栄養価が高く「森のバター」とも呼ばれるアボカドは、美容にも効果的で、サラダや食事などにもよく用いられる人気の食材です。
しかし、このアボカドを犬に与えると健康に害を及ぼす可能性があることをご存じでしょうか?
この記事では、犬にアボカドを与えてはいけないとされる理由についてご紹介します。
この記事の目次
犬にとってアボカドは毒?
アボカドの危険性が言われるようになったのはここ十数年ほどです。かつて日本では人もアボカド自体を食べる習慣がなく、ペットに与える機会もほとんどなかったことから、犬にアボカドを与えてはいけないということを知らない飼い主も少なくありません。
アボカドの毒性については疑問視するする声もありますが、実際にアボカドが原因で犬が体調不良になることもあるため、愛犬の健康を考えるのであれば与えない方が良いでしょう。
また、アボカド入りのドッグフードやおやつ、オイルなども販売されています。これらは問題ないとされていますが、心配ならば極力避け、免疫力の高くない子犬やシニア犬には与えない方が安心です。
犬にアボカドを与えてはいけない4つの理由
犬にアボカドを与えてはいけない理由はいくつか考えられます。「うちの子には毎日少量のアボカドを与えているけど、特に問題ないから大丈夫」と考える飼い主もいるかもしれません。
しかし、アボカドの何か良くないかをしっかり把握し、愛犬の健康を害することのないように気をつけてあげる必要があります。
1. アボカドに危険な物質が含まれている
アボカドにはペルシンという成分が含まれており、犬が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。ペルシンは、アボカドの葉や果肉、種に多く含まれています。
ペルシン中毒の症状
ペルシンは消化器系や心臓に悪影響を及ぼす可能性があり、以下の症状が見られます。
- 嘔吐
- 下痢
ペルシン中毒の症状はすぐには出ず、摂取してから1日〜3日後に出ることが多いようです。悪化すると呼吸困難やけいれんを引き起こすこともあります。
2. 窒息の危険がある
アボカドの種は大きくて固いため、犬が誤って飲み込むと窒息する危険があります。特に小型犬や口の小さい犬では注意が必要です。
窒息の症状
- 何かを吐き出そうとする
- 苦しそうにしている
- 舌が白くなる
犬がアボカドの種を飲み込んでしまった場合、ただちに動物病院に連絡して処置をしてもらわないと命に関わります。愛犬が苦しそうにしていると飼い主もパニックになってしまうかもしれませんが、そんな時こそ冷静かつ迅速に対応しましょう。
3. アレルギーを起こす危険がある
アボカドはアレルギーを起こす可能性がある植物です。リスクを回避する意味でも与えない方が良いといえるでしょう。
アレルギーの症状
- 皮膚の強いかゆみ
- 皮膚炎や湿疹
- 嘔吐
- 軟便や下痢
- 元気がなくなる
アレルギー体質の子は特に注意が必要です。
4. 高脂肪、高カロリー
人間にとって栄養価が高いものであっても、体が小さい犬にとっては栄養が過剰になってしまう可能性があります。
過剰な栄養は肥満の原因となったり、消化器官に負担をかけてしまい、下痢や膵炎を引き起こす原因にもなってしまいます。
膵炎の症状
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
膵炎が起こると、膵臓の消化液が膵臓や他の臓器を損傷し、強い痛みが生じます。重症化すると多臓器不全などを引き起こし、命に関わる場合もあります。
犬の誤飲を防ぐためには
いくら飼い主がアボカドを与えないようにしていても、ちょっとした不注意で、愛犬がアボカドを口にしてしまう危険があります。愛犬の安全のために、以下の点に注意しましょう。
- ゴミ箱を漁らせない
- 犬の手が届くところに放置しない
- キッチンに入らせない
普段から、ゴミを漁らせない、食卓に上らせないなど、しっかりとトレーニングを行い、誤食をさせないように気をつけましょう。
犬がアボカドを食べてしまったら
どんなに注意を払っていても、飼い主の目を盗んで犬がアボカドを食べてしまうこともあるかもしれません。アボカドに含まれるペルシンによる中毒の場合、食べて3日後に症状が現れる場合もありますので、油断せずに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。
食べた量を確認する
まずは、犬がどのくらいのアボカドを食べたのか確認しましょう。床に落ちた切れ端を食べたのか、丸ごと食べたのかで対処法も異なってきます。
特に、種を飲み込んでしまった場合は、早急に取り出さないと命に関わります。まずは、冷静に周りの状況を確認しましょう。
動物病院に連れて行く
犬によっては少量のアボカドを食べたくらいでは問題ない子もいます。実際、おやつ感覚でアボカドを与えている飼い主もいるそうです。しかし、少量だから大丈夫だと自己判断してしまうのはよくありません。
まずは動物病院へ連絡し、なるべく早く獣医師に処置してもらいましょう。
最後に
人にとってはおいしくて健康にも良いとされるアボカドですが、犬や他の動物にとっては毒性があり与えるべきではありません。
アボカド以外にも、人には無害であっても動物にとっては有毒なものがたくさんあるため、「人が食べても問題ないから」と安易な気持ちで与えるのはやめましょう。
ドッグフードは栄養も十分摂れ、特別なアレルギーがない限りは安心して与えられます。その上で、愛犬に美味しいものを食べてもらいたいと手作りご飯を与える場合は、しっかりと知識をつけて安心して食べられるものを作ってあげましょう。