一匹でも多くの動物の命を救おうと、全国各地でたくさんの保護団体が日々活動を続けています。それでもなお、過酷な環境で暮らす犬や猫は後を絶ちません。
そして、そうした現場の“リアル”な姿は、あまり広く知られていないのが現状です。
本記事では、公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)が、日本最大級のペットイベント「第14回インターペット」で開催したパネル展の展示内容をもとに、保護された動物たちの18のエピソードを、保護前と保護後の写真とともにご紹介します。
彼らの変化を通じて、保護活動がもたらす希望について、考えるきっかけになれば幸いです。
⚠️ ご注意ください
「保護犬猫 Before / 救出直後の様子を見る」という箇所をクリックすると、保護される前の犬猫たちの画像が表示されます。
過酷な状況を写したものも含まれておりますので、閲覧の際はご自身の判断でご覧ください。
これらの画像は、動物保護の現場で実際に起きている現実をお伝えするために掲載しています。
この記事の目次
- ①壮絶な環境からレスキューされた犬「パーシー」
- ②トラバサミの罠にかかり片腕を切断した猫「よしお」
- ③2年間お風呂場に閉じ込められていた猫「とら」
- ④痛々しい傷の治療を乗り越えた犬「アルゴス」
- ⑤人に出会い笑顔になった元野犬「海」と「海斗」
- ⑥見るも無残な姿で保護された犬「大吉」
- ⑦重傷で保護され片脚を切除した猫
- ⑧保護され温和な顔になった猫「ミミゲ」
- ⑨毛玉だらけの長毛がフサフサに変わった猫「かもしれない運転」
- ⑩人間を咬む犬が心を開くまで「ミミ」
- ⑪死の恐怖の中からレスキューされた犬「おわん」
- ⑫元猟犬?放浪中を保護された犬「てん」
- ⑬カリシウイルスで瀕死から回復した猫「マイナーリーグ」
- ⑭優しい人に発見され、家族になった犬「だん」
- ⑮すくすくと成長した元野良の猫「ぷろ」
- ⑯脱毛し、ガリガリの姿で助け出された犬「すみれ」
- ⑰立ち上がれないほどの餓死寸前から復活した犬「オリーブ」
- ⑱酷い疥癬から見違えるほどの姿になった犬「なあ」
- アニドネとは
- 最後に
①壮絶な環境からレスキューされた犬「パーシー」
不衛生で亡骸が散乱する多頭飼育崩壊から救出されたパーシー。救出時は栄養失調、脱水、極度の分離不安と対人恐怖症でした。時間をかけて少しずつ心を開いて落ち着きを取り戻し、新しい飼い主さんのもとへ。大事にされて飼い主さんの腕の中で一生を終えました。
保護した団体
特定非営利活動法人 日本動物生命尊重の会 アリス
②トラバサミの罠にかかり片腕を切断した猫「よしお」
野良猫のよしおは、使用が制限されているはずのトラバサミを引きずっているところを保護され、保護団体の附属動物病院で肩から切断することになりました。その後エイズ陽性も発覚。よしおを自宅に迎えた保護団体スタッフは「賢く優しい素敵な相棒」と話します。
保護した団体
公益財団法人 神奈川県動物愛護協会
③2年間お風呂場に閉じ込められていた猫「とら」
お風呂場にずっと閉じ込められていたとらちゃんと、白猫たち。このような状況で約2年間過ごしていたと思われます。その間、この場所で血縁内で生まれた猫たちもいました。今とらちゃんは新しい飼い主さんが見つかり、ご覧のような甘えん坊です。
保護した団体
特定非営利活動法人 しあわせにゃん家
④痛々しい傷の治療を乗り越えた犬「アルゴス」
保護団体のシェルター付近に傷を負った犬が放置されていました。すぐに保護し、アルゴスと命名。検査の結果、皮膚が炎症を起こす自己免疫の問題が発覚しました。穏やかな性格のアルゴスは痛々しい傷の治療も頑張りました。2年かけ幸せな家族と出会いとびっきりの笑顔になりました。
保護した団体
認定特定非営利活動法人 アニマルレフュージ関西
⑤人に出会い笑顔になった元野犬「海」と「海斗」
