ブルドッグは、一見怖そうな印象もありますが、その見た目に反して実はとても穏やかな性格をしていることをご存知でしょうか?
イギリスの国の犬にも指定されており、日本でも人気のある犬種ですが、ブルドッグ特有の問題も抱えています。
この記事では、ブルドッグの歴史や特徴、飼い方のポイントについてご紹介していきます。これから飼おうと思っている方だけでなく、現在飼っている方も、改めて飼育環境等の確認をしましょう。
この記事の目次
ブルドッグの歴史
ブルドッグはもともと、イギリスで行われていた牛と犬を戦わせる「ブルベインティング」という競技のために、マスティフ系の犬を改良して誕生しました。
その後、さらに改良が重ねられると、シワのある顔と大きな頭の特徴が目立つ犬種になりました。当時は体重が60kgもあったそうです。
1835年にイギリスで動物虐待法が成立すると、ブルベインティングは禁止されました。
愛好家たちにより、体は小さく改良され、攻撃的な性格が取り除かれると、現在のような温和で穏やかなブルドッグになり、多くの人に愛されるようになりました。
日本のソースブランドにも
ブルドッグといえば、「ブルドックソース」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。これは1900年頃に日本でブルドッグブームが起こり、「ブルドッグのように可愛がってもらいたい」という意味を込めて命名したそうです。
なお、ブルドックソース株式会社の英語表記は「Bull-Dog」ですが、創業者が濁音が続くのを避けたため、日本語では「ブルドック」と表記します。
ブルドッグの特徴
身体的特徴
ブルドッグの体高は31〜36cm、体重はオスで25kg、メスで23kgほどです。
大きな頭、広い肩幅、大きく飛び出た目、がっしりとした四肢が特徴的で、小さな耳はバラの花のように広がっていることから、「ローズイヤー」と呼ばれています。
被毛
被毛はダブルコートで、換毛期には多くの毛が抜けます。
毛色は、ブリンドル(地色に黒や茶などの色が縞模様になったもの)、レッド、フォーン(金色)、ファロー(淡い黄色)などの単色か、これらの色とホワイトを組み合わせたパイドがあります。
ブルドッグの性格
やさしく穏やかで、他の犬や子どもとも仲良くできます。我慢強く、誰からも愛される犬種です。
一方で、マイペースで頑固な一面もあり、嫌なことや口に合わないご飯は頑なに拒否したり、散歩中に動かなくなったりしてしまうこともあるため、小さい頃からしつけをしておくことが重要です。
ブルドッグの好発疾患
ブルドッグは、深いシワと短頭犬種という特徴から、いくつかかかりやすい病気があります。特に、以下の疾患は注意しましょう。
- 皮膚病…シワの間に汚れがたまり、雑菌が繁殖して皮膚に炎症が起こる。
- チェリーアイ…目頭にある瞬膜が赤く腫れて、目の外に飛び出してしまう。
- 呼吸器障害…気道が狭くなり呼吸が困難になる。いびきや呼吸音が気になったら要注意。
- 熱中症…体温が上昇し、呼吸が速くなったり意識が混濁したりする。
ブルドッグが抱える問題
人工的に品種改良されてきたブルドッグは、いくつかの深刻な問題を抱えています。
遺伝的な多様性が低い
人間にとって理想的な見た目にするために少ない集団で交配が行われたことから、ブルドッグは遺伝的な多様性が低くなってしまいました。
2016年に報告された研究によると、北米、ヨーロッパ、アルゼンチンで暮らす計139匹のブルドッグのゲノム構造がほぼ同じであったことがわかっています。
遺伝的多様性が低いと、遺伝病を発症しやすくることから、ブルドッグの疾患は今後急増する可能性が示唆されました。
自然分娩ができない
ブルドッグの8割は帝王切開により生まれています。
これは、ブルドッグの胎児の頭が大きい一方で、親の骨盤が小さいことから、自然分娩はほぼ不可能なためです。
ブルドッグの飼い方のポイント
ブルドッグが健康的に生活していく上で、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
過度な運動を
ブルドッグはあまり運動が得意ではありません。20〜30分程度の散歩を1日2回行えば十分ですので、過度な運動をさせないように気をつけましょう。
体が重いため、激しい運動をしすぎると足や関節に負担がかかってしまいます。
シワの間を清潔に保つ
シワの部分は蒸れやすく、細菌が繁殖しやすいことから、放置してしまうと皮膚病の原因になります。
濡れたタオルでしっかり汚れを落とし、キレイにしたあとは水分を拭き取ってあげましょう。
夏場は室温に気をつける
短頭犬種であるブルドッグは、熱中症になりやすいため、室内で飼いましょう。その際、室温だけでなく湿度にも注意することが大切です。
また、夏の散歩は暑い日中を避けて、なるべく早朝か夜の涼しい時間帯にするようにしましょう。
まとめ
特徴的な見た目をしているブルドッグに魅力を感じ、愛してやまない人も多くいます。一方で、その特徴を維持するために遺伝的な多様性が低下し、遺伝病を抱えていたり、自然分娩ができなかったりと、目を背けてはいけない問題もあります。
ブルドッグを飼うことを決めたら、それらの問題を理解した上で、愛犬が幸せに過ごせるような環境を整えてあげてください。