動物園に行くとモルモットのことを「うさぎさん」と呼んでいる人を見かけることがあります。確かに遠目で見ると似ているようにも感じますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回の記事では、うさぎとモルモットの違いを6つの観点からご紹介します。違いがよくわからないという方や、どちらを飼うか迷っている方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
うさぎとモルモットの違い①分類と歴史
うさぎはウサギ目ウサギ科の動物で、一般的に家庭で飼われているうさぎは「カイウサギ」といいます。単に「うさぎ」といっても、さまざまな種類があり、見た目や大きさも異なります。
一方で、モルモットは齧歯(げっし)目テンジクネズミ科に分類されます。
うさぎの歴史
うさぎは地中海沿岸が原産地で、古代ローマ時代から主に食用として飼われてきました。中世の始め頃には修道院で品種改良が行われ、11世紀頃には一般の農家でも飼われるようになりました。16世紀には狩りの対象とされた一方で、狩りへ向かう馬車に乗る際に貴族にかわいがられるようになったといわれています。
日本で今のような愛玩動物として飼われるようになったのは第二次世界大戦以降で、ペットとしての歴史はまだ浅い動物です。
モルモットの歴史
モルモットは南米の山岳地帯が原産とされており、もともとは野生でしたが、16世紀のインカ帝国の時代から食用として飼育されていました。その後、ヨーロッパやアメリカへと渡るとペットとして飼われるようになり、日本には江戸時代にオランダ船で長崎に持ち込まれました。
うさぎとモルモットの違い②サイズ
うさぎは手のひらに乗るくらいのサイズから、人間の子どもと同じくらいのサイズになる種類もいます。
- 小型(ネザーランドドワーフなど):体長は30cm前後、体重は1〜2kg
- 中型(ライオンロップなど):体長は40cm前後、体重は2〜4kg
- 大型(フレミッシュジャイアント):体長は50cm以上、体重は5kg
一方で、モルモットは多少の個体差はあるものの、体長は20〜30cm程度、体重は700〜1200g程度と、うさぎよりも一回り以上小さい体格です。品種によるサイズの違いもほとんどありません。
うさぎとモルモットの違い③寿命
モルモットの平均寿命は4〜8年といわれており、場合によっては10年以上生きる子もいるそうです。一方でうさぎは7〜8年程度で、医療の進歩によって10〜12年ほど生きる子も増えています。
両者の寿命はあまり違いがありませんが、若干うさぎの方が長生きする傾向があります。
うさぎとモルモットの違い④耳の長さとしっぽの有無
うさぎを象徴する大きくて長い耳は、近づいてくる敵をいち早く察知するアンテナのような役割があります。また、汗をかかないうさぎは、耳に張り巡らされた血管から放熱して体温調節をしています。また、ヘラのような形のしっぽがあり、しっぽの部分には尾椎(びつい)と呼ばれる骨があります。
モルモットの耳は小さく内側に垂れているため、キクラゲに例えられることもあります。しっぽはなく、尾椎もありません。これは、高いところに登るネズミと違い、地面や穴の中で暮らしていたため、しっぽが退化してなくなったためと考えられています。
うさぎとモルモットの違い⑤鳴き声
モルモットはさまざまな鳴き声を出して感情を表現したりコミュニケーションを取ったりします。「プイプイ」や「キュルキュル」といった小さく鳴くこともあれば、「キュイーキュイー」と甲高く大きい声で鳴くこともあり、マンションやアパートでは隣人に聞こえてしまう可能性もあります。ただし、欲求が満たされたり、興味を失ったりすれば静かになるため、鳴き声がうるさいと感じることは少ないでしょう。
うさぎには声帯がなく、鳴くことはできません。しかし、「ぷーぷー」や「ぐぅぐぅ」という音を発することがあります。また、何か不満やストレスがあるときは、後ろ足で地面を踏み鳴らす「足ダン」でコミュニケーションをとっています。
うさぎとモルモットの違い⑥性格
うさぎの性格は温和でマイペースですが、警戒心が強くちょっとした変化でもストレスを感じてしまいます。また、甘えん坊で懐きやすい面もありますが、種類や個体によってその性格もさまざまですので、一概には言えない動物でもあります。
うさぎは知能が高く、トイレを覚える子も多いようです。いつも同じ場所でトイレをするため、掃除のしやすさという観点では、うさぎの方が良いかもしれません。
モルモットは基本的に警戒心が高く、臆病な性格をしています。しかし、人に慣れてくると飼い主のうしろをついてきたり、抱っこ中に眠ってしまうこともあります。また、うさぎとは異なりトイレを覚えないため、ケージ内のいたるところでトイレをしてしまい、掃除は少し大変かもしれません。
最後に
うさぎとモルモットは一見似ているように見えますが、歴史や大きさ、体の構造など、たくさんの違いがあります。
どちらもとてもかわいい動物ですが、ペットとしてお迎えする場合は、見た目だけでなく自宅の環境なども考慮しながら、どちらの方が適しているのか考えてみてください。