犬に関する支出はここ10年でどう変わってきているのでしょうか?ペット保険のアニコム損害保険株式会社が同社の契約者に対し毎年行っている調査結果をもとに、2016年から2025年の10年間の推移を分析しました。
現在、犬を飼っている人も、これから飼いたいと思っている人も、何にどのくらいお金が掛かるのか、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
調査方法と項目

アニコム損保では、契約者を対象に、1年間でペット1頭にかかった費用について、毎年インターネットでアンケート調査を実施しています。調査項目は以下の15項目です。
- ケガや病気の治療費
- フード・おやつ
- サプリメント
- しつけ・トレーニング料
- シャンプー・カット・トリミング料
- ペット保険料
- ワクチン・健康診断等の予防費
- ペットホテル・ペットシッター
- 日用品
- 洋服
- ドッグランなど遊べる施設
- 首輪・リード
- 防災用品
- 交通費
- 光熱費(飼育に伴う追加分)
「サプリメント」、「交通費」、「光熱費」は2017年の調査から項目に追加されています。
ケガや病気の治療費は最大の支出に

ペットの医療も人間並みに進歩し、高齢化などにより、高額な医療費が必要となるケースも珍しくありません。近年、ペットの健康志向が高まっていることから、愛犬家にとって「ケガや病気の治療費」は気になるところでしょう。2025年の調査では、この項目が最も高額な支出となりました。
10年前の2016年には57,129円、その後は5万〜7万円台で推移していました。しかし2024年に80,371円、2025年には89,120円へと大きく増加しています。

ただし、費用は犬の年齢によっても大きく異なります。『アニコム家庭どうぶつ白書2025』によると、1歳の年間診療費の中央値は23,400円、5歳で37,895円となっており、6万円を超えるのはシニア期に入る8歳頃で62,680円です。その後は年齢とともにさらに増加していきます。
また、治療費は小型犬よりも大型犬の方が高くなる傾向があります。年によって波がある「ケガや病気の治療費」ですが、近年は平均で9万円近くに達しており、家計への負担が大きい項目だと言えそうです。
保険料や病気予防のための支出は増加傾向

ペットの健康志向は、保険料や病気予防に関する支出にも反映されています。「ペット保険料」は2016年の43,799円から2019年には50,155円まで上昇しました。その後はやや落ち着き、2025年には44,879円となっています。
「ワクチン・健康診断等の予防費」は2017年に初めて3万円台に達し、近年は3万円台で安定的に推移、2025年には34,024円となっています。これに前章の「ケガや病気の治療費」を加えた、ペットの健康関連の年間支出は、この10年でおよそ12万円から17万円近くへと増加しています。

フードやおやつの支出は10年で約1.6倍に

2025年調査で2番目に高額だったのは、犬の食費にあたる「フード・おやつ」でした。
2016年の支出は49,994円でしたが、その後も増加が続き、2020年には6万円台に達しました。さらに2024年には82,747円、2025年には80,029円まで伸びています。この10年間で支出は約1.6倍に増加し、月額換算では約6,700円の出費です。
近年はヒューマングレード製品やグルテンフリー、オーガニックなど、ドッグフードにこだわる人も増えています。こうしたプレミアムフードの人気に加え、円安や原材料価格の上昇なども、支出増加の一因になっている可能性があります。

食事と同様に犬が口にするものとして、2017年から「サプリメント」が調査項目に加えられました。年によって変動はありますが、支出額は概ね1万円から1万5千円の範囲で推移しています。
サプリメントはフードのような必需品ではないため、全く費用をかけない人もいるでしょう。逆にこれ以上の金額をかけて、愛犬にサプリメントを与えている健康志向の飼い主も増えている可能性があります。
サプリメントについては、こちらの記事をご覧ください。
美容や手入れに関する支出は大きな変動なし

かつては一般的でなかった犬のトリミングも、現代ではすっかり定着しています。「シャンプー・カット・トリミング料」は4万5千円から5万円前後で推移しており、緩やかな増加傾向が見られます。
犬の洋服代は約1万2千円から1万3千円で大きな変動は見られません。その背景には、過去10年間の人気犬種ランキングに大きな変化がないことが一因と考えられます。

年間支出はここ数年で40万円台に上昇

すべての調査項目を合計した年間支出の推移を見ていきましょう。

「サプリメント」「交通費」「光熱費」が追加された2017年は、支出が44万円と高額になっています。その後は30万〜35万円台で推移していましたが、2024年・2025年は41万円台まで上昇しました。
この背景には、「ケガや病気の治療費」や「フード・おやつ」といった支出の増加があります。一方で「しつけ・トレーニング料」や「ペットホテル・ペットシッター」など、支出が大幅に減少している項目(注)もあります。
注の補足
「しつけ・トレーニング料」や「ペットホテル・ペットシッター」に関しては、2017年と2018年で大幅な数値の変動が見られます。調査方法や項目の分類が変更された可能性があり、実際に支出額が大きく減少したかどうかははっきりしていません。このため、10年前の数値と比較すると大きな変化があるように見えます。
支出の内訳
2025年の年間支出の内訳は、以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ケガや病気の治療費 | 89,120 |
| フード・おやつ | 80,029 |
| サプリメント | 13,117 |
| しつけ・トレーニング料 | 7,474 |
| シャンプー・カット・トリミング料 | 50,575 |
| ペット保険料 | 44,879 |
| ワクチン・健康診断等の予防費 | 34,024 |
| ペットホテル・ペットシッター | 8,291 |
| 日用品 | 14,037 |
| 洋服 | 12,439 |
| ドッグランなど遊べる施設 | 4,633 |
| 首輪・リード | 6,073 |
| 防災用品 | 1,557 |
| 交通費 | 24,895 |
| 光熱費(飼育に伴う追加分) | 22,273 |
| 合計 | 413,416 |
生涯飼育にかかる支出は410万円から620万円以上に

この調査を元に、生涯飼育にいくらかかるかを算出していきましょう。
犬の寿命は10年から15年程度と言われていますので、2025年の年間支出をもとに単純計算すると、犬1頭の生涯の飼育には4,134,160円から6,201,240円という金額が掛かることが、この調査結果からわかります。
ただし、これらの数値はあくまでアニコムの契約者を対象にした調査の「平均値」であり、実際にかかる費用は、犬のサイズ、病気の頻度、嗜好品への関心度合いなどによって個体差があります。
最後に

このように、支出額だけを見ても「かわいい」「癒やし」だけでなく、経済面も含めて終生飼育を考える必要があることがわかります。
もちろん、お金の問題だけではなく、命ある動物を飼う以上さまざまな責任が伴いますが、経済面においても終生飼育の覚悟や準備が必要であることを実感させられる調査結果だったのではないでしょうか。
また、調査結果からは健康関連の支出が増加していることもわかります。愛犬との生活をより充実させるためには、最低限の支出に加え、健康管理への支出も念頭に置いておくことが大切かもしれませんね。
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