シンガプーラという猫種は聞いたことがあっても、実際の大きさや色や性格などを詳しく知らない方も多いでしょう。比較的歴史の浅い猫種であるものの、そのサイズや性格は他の猫にはない魅力があります。
今回は、シンガプーラという猫種と飼い方のポイントについてご紹介します。
この記事の目次
シンガプーラの歴史
シンガプーラの起源には2つの説があります。
シンガポールの土着の猫由来
1970年初頭、シャム猫好きなアメリカ人のメドゥ夫妻は、夫の赴任先であるシンガポールで、動物保護団体から小さな猫(シンガプーラ)を引き取って暮らしていました。
任期を終えて5匹の猫とともに帰国し、アメリカでブリーディングを開始したところ、小さい体と美しい毛色から人気に火がつき、ブリーディングを始めてからわずか6~7年という異例の速さで猫種として登録されました。
バーミーズとアビシニアンの交雑由来
一方で、メドゥ夫妻はバーミーズとアビシニアンを飼育していたことから、土着の純血種ではなく、これらの交雑種ではないかという議論が巻き起こりました。
しかし、メドゥ夫妻がシンガポールから猫を譲り受けて交配したことは事実であるとして、シンガプーラの登録は取り消されませんでした。
シンガプーラの特徴
身体的特徴
シンガプーラは、純血種の猫の中では世界でもっとも小さいといわれており、体重は2kgほどしかありません。しかし、アメリカでブリーディングされているシンガプーラは、サイズが大きくなっている個体も年々増えているようです。
大きな耳とアーモンド型の目が特徴で、筋肉質でがっしりとした体つきをしています。
性格
シンガプーラは活発で運動が大好きです。好奇心が旺盛で動き回ることも多いため、「小さな暴れん坊」と呼ばれることもあります。構ってもらうのも大好きで、飼い主について回り、時には飼い主に飛び乗ることもあります。
おとなしい性格をしていますが、他の猫や動物に嫉妬することも少なくなく、ストレスを感じやすい猫種です。
被毛
短毛でシングルコートの被毛をもつため、抜け毛は少なく、お手入れは週に2回ほどのブラッシングで十分です。
毛色はセピア色で、1本の毛に2種類以上の帯状の模様が入るティッキングの被毛が特徴です。
シンガプーラの気をつけたい病気
2007年に行われた遺伝子研究により、シンガプーラは遺伝的多様性が少なく、遺伝性疾患が起こりやすいことがわかりました。
遺伝性の疾患は予防や治療ができませんが、愛猫のかかりやすい病気を把握しておき、症状が現れたらすぐに動物病院を受診することが大切です。
ピルビン酸キナーゼ欠損症
ピルビン酸キナーゼとは、赤血球の生存に欠かせない酵素で、これが欠乏することで赤血球が破壊されて貧血を起こしてしまう病気です。
疲れやすく運動したがらなくなる、赤茶色の尿が出る、口の粘膜や舌の色が白っぽくなるなどの症状が見られます。生後2〜3ヵ月齢以降に慢性的な貧血が現れることが多いものの、貧血を繰り返すと順応してしまい、症状が現れにくくなります。
遺伝性の疾患のため、予防法や治療法はありませんが、遺伝子検査により発症する可能性が高いかどうかを確認することが可能です。
肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心臓の筋肉が厚くなり心臓の内部が狭くなることで、血液の循環がうまくいかなくなる病気です。
悪化すると呼吸困難や歩けなくなったりすることもあります。初期は症状がありませんが、徐々に悪化していくと、突然死してしまう危険もあります。
シンガプーラの飼い方のポイント
飼育環境が適切ではないと、ストレスが溜まったり、体調を崩したりしてしまう可能性もあります。
シンガプーラを飼いたいと思ったら、まずは以下の点をクリアできるかを考えてみましょう。
高いところに登りたがる
活発で遊び好きのシンガプーラは、棚やカーテンレールなどの高いところが大好きです。運動不足の解消のためにも、上下運動ができるキャットタワーを設置してあげましょう。
ただし、キャットタワーを設置したからといって他の家具に登らなくなるということはありません。登ってほしくない棚などがある場合は、対策を講じる必要があります。
お留守番は得意ではない
一般的に猫は一人で過ごすことが多く、犬と比較すると多少の時間であればお留守番は問題ないといわれています。しかし、シンガプーラは飼い主が大好きで、お留守番はあまり得意ではありません。ねこじゃらしやボールなどを使って一緒に遊んであげる時間も必要です。
長時間のお留守番が必要な環境では、シンガプーラを飼育するのは難しいかもしれません。
寒さに注意
シンガポール生まれかつ、短毛でシングルコートの被毛をもつシンガプーラにとって、寒さは大の苦手です。冬は常に暖房をつけて室内を暖かくしてあげましょう。
最後に
シンガプーラは体が小さく、お手入れも比較的楽なため、マンションなどでも飼いやすい猫種かもしれません。しかし、活発で飼い主に甘えたがりな性格のため、お留守番の多い家で飼うのはあまりおすすめできません。
しかし、飼い主についてきたり一緒に遊んだりするのも大好きなため、愛猫と仲良くしたい方にとってはとても良いパートナーになれるでしょう。