マンクスという猫種をご存じですか?日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、「しっぽがない猫」と聞けば、その存在自体は聞いたことがある人も多いでしょう。
今回はマンクスの歴史や外見状の特徴、飼い方のポイントについてご紹介します。
この記事の目次
マンクスの歴史
マンクスは、グレートブリテン島とアイルランド島の間にあるマン島原産の猫種です。
もともとマン島には猫が暮らしており、突然変異によりしっぽのない猫が誕生しました。狭い島であったため近親交配により種が固定されていき、1901年にイギリスで正式に猫種として認められました。
マン島ではマンクスのことを「スタビン」という名で呼んでいたという記録もあり、300年以上前からその存在は知られていたと考えられています。
ちなみに、マンクスという名前は「マン島」に由来しています。
しっぽに関する伝説
マンクスのしっぽに関する神話や伝説はたくさん残っています。それほど、マンクスのしっぽには多くの人の関心が寄せられたのでしょう。
- ノアの方舟に猫が駆け込もうとしたところ、船員が誤ってしっぽをドアで挟んでしまいなくなってしまった
- 海賊が猫のしっぽを帽子の飾りにしようとしているのを知った母猫が、殺されないように子猫のしっぽを噛み切った
- 猫とうさぎの間に生まれた子どもで、頭は猫、足はうさぎと決まったが、しっぽをどうするかで揉めた結果、神様が仲裁してしっぽをなくした
- 断尾を繰り返していたらしっぽのない猫が産まれるようになった
マンクスの特徴
身体的特徴
体長は50cm〜80cm、体重は3〜6kgほどと、一般的な猫よりは少し大きめのサイズです。体つきは丸みを帯びておりずんぐりむっくりとしています。
前足より後ろ足の方が長く、うさぎのような歩き方になるため「ラビットキャット」や「バニーキャット」などと呼ばれることもあります。
マンクスの一番の特徴はしっぽがないことですが、短いしっぽが生えている子やしっぽがまったく生えていない子もおり、それぞれ細かく名前が決まっています。
- 【ランピー】…しっぽが全くなく、しっぽの付け根部分がくぼんでいる
- 【ランピーライザー】…尾椎が1,2個のわずかに短いしっぽがある
- 【スタンピー】…短いしっぽがあるが、折れていたりねじれていたりする
- 【ロンギー】…一般的な猫の半分くらいの長さのしっぽがある
なお、これらは両親の遺伝子型と関係なく発現するため、産まれるまでどのタイプのしっぽになるかはわかりません。
※日本猫も尾が短かったり曲がっていたりしますが、マンクスと日本猫は関係ありません。
被毛の特徴
マンクスの被毛はダブルコートで、短毛種が多いものの、長毛種も存在します。長毛種は「キムリック」という名前でマンクスと別の種として登録されている場合もあります。
毛色はレッド、ブルー、ブラック、ホワイト、クリームなど、さまざまな色が認められています。
性格
マンクスは大人しく穏やかな性格をしており、のんびり過ごすことが好きです。しかし賢く忠誠心が強いため、危険を察知すると攻撃的になることもあります。
また、人見知りをするため、家族以外の人にはなかなか懐きません。
無尾同士の交配は危険
しっぽがないランピー同士を交配すると、その子どもはマンクス症候群を発症する可能性が高くなると考えられています。マンクス症候群は遺伝性の疾患で、脊髄に異常が起こりさまざまな障害が引き起こされます。
発症すると、足を引きずるように歩く、後ろ足が麻痺する、うんちやおしっこが出なくなるなどの症状が現れます。
マンクスの無尾の遺伝子は致死遺伝子でもあり、両親がランピーの場合、死産してしまう可能性が極めて高く、無症状で生まれても数ヶ月後に症状が出てくることも少なくありません。繁殖を行う場合は、この点に留意し、配慮する必要があります。
飼い方のポイント
マンクスを飼う際は以下の点に気をつけましょう。
運動ができる環境を
もともとネズミ捕りとして農家の人々から大切にされてきたマンクスは、ある程度の運動量を確保する必要があります。マンクスはジャンプが得意なため、キャトタワーやキャットウォークを設置したり、動きのあるおもちゃで一緒に遊んであげましょう。
こまめなブラッシングを
ダブルコートの被毛をもつマンクスは、抜け毛が多く、一日1回はブラッシングをしてあげましょう。
換毛期になるとさらに毛が抜けます。マンクスは他の猫と比べると水を怖がらないため、換毛期に入ったらシャンプーをしてあげると、抜け毛がとれてお手入れが楽になります。
しっぽは触らない
マンクスにとってしっぽの部分はとても繊細です。つい触りたくなってしまう気持ちもわかりますが、触らないようにしましょう。小さいお子さんがいる家庭では特に注意しましょう。
最後に
しっぽがないことが最大の特徴であるマンクスですが、実は短いしっぽがある個体もおり、しっぽが完全にないランピーは全体の20%ほどしかいません。しかし、ランピー同士を交配させると、死産や先天性疾患を抱えた子どもが生まれる可能性が高いため、交配させないように注意が必要です。
日本では珍しい猫種ではありますが、他の猫にはない魅力があります。この記事を読んで興味をもったらぜひマンクスについて調べてみてください。