廃業した牛舎の中で2匹寄り添って生きてきた野犬の海ちゃんと海斗くん。人間と交流する経験は皆無でした。保護当時は恐怖で怯えていましたが、シェルターで1年以上かけて心のケアと訓練を繰り返しました。今では人にも慣れ、ドッグランで遊ぶのが大好きだそうです。
保護した団体
認定特定非営利活動法人 HOKKAIDOしっぽの会
⑥見るも無残な姿で保護された犬「大吉」
「路上でキツネが死んでいる」と通報があり保健所に搬送された大吉。犬と判別できないほどボロボロの姿だったのです。去勢済で一般の飼い主が飼育放棄したと思われます。現在は新しい飼い主さんにいっぱい甘えているそうです。
保護した団体
認定特定非営利活動法人 HOKKAIDOしっぽの会
⑦重傷で保護され片脚を切除した猫
骨が剥き出しになった痩せ猫の情報が寄せられ、保護。右前脚は腐り、手の平から先は抜け落ちていました。獣医も驚くほどの重傷で、急遽右前脚を切除することに。リハビリを乗り越え、今ではキャットタワーにも登れるほど回復。人懐っこい性格で新しい家族を待っています。
保護した団体
特定非営利活動法人 ねこひげハウス
⑧保護され温和な顔になった猫「ミミゲ」
餌場に全く人慣れしてない口唇裂の猫が来ていると情報が入り、鼻づまりと味噌っ歯でごはんを食べなくなって保護されたミミゲ。抜歯の際に口唇裂も縫い、今ではシェルターで生活しています。顔つきもとても温和になり、まるで別猫。おとなしい甘えん坊さんです。
保護した団体
ねこ友会
⑨毛玉だらけの長毛がフサフサに変わった猫「かもしれない運転」
生活保護を受給している高齢者が外の猫を自宅に引き入れたことで増えてしまった猫たち。レスキューされた「かもしれない運転」はブラッシングもされておらず、汚れた毛玉がたくさんついていました。その後、団体の運営する保護猫カフェで新しい飼い主さんと出会いました。
保護した団体
特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道
⑩人間を咬む犬が心を開くまで「ミミ」
元飼い主を咬むことから雪の中外飼いされ、飼育放棄で保健所に相談があったミミくん、推定12歳。保護団体スタッフはなぜ噛むのかはすぐに判りました。それは攻撃ではなく不安から自分を守るため。安心できる家族に心を開き毎日笑顔に!
保護した団体
特定非営利活動法人 手と手の森
⑪死の恐怖の中からレスキューされた犬「おわん」
牧場内で発生した200頭の犬の多頭飼育崩壊。子犬は牛に踏まれるなどで命を落とす日常でした。そんな恐怖の中から保護された子犬のおわん、心の傷が癒えるまで長い時間がかかりましたが、コマンドを覚え人との生活に馴染んだ頃に新しい飼い主さんに出会い幸せを掴みました。
保護した団体
犬のM基金
⑫元猟犬?放浪中を保護された犬「てん」
首輪をつけて放浪しているところを通報・保護された猟犬種のてんちゃん。当時はガリガリに痩せ細っていて、何度も出産したことが伺えるので繁殖犬だったのかもしれません。保護後徐々に体重も増えていきました。少しずつ人間にも慣れ、天真爛漫な笑顔を見せています。
保護した団体
認定特定非営利活動法人 キドックス
⑬カリシウイルスで瀕死から回復した猫「マイナーリーグ」
飼い主が緊急入院したことをきっかけに、疎遠だった家族に連絡があり猫の多頭飼育崩壊が露呈。レスキューが入りました。「マイナーリーグ」はカリシウイルスを発症しており瀕死状態でしたが、治療、抜歯、眼球摘出を乗り越えてくれました。今では人懐っこくて抱っこもできます。
保護した団体
特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道
⑭優しい人に発見され、家族になった犬「だん」
山の上で保護された迷子のだんちゃん。発見時はボロボロで草だらけでした。新しい家族が現れないことを気に病んだ保護主さんが家族に迎え入れたそうです。先住犬のももちゃんとここちゃんにいろいろ教わり、すっかりお利口さんに。高齢犬でしたが幸せをつかみました。
