愛犬との暮らしが落ち着き、生活が安定してくると、生活リズムや犬への対応を変えることなく、同じやり方を続けることが多くなると思います。その場合、飼い主が意識的に改善や変化を検討しない限り、愛犬もずっと同じ生活を続けることになります。
しかし、良いと思って当たり前にやっていることや、逆にやっていないことが、実は犬に悪影響を及ぼし、病気やストレスの原因、問題行動の要因になっている可能性もあります。
今回の記事では、日々当たり前にやっていること・やっていないことに関して、見直したい愛犬への対応を5つ紹介します。
この記事の目次
①汚れたトイレシーツの放置
愛犬がおしっこをした時、トイレシーツはどれくらいの頻度で交換していますか。また、うんちをしたらすぐに片付けていますか。
うんちは人にとっても嫌なにおいであることが多く、すぐに片付ける方が多いでしょう。しかし、トイレシーツの片付けは、複数回おしっこをしないと片付けないという方もいるのではないでしょうか。
理想の交換頻度
おしっこをしたら、その都度新しいシートに交換することをおすすめします。
おしっこを放置しておくと菌の繁殖やカビの原因となり、愛犬の健康を害する可能性があります。また、犬は清潔な場所での排泄を好む傾向があります。そのため、シーツが汚れていると正しい場所で排泄できず、トイレの失敗を誘発する場合があります。
排泄をしたらシーツをすぐに取り替えてトイレを清潔に保ち、愛犬にとって快適なトイレ空間を用意してあげましょう。
②汚れた飲み水の放置
愛犬の健康を守るためには、水の衛生管理が重要です。水が汚れていたら、できるだけ早く交換しましょう。汚れた水でも、喉が渇いていると飲んでしまうことがありますが、衛生的ではありません。そのため、定期的に新しい水に替えてあげることが大切です。
飲み水の交換頻度は、1日に2~3回程度が目安ですが、もっと頻繁に交換しても問題ありません。特に、夏場は気温が高く水が早く悪くなるため、こまめに交換して清潔な状態を保つよう心がけましょう。
器も大切
可能であれば、水はサークルに取り付けるタイプの給水機ではなく、お皿であげましょう。給水機は一度に出てくる水の量が少なく、十分な水分補給が難しい場合があり、商品によっては容器の洗浄がしにくいというデメリットもあります。
お皿であれば飲みやすく、洗いやすいという点がメリットです。もし、愛犬が飲みにくそうにしている場合は、高さを調節してみましょう。首が下がりすぎていると誤嚥の原因にもなるため、適切な高さにお皿を設置することが重要です。ごはん皿も同様に、愛犬が食べやすい高さに調節することをおすすめします。
最近では自動給水機が販売され、水の交換頻度が少なくてもきれいな水が飲める商品も出ています。お留守番が多い場合など、このような製品を使用してみても良いでしょう。
③洗濯せずに使い続けるおもちゃ
愛犬のおもちゃを買ってから、一度も洗ったことがないという方もいるのではないでしょうか。しかし、犬が日々咥えたり噛んだりして唾液がたくさん付いているおもちゃは、雑菌が繁殖している可能性があります。
それを何度も使い続けることで、さらに菌が繁殖し、愛犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、それを触る飼い主にとっても衛生的ではありません。
さらに、唾液が付いたおもちゃはにおいの原因となり、犬によってはそのにおいが気になり、おもちゃを使うことを嫌がることもあります。
可能であれば、おもちゃを使うたびに洗濯するのが理想です。
素材別の選択方法
洗濯方法をおもちゃの素材別に紹介します。
布製のおもちゃ
手洗いまたは洗濯ネットに入れて洗濯機で洗います。洗濯機を使用するとおもちゃによっては劣化しやすくなるため、心配な方は手洗いをおすすめします。洗剤を使った場合は、しっかりと洗い流して乾かしましょう。
生乾きで使用するとカビが繁殖しやすくなり、洗った意味がなくなってしまいます。
プラスチック、ゴム製のおもちゃ
食器用洗剤で洗います。こちらも同様に、しっかりと洗剤を洗い流し、乾かすことが大切です。
その他にも洋服、ベッド、マット、ごはん皿、水のお皿など、愛犬の身の回りのものはこまめに洗浄し、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
音が鳴るおもちゃ
ピーピー鳴る笛のようなものが入っているおもちゃは、水洗いをすると笛の中に水が入り、乾きづらくなります。そのため、笛が入っているおもちゃや乾きづらいおもちゃは水洗いではなく、天日干しや日陰干しがおすすめです。
それでも愛犬がそのおもちゃを使わなくなった場合は、新しいものに交換しましょう。
④ごはんの放置
愛犬がごはんを残した場合、すぐに捨てていますか。それとも、食べるまでそのままにしていますか。
一度出したごはんを放置しておくと、劣化したり虫がついたりするのはもちろん、愛犬の唾液が付いた場合には、菌が繁殖することもあります。
そのため、ごはんが残っていても1時間以内に破棄することをおすすめします。
ごはんを食べないのはわがまま?
