じてる
緊張していたり、退屈しているとまばたきをすることがあります。
また、いたずらをした後や粗相をした後にまばたきをする場合は、「バツが悪い」「あまり怒らないでほしい」と思っている可能性があります。
5. 目の病気・怪我
まばたきの回数が慢性的に多かったり、片目だけパチパチとしている場合は、ドライアイや角膜炎などの目の病気にかかっていたり、怪我をしているかもしれません。
特に、次のような症状が伴っているのなら、病気や怪我の可能性が高いと考えられます。なるべく早めに動物病院に連れて行きましょう。
- 目を盛んに気にする、痛がる。
- 涙が多い、涙やけをしている。
- 目やにが出ている。
- 目が充血している。
- 目が白っぽくなっている。
- 目をこする、掻く。
- つまずいたり、ものにぶつかったりする。
考えられる目の病気
では、犬のまばたきが多い場合、どのような病気が疑われるのでしょうか。
角膜びらん・角膜潰瘍
角膜が何らかの原因で損傷を受け、上皮が欠損した状態が「角膜びらん」、上皮を失った状態が「角膜潰瘍」です。
シャンプーやドライヤー、目に異物が入るなど、外的な刺激による細菌感染が原因となります。
【症状】
目やに・涙が出る、よくまぶしがる、眼瞼痙攣、角膜が赤または白っぽくなる
乾性角結膜炎(ドライアイ)
涙の分泌量が減って眼が乾燥すると、角膜や結膜に炎症が起こります。
シーズーやパグなど、目が飛び出ている犬種に多く見られる病気です。
なお、呼び名は「ドライアイ」ですが、人間のドライアイとは症状は異なります。
【症状】
粘り気のある目やにが出る、白目が充血する、角膜の色素沈着
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
いわゆる「ものもらい」です。涙を作り出す分泌腺が細菌に感染して起こる病気です。
【症状】
まぶたの腫れ、痛み
進行性網膜萎縮
遺伝性の疾患で、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、コッカースパニエル、ラブラドールレトリーバー、プードルなどに多く見られます。
【症状】
両眼に異常が起きる。初めは暗いところで目が見えにくくなり、最終的には失明する。
緑内障
眼内を満たしている「房水」が滞り、眼の内部の圧力が上昇することで起こる病気です。
柴犬、シーズー、コッカースパニエルなどによく見られます。
【症状】
充血、まぶしがる、瞳孔散大、激しい痛みによる元気消失
白内障
「水晶体」と呼ばれる眼の中の透明なレンズが白く濁る病気です。
遺伝、年齢、糖尿病、薬物、外傷など、様々な原因があり、犬にとって決して珍しい疾患ではありません。
【症状】
目が白く濁る、つまずいたりものにぶつかりやすくなる
ぶどう膜炎
脈略膜、虹彩、毛様体を合わせて「ぶどう膜」と呼びます。
感染症や免疫・代謝・血液疾患、外傷、潰瘍など、眼に関わる他の疾患に関連して起こることもありますが、原因がわからない場合も多いです。
【症状】
涙が出る、まぶしがる、眼瞼けいれん、充血
まとめ
犬のまばたきは通常、人間よりも少ないですが、様々な要因でまばたきが多くなることがあります。
一時的なものであれば心配する必要はありませんが、慢性的な場合、何らかの病気や怪我を抱えている可能性があります。
異変に気付いたら、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。