猫を飼っている人なら、一度は「もし猫と喋ることができたら、どんなに楽しい会話ができるだろう」と考えたことがあるのではないでしょうか。筆者も猫を飼っているのですが、一度のみならずいつもそんなことを考えています。
しかし、猫に限らず動物同士の意思疎通(コミュニケーション)は、お互いの仕草や行動(ボディランゲージ)で伝え合っていると言われています。
そのため、猫が何を考えているのかを知るためには、その行動をよく観察し理解することが必要です。今回は、猫の気持ちを読み取るヒントとして、機嫌が良い状態・友好的な態度としてよく見られる表情や仕草、鳴き声をまとめてみました。
ただし、あくまで一般的な例であり、必ずしもすべての猫に当てはまるわけではありません。記事の内容を参考にしつつ、それぞれの猫の個性をよく観察して判断してくださいね。
この記事の目次
【顔の表情】編
猫の表情は、感情を大きく映し出します。そのため、表情をよく観察することで、猫の気持ちを推察することができるのです。
<見るべきポイント>
・耳:角度や向き、立っているか
・目:瞬きや大きさ、瞳孔が開いているか
・ヒゲ:角度や向き、ピクピクしているか
・口:歯や舌を出しているか、口を開いているか
①平常心の表情
耳が正面を向いてピンと立ち、ヒゲが極端に前に張ったり後ろに倒れたりしていない状態です。また、目も穏やかで、目を細めたり、瞬きを繰り返します。
猫の機嫌が良くないときを知るには、この平常時の顔と比較してみると良いでしょう。
②リラックスしているときの表情
目や口を閉じて、ヒゲをだらんと下げるような表情をします。これは、周囲に外敵や危険なものがなく、警戒を解いている状態です。
一見、眠っているようにも見えるほど、リラックスしていることが伝わる表情です。
③興味しんしんな表情
興味の対象の方向に耳がピンと立って、瞳孔が丸く広がり、少しでも多くの情報を対象から得ようとします。ヒゲ袋がふくらみ、ヒゲも前方にピンと張っており、「何だろう?」「遊びたいな!」という気持ちを表しています。
新しいおもちゃや見慣れないものを前にしたときに、この表情がよく見られます。
④嬉しいときの表情
左右のヒゲがやや上向きにピンと張った状態は、猫が「うれしい」と感じているときです。ヒゲの角度は、ちょうど時計の針が10時10分になったときの角度と言われています。
他にも、目を細めたり耳がピンと立っている様子も、猫が嬉しいときの表情です。
【からだ全体・尻尾】編
猫の表情だけでなく、体や尻尾の動きにも猫の感情が表れます。そのため、猫がどのような仕草をしているのか観察することで、猫の気持ちをより深く知ることができます。
①嬉しいときの仕草
尻尾をピンと立てて足元にすり寄ってくるときは、非常に機嫌が良い状態です。「とても好き」「信頼している」「甘えたい」というような飼い主さんへの気持ちが高まった際に、このような仕草をします。
さらに尻尾を小刻みに震わせたり、甘噛みしてくることもあります。
②リラックスしているときの仕草
ヘソ天
目の前でお腹をゴロンと見せてくれたときは、リラックスして機嫌が良いときです。お腹は猫にとって弱点なので、相当信頼していて、警戒を解いた状態でなければ見せてくれません。
香箱座り
香箱座りをしている場合も、近くにいる人を信頼しリラックスしている状態です。香箱座りとは、前足を胴体の下にうまく折りたたんで座っている状態を指します。危険が迫っても前足がすぐに出せないため、リラックス度はかなり高いと見て良いでしょう。
ただし、同じ仕草でも日向ぼっこに夢中になって、一匹の世界を楽しんでいることもあります。邪魔されるのを嫌がる場合もあるので、構わずにそっとしてあげた方が良いかもしれません。
【鳴き声】編
猫種によって声質も変わってくるため判別が難しいところではありますが、鳴き声も猫の感情を知るヒントになります。その鳴き声の種類は非常に多くありますが、聞き分けることができれば表情や仕草以上に愛猫の気持ちを理解してあげられるでしょう。
①短く「ニャッ」
人間でいうと、軽く「よっ」と挨拶するときや、「はい」などと返事するときのような鳴き声です。
猫の名前を呼んだときに、この鳴き方で返事をされたことがある飼い主さんもいるのではないでしょうか。飼い主さんの呼びかけに反応してくれていることからも、しっかりと信頼関係を築けているといえます。
②「ゴロゴロ」
猫の機嫌の良さを測る指標としては定番の、喉をゴロゴロと鳴らす声があります。非常にリラックスした状態のときのほか、具合が悪いところを治すためにも鳴らすことがあります。
また、猫は生後2週間ほどで音が聞こえ始めますが、聴覚がまだ不安定な時期に母猫と「ゴロゴロ」でコミュニケーションすると言われています。
③長く伸ばす「ニャーン」
「猫撫で声」とも言われるように、尻尾を立てて甘えてきたなら、それは絶大な信頼を寄せられている証拠です。
④口を閉じて「ンー」
口を閉じて「ンー」と鳴くときはおねだりの声です。よく見知った猫同士は、この「ンー」でコミュニケーションをとることがあります。
まとめ
猫と人間は異なる生き物で、それぞれ独自の表現方法を持っています。そのため、コミュニケーションをとっていくためには、こちら側のルールを押し付けるのではなく、まずはよく観察することが大切です。
猫の表情や仕草から気持ちを理解してあげることで、より深い信頼関係を築くことができるでしょう。