運動能力が抜群で非常に賢い犬として知られるボーダー・コリー。日本ではフリスビーやアジリティなどのドッグスポーツで活躍するイメージがありますが、海外の牧場では牧羊犬としてもその優れた能力を発揮しています。
今回は、ボーダー・コリーに興味がある方や飼うことを検討している方に向けて、歴史や飼い方のコツ、注意すべき病気について解説していきます。
この記事の目次
ボーダー・コリーの歴史
ボーダー・コリーは、イギリスのスコットランド原産の犬種です。名前の「ボーダー(Border)」は「国境」を意味し、スコットランドの国境地帯がその発祥地であることを示しています。「コリー(Collie)」は、スコットランドでは牧羊犬全体を指します。
この犬種の祖先は、8世紀頃にスカンジナビア半島からバイキングによってイギリスに持ち込まれた犬でした。彼らが持ち込んだ犬と、現地の土着の牧羊犬などとの交雑が繰り返され、19世紀末頃には現在のボーダー・コリーに近い形になったようです。
ボーダー・コリーは牧場での作業能力が重視されていたため、イギリスの都市部や国外ではほとんど知られておらず、長らく公式な犬種として認定されていませんでした。
その後、ドッグスポーツや競技会が開催されるようになると、ボーダー・コリーの活躍によりその評判が広まり、ようやく犬種として認定されました。FCI(国際畜犬連盟)に公認されたのは1987年と、他の犬種と比べてかなり遅い時期でした。
日本では、1995年に公開された映画「ベイブ」の影響で、一般的に知られるようになりました。
ボーダー・コリーの特徴
身体的特徴
オスの体高は53cm、メスはそれよりやや低い程度の大きさです。中型犬に分類されますが、その中ではやや大きめです。体重は、14~20kg程度の子が多いようです。
耳は、垂れ耳、立ち耳、半立ち(半垂れ)耳などさまざまです。
被毛
被毛はダブルコートで、長毛タイプがよく見られますが、短毛の子も存在します。
ボーダー・コリーといえば白黒の毛色が一般的ですが、ブラック&ホワイトの他に、レッド&ホワイト、ブルーマール、トライカラーなど、実にさまざまな毛色が認められています。ただし、ホワイトが優勢であることは好ましくないとされています。
性格
ボーダー・コリーは、高い知能を持つ犬種として知られており、特に洞察力が非常に優れています。そのため、飼い主が教えていないことでもその意図を察して行動し、素早く学習します。しかし、飼い主の態度が整合性に欠けると、混乱してしまうこともあります。
クールな外見に反して、家族には甘えん坊な一面も持ち合わせています。個体差はありますが、知らない人や犬には興味を示さず、飼い主とのゲームや作業に集中する傾向があります。
ボーダー・コリーが気を付けたい病気
ボーダー・コリーのかかりやすい病気を把握し、健康管理の参考にしましょう。ボーダー・コリーの好発疾患は以下の通りです。
- 股関節形成不全:股関節が発育段階で異常に形成され、痛みなどが生じる
- セロイドリポフスチン沈着症(CL症):遺伝性疾患で中枢神経障害を引き起こし、進行すると死に至る
- 肘関節形成不全:肘関節の発育不全により痛みが生じる
- コリーアイ症候群:遺伝性の眼疾患で、重度になると失明することもある
ボーダー・コリーの飼い方のポイント
1.運動や遊びはしっかりと
牧羊犬として活躍する犬種ですので、健康であれば非常に体力があります。1日に2回、それぞれ30分から1時間程度の散歩をするのが理想的です。散歩に加えて、ボール遊びやフリスビーなどでしっかりと運動させましょう。
さらに、単調な遊びだけでなく、アジリティやドッグダンスなどの頭を使った遊びも取り入れてあげてください。オビディエンスなどのトレーニングにも向いている犬種です。
2.しつけもしっかりと
牧羊犬は、動いているものを追いかけて束ねようとする習性があり、ボーダー・コリーにもよく見られます。具体的には自転車やバイク、走り去る人間などが追いかける対象になる傾向があります。
運動不足によるストレスが原因となる場合もありますし、トレーニング不足が原因となることも考えられますので、ヒールウォークやマテなどのトレーニングをしっかり行いましょう。
また、神経質な個体も多い犬種です。社会化トレーニングを十分に行い、飼い主との信頼関係をしっかりと築くことで、神経質になりすぎないような環境を作ってあげてください。
3.こまめなブラッシングを
被毛はダブルコートで下毛が抜けます。月に1~2回シャンプーし、週に数回はブラッシングしましょう。換毛期は毛がよく抜けるため、毎日ブラッシングが必要です。カットは足の裏の毛を刈る程度で、通常は必要ありません。
ボーダー・コリーを飼うのに向いている人
非常に活発で賢いため、あまり初心者向きの犬種ではありません。犬を飼ったことがないけれど、ボーダー・コリーを飼いたいという方は、パピー教室(パピーパーティ)などで、子犬のうちからしっかりとしつけられるように学ぶことをおすすめします。
※パピー教室については、こちらの記事をご覧ください。
子犬の飼い主さん必見!パピーパーティーのすすめと選ぶポイント
https://cheriee.jp/dogs/30848/
犬を飼ったことがある場合でも、チワワやマルチーズなどの愛玩犬とは全く違うタイプだと考えて、ボーダー・コリーに適した飼い方をしてあげてください。
アクティブ派で、ドッグスポーツやトレーニング、アウトドアが好きな方にはピッタリの相棒になります。一緒にさまざまなアクティビティを楽しむことで、愛犬との特別な絆を感じることができるでしょう。
まとめ
賢くてかっこいいイメージのあるボーダー・コリーですが、意外にも甘えん坊でおっちょこちょいな一面もあります。筆者自身、3頭のボーダー・コリーと共に暮らした経験がありますので、その魅力はここでは語り尽くせないほどです。
しかし、誰にでも飼いやすい犬種というわけではありません。ボーダー・コリーらしさを十分に発揮できるよう、彼らに合った飼い方をしてあげましょう。