飼うのは危険?!条例で指定されている「特定犬」とは

2024.05.08
飼うのは危険?!条例で指定されている「特定犬」とは

ペット先進国と言われるイギリスやアメリカの一部の州では、危険な性質を持つ犬種を飼育すること自体を禁止しています。
それでは、日本において「飼うことが出来ない犬種」はあるのでしょうか?

結論から言うと、日本で飼育が禁止されている犬種はありません。しかし、一部の自治体では条例で「特定犬」として定められている犬がおり、飼育するにあたって遵守事項が設けられています

今回は、そんな「特定犬」について、解説していきます。

この記事の目次

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特定犬とは

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特定犬とは、人に危害を与える恐れがある「特定の犬種」や、「一定以上の大きさの犬」を各自治体の条例で定めているものです。
日本では、以下の自治体が特定犬制度を導入しています(2022年10月現在)。

1.特定の犬種

共通して指定されている犬種は以下の通りですが、各自治体で異なる犬種を特定犬として指定していますので、気になる方は上記のリンクから詳細をご確認下さい。

  • 秋田犬
  • 土佐犬
  • ジャーマン・シェパード・ドッグ
  • ドーベルマン
  • グレート・デーン
  • アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(アメリカン・ピット・ブル・テリア)

2.一定以上の大きさの犬

一定の大きさ以上の犬も特定犬として指定している自治体があります。犬種は関係なく、雑種犬も含まれます。

  • 茨城県、水戸市:体高60センチメートルかつ体長70センチメートル以上の犬
  • 佐賀県:体高65cm以上の犬

「体高」や「体長」と言われても、ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
おおよその目安になりますが、一般的な大型犬の「ゴールデン・レトリーバー」は大きい個体は該当する可能性があり、それよりも大きい「秋田犬」くらいのサイズになると、多くの犬が上記の条件に該当します。

3.首長が指定する犬

各自治体共に、県知事や市長が危険性のある犬(咬傷事故の再発等)と判断した場合、特定犬として指定するとしています。

特定犬が指定された背景

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1979年、茨城県が全国に先駆けて特定犬制度を導入しました。きっかけは、前年に県内で人が大型犬に咬み殺される事故が2件発生したためです。

冒頭でもお話した通り、現在の日本には飼えない犬種はありません。好きな犬種を飼う自由があると捉えることも出来ますが、一方で犬の知識が無く、しつけせずに犬を放っておくような人でも、攻撃的な性質を持つ犬種を飼うことが出来てしまう点は、とても危険だと言えるでしょう。

特定犬制度を採用することによって、飼い主の飼育管理意識を向上させ、重大な咬傷事故を防ぐ狙いがあると思われます。

特定犬を飼育したい場合

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上記のように特定犬制度を採用している自治体にお住まいの場合は、遵守事項を確認して下さい。また、特定犬制度が採用されていない自治体でも特定の犬種の飼い方について注意喚起を行っている場合もありますので、今一度お住まいの自治体のホームページ等を確認していただくことをおすすめします

ここからは、茨城県の特定犬の遵守事項についてご紹介していきます。

特定犬の遵守事項①「おり」の中で飼育する

茨城県では、飼育する「おり」について、次のように定義されています。

  • 上下四方が囲まれていること
  • 十分な強度を持っていること
  • 人に危害を加えられない構造になっていること


(画像:茨城県公式ホームページ、特定犬リーフレットより)

特定犬の遵守事項②標識を掲示する

特定犬を飼育している旨の標識を、住居の出入り口等の見やすい場所に貼ることが定められています。

特定犬が必ずしも危険なわけではない

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2021年の環境省の調査によると、犬による咬傷事故が年間4000件以上起きています。その中で「特定犬」が起こした事故がどのくらいあるのかは、残念ながらわかっていません。

そして、特定犬だからといって必ずしも危険な犬とは限りません。例えば、特定犬に指定されているグレート・デーンは「優しい巨人」という別称が付けられるほど、温厚な性格で知られています。しかし、攻撃的な性格でなかったとしても、きちんとしつけをしなかった場合は、体の大きさから悪気なく人を傷つける可能性が高くなります。

「特定犬=危険」というわけではなく、一般的な小型犬や中型犬を飼うよりも、きちんとしたしつけや高い管理能力が飼い主に求められる犬種と言えるでしょう。

まとめ

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不幸な咬傷事故の再発を防ぐために制定された「特定犬制度」。わたし達に出来ることは、攻撃的な性質を持つ犬や扱いが難しいとされている犬種を安易に飼わないこと、犬種の特徴を知ってから飼うことなどではないでしょうか。

特に大型犬を飼う場合は、問題行動が起きる前の子犬の頃からドッグトレーナーに相談することをおすすめします。

また、大型犬に限らず全ての犬に言えることですが、自分の愛犬が他人を傷つけないために、犬のしつけや飼育管理には十分に気を配っていきましょう。

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