皆さんは普段、愛犬や愛猫に何を飲ませていますか?食べ物と同様、口に入れるものにこだわる方も増えてきていますが、「緑茶」という選択肢はアリなのでしょうか。
緑茶は日本人には馴染み深い飲料ですし、健康に良いイメージもあるかもしれません。
今回は、小動物に緑茶を飲ませてもいいのかというテーマでお話しします。
この記事の目次
小動物に緑茶は禁忌か
チョコレートやタマネギなど、絶対に犬や猫に与えてはならないものはありますが、緑茶はどうなのでしょうか。
結論から言えば、飲ませない方がいいでしょう。
緑茶に含まれる成分には多量に摂取することで中毒症状を引き起こすものがあります。犬や猫はヒトより体重が軽いため、ヒトより少ない量の緑茶で症状が現れます。極小量の緑茶をひと舐めしただけで直ちに致死的になることは稀ですが、健康に悪影響がある可能性を考えると日常的に与えることは控えましょう。
また、意図せず愛犬や愛猫が緑茶を飲んでしまうこともあるかもしれません。飲みかけの湯飲みやペットボトルは放置しない、手の届かない場所に保管するなどの注意が必要です。
緑茶を摂取した後に見られる症状
犬や猫が緑茶を摂取すると以下のような中毒症状が認められることがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 落ち着かなくなる
- 多飲多尿
- 重度では痙攣、ふるえ、意識障害など
また、中毒症状を呈する緑茶の量には個体差があり、少量で嘔吐などが見られることもあれば、意外とけろっとしていることもあります。さらに、これはヒトでも同じことが言えますが、過剰に摂取することで命に関わることもあります。
緑茶に含まれる成分と生体への影響
緑茶には様々な成分が含まれており、中には健康に良い影響を与えるものもあります。一方で、多量に摂取することで中毒症状を呈するものもあります。
小動物にとって害となるかもしれない緑茶の成分には、以下のようなものが挙げられます。
カフェイン
緑茶に含まれる成分で中毒が心配されるのは、まずカフェインです。
カフェインはコーヒーやエナジードリンクに含まれ、眠気覚ましや集中力増強を目的として摂取する人もいます。しかし、犬や猫などの小動物がカフェインを摂取すると、神経系の過剰興奮によって中毒症状が現れることがあります。緑茶の中でも玉露入りのものはカフェインを多く含むので注意が必要です。
犬の場合、体重1kgあたり20mgのカフェイン摂取で中毒症状が現れると言われていますが、これより少ない量でも症状を呈することもあります。少量だから大丈夫と考えずに、もし緑茶を口にしてしまったら何かしらの症状が現れないか注意し、動物病院に相談しましょう。
サポニン
サポニンは強い苦味とエグ味を持つ成分で、抹茶などが泡立つ原因となります。ヒトでは抗酸化作用や抗菌・抗ウイルス作用などが報告されています。しかし、犬や猫が口にすると口内の痛みや嘔吐、下痢などを呈することがあります。
サポニンは緑茶だけでなく、カーネーションなどのナデシコ科の植物にも含まれます。これらの植物に触れるとサポニンの作用で皮膚炎を起こすことから、緑茶が皮膚に触れることによって皮膚炎を起こすことも考えられます。
カテキン
カテキンはヒトにおいて抗酸化作用、抗菌作用、抗がん作用などが確認されているポリフェノールの一種です。
犬においては緑茶抽出成分(カフェインを含む緑茶ポリフェノール)の投与によって肥満の予防や変形性関節症の症状緩和、歯周病の症状緩和などが見られたという報告があります。
一方で、同じ緑茶抽出成分の投与によって、原因不明の副作用(肝臓障害、腎臓障害、消化管障害、生殖器障害、造血器障害など)が認められたという報告もあり、緑茶の摂取によってこれらが発現することは充分に考えられるでしょう。
シュウ酸
シュウ酸はカルシウムと結びついて尿路結石の原因となる成分です。ほうれん草などシュウ酸が多く含まれる食品と比較すると緑茶中のシュウ酸は少量ですが、多量に摂取することで健康に影響を及ぼす可能性があります。
これもカフェインと同様に、玉露入りの方が含有量が多いとされています。
もしも愛犬や愛猫が緑茶を飲んでしまったら
緑茶を摂取して中毒症状が現れるかどうかは、その子の体質によるところが大きいです。
体重の小さい子ほど中毒に達するのに必要な成分量は小さくなりますので、超小型犬や小型犬、猫は注意が必要かもしれません。
また、自宅で吐かせようとすることは危険ですのでおすすめしません。インターネットに掲載されているような緊急対処は行わず、動物病院に連絡をして、すぐに受診するのが安心でしょう。
動物病院で行う処置
緑茶の摂取に対する特効薬はありませんが、毒素を吸着する薬剤を投与します。
また、摂取した量によっては催吐処置を行うこともあります。
まとめ
愛犬や愛猫に水以外のものを飲ませてあげようとすることは悪いことではありません。そういうときは動物用のミルクなどを用いるのがおすすめです。
人間が食べたり飲んだりするものを安易に動物に与えることは避け、愛犬や愛猫の安全をしっかり確保してあげましょう。