保護した団体
一般社団法人 ゆめまるHAPPY隊
⑮すくすくと成長した元野良の猫「ぷろ」
痩せ細ったお母さんの野良猫(キョロ)とともに保護された子猫たち。その中にぷろちゃんはいました。子猫たちは食欲もなく嘔吐などもしていたので、すぐに病院に連れて行きました。その後はすくすくと育ち、このリラックスぶり。新しい飼い主さんも見つかりました。
保護した団体
特定非営利活動法人 しあわせにゃん家
⑯脱毛し、ガリガリの姿で助け出された犬「すみれ」
ガリガリの姿で愛護センターに収容され、団体が引き出したすみれちゃん。脱毛も起こしていました。人馴れしているので飼い犬だったのだと思います。栄養状態を整えることで次第にふっくらして毛並みもきれいに。新しい飼い主さんのもとで楽しく暮らしています。
保護した団体
特定非営利活動法人 アグリドッグレスキュー
⑰立ち上がれないほどの餓死寸前から復活した犬「オリーブ」
推定3歳、遊びたい盛りの年齢なのにやせ衰えた状態で動物愛護センターに収容。「必ず助ける」と誓った保護団体が名付けた名前は平和の象徴である「オリーブ」。噛む・吠えるは自分を守るため。にぎやかな家族と出会い、今では本来の甘えたがり&わがままっぷりを発揮。
保護した団体
特定非営利活動法人 ファミーユ
⑱酷い疥癬から見違えるほどの姿になった犬「なあ」
保健所からの依頼でレスキューに入ると、猫の多頭飼育崩壊の中になあくんを含む3頭の犬もいました。当時なあくんはノミとダニだらけで疥癬を起こしていました。保護後、次第に毛も生えてきて、フワモコな姿に変身。今は新しい飼い主さんに愛されて暮らしています。
保護した団体
一般社団法人 ゆめまるHAPPY隊
アニドネとは
公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)は、動物福祉活動に取り組む団体と寄付をしたい人をつなぐ、動物専門オンライン寄付サイトを運営する中間支援組織です。
保護動物や寄付に関心があっても、「どこに支援すればいいのか分からない」という声は少なくありません。アニドネでは、信頼できる動物福祉団体を独自に審査・認定したうえで掲載し、寄付を適切に届ける仕組みを提供しています。
その活動は寄付サイトの運営にとどまらず、認定団体のサポートや、動物福祉の啓発活動など多岐にわたります。今回ご紹介したエピソードが展示されたパネル展も、そうした取り組みの一環として開催されました。
9つから選べる支援の形
アニドネでは、まとめて全団体へ寄付するだけでなく、関心のある分野を選んで寄付したり、商品を購入することで寄付につなげたりと、さまざまな支援方法が用意されています。
ご興味のあるかたは、こちらのページもご覧ください。
保護犬猫のリアル「幸せになった保護犬猫たち Before / After – AWGs」
今回は、AWGsの一環として、公益社団法人アニマル・ドネーション様のご協力のもと、ストーリー部分を同団体の記事より転載しました。
読者の皆さまの心理的ショックを和らげるため、記事内の画像は一部加工を施したうえで配信しておりますが、オリジナル版ではカラー写真で、保護動物たちが置かれている過酷な現実をそのままご覧いただけます。
AWGs とは
AWGsとは、動物の目線で考えたSDGs。
日本の犬猫の世界を変えるためにAWGs全体のゴールと犬猫たちの“当たり前の欲求”を叶えるための「13のゴールと31のテーマ」を独自設定した問題提起&アクションサイトです。
最後に
今回ご紹介した18のエピソードは、過酷な環境から保護団体によって救出され、丁寧なケアと愛情によって見違えるような変化を遂げた動物たちの記録です。
保護現場には、たしかに胸が痛むような現実があります。それでも、保護を通じて彼らに新たな希望がもたらされたことを、写真やエピソードから感じ取っていただけたなら幸いです。
そしてこれからも、ひとつでも多くの命にあたたかな手が差し伸べられることを願っています。