ごはんを放置するほど食べない原因は、どこにあるのでしょうか。
ごはんを食べないと、「わがまま」「選り好みしている」「贅沢」といった声をよく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか。愛犬が完食しない原因を考え、愛犬がしっかりごはんを食べられるように改善してみましょう。
ごはんを食べない原因として、以下のようなことが考えられます。
原因①美味しくない
ごはんが美味しくない、または愛犬の好みでないことが考えられます。
犬の味覚は人間ほど優れていませんが、嗅覚は人の約5000~1億倍も優れており、ごはんのにおいで食べたい・食べたくないを判断しているとも言われています。そのため、「味が美味しくない」「食べたいにおいをしていない」「開封から時間が経ちフードが劣化している」といった可能性があります。
対策
毎日のごはんの時間が愛犬にとって楽しみになるようなフードを見つけてあげられると良いでしょう。
今の時代、ドッグフードは安価なものから良質なお肉がしっかり使用された高価なものまで様々なものが売られています。みなさんの愛犬が食べているフードの原材料には何が書かれているでしょうか。
もし、小麦粉、麦、米、トウモロコシ、イモ、豆などの穀類やイモ類、豆類が多く表記されていて、愛犬の食いつきが良くない場合には、フードを変えることをおすすめします。
犬は肉食に近い雑食動物と言われているため、犬の食性に合った肉がフードの主原料で使われており、なおかつ原材料の大部分を肉が占めているものがおすすめです。
原因②エネルギー消費不足
お腹が空くほどエネルギー消費ができていない可能性があります。朝と夕方30分程度の散歩以外はのんびり過ごしているといった場合には、個体差はあるもののエネルギー消費が十分でないかもしれません。
対策
おもちゃ遊びやトレーニング、散歩中にダッシュをしたり、おもちゃで持ってこい遊びをするなど、体をしっかり動かせる機会を増やし、十分にエネルギー消費をさせてあげましょう。
ごはんをお皿であげるだけではなく、知育玩具やノーズワークマットなどを使い、犬の狩猟本能を刺激するようなごはんの食べ方をさせてあげるのもおすすめです。
原因③病気
口内に異常があったり、病気などにより痛みがあって食べられず、食欲がないことも原因として考えられます。
対策
これまで食欲旺盛だったにもかかわらず、ごはんを食べなくなったり、元気がないなどこれまでと違う様子があれば、獣医師に診てもらいましょう。
また、乳歯が抜け替わる時期の子犬の場合は、歯が抜けていて硬いドライフードが噛みづらく、食べられないこともあります。その場合は、フードをふやかしてあげてみるのも良いでしょう。
原因④飽き
これまで紹介した原因に思い当たることがなく、以前は食いつきがよかったのに徐々に悪くなってきたという場合には、飽きが原因の可能性があります。
対策
フードそのものを変えるか、同じフードでも味の種類がある場合には、味を変えてみましょう。犬も人と一緒で、同じものを食べていると飽きることがあります。飽きるまで同じフードをあげ続けるよりも、飽きる前に定期的に味やフードをローテーションすることをおすすめします。
フードを変える際は、下痢など愛犬の体調に変化がないかを見ながら、少しずつ変えていきましょう。
⑤同じ毎日の繰り返し
愛犬との生活が安定するのはとても良いことですが、日々同じ過ごし方になっていないでしょうか。「散歩⇒ごはん⇒寝る(留守番)⇒散歩⇒ごはん」の繰り返しでは、年齢や個体差はあるものの、愛犬の生活の充実度はあまり高いとは言えないかもしれません。
以下のような行動が見られる場合は、今の過ごし方では充実しておらず、対応が必要であると考えられます。
- 吠え
- 甘噛み
- 家具などを齧る
- シーツをビリビリにする
- ケージの中で落ち着けない
- 夜なかなか寝ない
- 早朝から起きて吠える
老犬の場合でも、成犬の時より活動量は減りますが、心地よい刺激や運動、頭を使うことはとても大切です。
対策
過ごし方のサイクルができるのは当然ですが、そのサイクルの中で愛犬が存分に楽しめることや没頭できることを取り入れてみましょう。
- 全力でおもちゃ遊びをする
- 新しいおもちゃを用意する
- ロングリードで思い切り走る
- 散歩中におもちゃ遊びをする
- 散歩の頻度や時間を増やす
- 普段と違う道や公園を散歩する
- 知育玩具やノーズワークマットを使ってごはんをあげる
- 様々なトレーニング項目に挑戦する
- 子犬や犬が好きな子の場合は犬の幼稚園を利用する
- ノーズワークをする
頻繁にできることではありませんが、愛犬に負担のない範囲で国内旅行に行くのも良いでしょう。普段とは違う場所や経験することで、愛犬の新たな一面が見られることもあり、きっと良い思い出になるでしょう。
まとめ
スマホや動画、ゲームなど、暇つぶしの手段が豊富にある人とは異なり、犬たちは与えられた空間でしか過ごすことができません。トイレシーツや飲み水の交換頻度、食事の内容など、犬の生活に関わることを決めるのは飼い主です。
大きな問題がなければ現状維持でも良いかもしれませんが、愛犬にとってより良い対応が何かを考えることで、改善できることが見つかるかもしれません。
愛犬の日々の充実度や満足度を上げるためにできることを考え、大切な家族との過ごし方を少しずつ、より良いものに変えてみてはいかがでしょうか。