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コラム

ノネコと野良猫は何が違うの?あいまいな法律の基準と残虐な事件

千葉 綾 シェリー編集部

皆さんは「ノネコ」や「ノイヌ」と呼ばれる犬猫たちをご存じでしょうか。飼い猫や飼い犬、野良猫や野良犬とも異なる存在の彼らは、現在の日本の法律においてひどい虐待や殺害を受ける可能性があり、その生命を守るための署名活動には4万人以上の人々が参加しています。

本記事では、ノネコ・ノイヌの法律の問題と実際にあった事件について取り上げていきます。

「飼い猫」「野良猫」「ノネコ」何が違うの?

「ノネコ」や「ノイヌ」という言葉に聞き馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。人間に飼われている飼い猫と、飼い主がいない野良猫やノネコの違いはわかりやすいですが、同じように飼い主がいない猫でも野良猫とノネコの違いは一体何なのでしょうか。

  • 野良猫・野良犬:飼い主の元を離れてはいても、市街地または村落を徘徊している
  • ノネコ・ノイヌ:飼い主の元を離れて常時山野等にいて、専ら野生生物を捕食し生息している
    (環境省:パブリックコメントにおける主な意見への回答より)

環境省の見解では、生息地域や捕食動物の違いによって「野良猫・野良犬」と「ノネコ・ノイヌ」を区別していますが、この概念は非常にあいまいなのです。なぜなら、ノネコが市街地を徘徊することもあるでしょうし、野良猫が野生動物を捕食することもあるからです。

しかし、同じ猫であっても人間から「ノネコ」と認識されるのか「野良猫」と認識されるのかによって、法律的な扱いに大きな違いが生じます。

  • 野良猫・野良犬:「動物愛護管理法」により愛護動物とされ、みだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科される。やむを得ず殺処分しなければならない場合は、できる限りその動物に苦痛を与えない方法で行う必要がある。
  • ノネコ・ノイヌ:「鳥獣保護管理法」により狩猟鳥獣とされ、肉や毛皮を利用する目的で捕獲、殺傷することが認められている。虐待、虐殺されたとしても違法にはならず、殺傷方法についても明記されていない。

同じ猫や犬であるのに、生息地域やエサの違いで虐待や虐殺の違法性が変わることに、違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。また、ノネコやノイヌの中には飼われていたものが捨てられ、野生化した個体も少なくありません。身勝手な人間の行動により、愛護動物だったものが狩猟鳥獣にされるという、とんでもなく理不尽な扱いを受けるのです。

2023年春の残虐な事件

2023年3月、広島県で猫を殺したとして動物愛護法違反容疑で大学院生の男が逮捕されました。その男は文章で表現するのも憚られるような残虐な方法で猫を殺し、その様子を動画投稿サイトに公開していました。その動画は現在非公開になっていますが、約1ヶ月で35万回以上再生されたそうです。

逮捕後に男は「猫を殺したことに間違いないが、愛護動物にあたらないノネコだと思っていた」と供述しています。しかし、被害にあった猫は人に対する警戒心が薄く、体の状態からもノネコではなかった可能性も指摘されています。逮捕された男は、法律や狩猟鳥獣に精通し、法の穴をすり抜けながら動物虐待を楽しんでいたと考えられます。

もちろん、ノネコであるからといって決してむやみに虐殺されて良いわけはありません。ここで考えたいのは、現行の法律のままであれば、捕獲者自身がその動物をノネコやノイヌと判断すれば、どんなに悪質でひどい動物虐待や虐殺でも「狩猟」という名のもとに合法化されてしまう危険性がある、ということです。

狩猟鳥獣からの削除に4万人超の署名が

このような事件をきっかけに、公益財団法人「どうぶつ基金」では、狩猟鳥獣からノネコ・ノイヌの削除を呼びかけ、オンラインで署名活動を行っています。2023年7月の時点で、4万人超の署名が集まっています。

※署名ページはこちらをご覧ください

猫や犬の殺害犯罪をなくすためノネコ、ノイヌを狩猟鳥獣から削除してください – change.org
https://www.change.org/SaveNoneko

ノネコが狩猟鳥獣でなければ、今回のような残虐な事件は起きなかった可能性があります。また、当該動画が非常に多く再生されていたことを考えると、残念ながら似たような思考を持つ人間も少なくないのかもしれません。そのため、狩猟鳥獣からの削除により、悪辣な人間が動物たちに手を出す口実を無くしていくことが重要なのではないでしょうか。

最後に

私たちの一番身近な動物である猫と犬ですが、同じ動物でもノネコやノイヌだった場合、虐待や虐殺されても違法にならないという理不尽な状況におかれています。この状況を変えるために一人ひとりが出来ることを、多くの方に考えていただきたいと思い、今回取り上げました。

そして、その多くが元々は人間に飼われていたペットだったということも忘れてはなりません。人間によって振り回された動物たちの命を、これ以上粗末にすることは許されないのではないでしょうか。

関連リンク

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