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犬が自閉症児の生活をより豊かにする理由とは?自閉症児向け介助犬が果たす役割

Risa
Risa シェリー編集部

自閉症の子供は、対人関係をなかなか上手に築けなかったり、ちょっとした変化でパニックを起こしやすかったりします。
そんな自閉症の子供が犬と接することで、ストレスを和らげたり、特別な信頼関係を築いたり、他にもさまざまなメリットを得られると言われています。

日本ではあまり耳にしませんが、自閉症児向けに訓練された介助犬も存在しています。ここでも犬はヒトの支えになっています。そんな介助犬はどのような役割でお仕事をしているのでしょうか。自閉症の子供が犬と接することでどのようなメリットがあるのか、そして介助犬のお仕事内容についてご紹介します。

100人に1人は自閉症?

ブランコ
自閉症はさまざまな遺伝的な要因が複雑に絡み合って起こる生まれつきの脳機能障がいで、軽い症状の場合も含めると100人に1人が自閉症だと言われています。

自閉症の主な特徴として、対人関係の障がい、危険察知能力の低さ、精神の不安定性などがあげられますが、症状や程度は人それぞれです。

これらの症状をもつ子供たちは、対人関係をうまく築けなかったり、自尊心を失くしてしまったりしやすいと言われています。その結果として、学校を休みがちになったり、人とのコミュニケーションを嫌がったりするようになってしまいます。

自閉症の子供が犬と関わるメリット

癒しの犬

ストレスを軽減する

動物と関わることは、心拍数やコルチゾールレベルを低下させ、ストレスを軽減するという研究結果があります。

コルチゾールとは?
コルチゾールは、副腎皮質ホルモンの一種で、一般的にはストレスホルモンとも言われます。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらすとされています。

ある介助犬と自閉症の子供の心の関係を調べた研究(2011年)では、子供のコルチゾールレベルが介助犬が家に来た時に激減し、介助犬が去るときには増えることを発見しました。

信頼関係を築ける

前述したように、自閉症の子供は、周囲の人と深い関係を築くのが苦手です。しかし、そのような自閉症の子供たちが、犬と深い信頼関係を築いています。これは、犬が彼らを無条件に愛し、受け入れてくれるからだと言われています。

また、自閉症の子供は、言葉を覚えたり話したりするのが苦手な場合があります。犬が言葉を必要としないのも、信頼関係を築けるひとつの理由なのかもしれません。

感情を育てる

これまで人と深く関われなかった自閉症の子供が犬と信頼関係を築くことができれば、より豊かな感情を持つことができるでしょう。
例えば、「愛すること」「信じること」「感謝すること」など、さまざまなよい感情を得ることが期待できます。

家族のストレス軽減にも

犬は自閉症の子供だけでなく、人の心をも癒してくれます。
そのひとつの理由に、犬と人間が見つめ合うと、両者に幸せホルモン、愛情ホルモンで知られる「アドレナリン」が出ることが挙げられます。また、家族は自閉症の子供が犬と信頼関係を築いているのを見て嬉しく思うことでしょう。こういった変化を最も嬉しく思うのは、いつもそばにいる家族に他なりません。

犬と人間とが見つめ合うことで分泌されるアドレナリンや、その効果について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

オオカミには真似できない!進化の過程で得た犬の「愛され目力」とは

特に訓練を受けた自閉症児向け介助犬が発揮する力

介助犬
自閉症の子供の生活を支えたり、心に寄り添ったりするためにさまざまな訓練を受けた「自閉症児向け介助犬」は、普通の犬が持つ力に加え、特別な力を発揮します。

外出時、子供を危険から守る

自閉症の子供の中には、危険察知能力が低い子供がいます。外出時、親が目を離してしまうと、交通事故などにあってしまうかもしれません。

そのようなとき、訓練を受けた自閉症児向け介助犬は、子供が危険なところに行こうとすると、立ち止まって危険を知らせます。それに合わせて子供も立ち止まるので、危険を回避できるのです。

訓練の付き添い

自閉症の子供たちは、言語能力やコミュニケーション能力の発達のため、さまざまな訓練を受けています。
そうした訓練をする子供たちに介助犬が付き添うことで、子供たちの訓練の成果が著しく伸びたという研究があります。

介助犬と自閉症の子供の訓練に関する研究はこちら
Animal-assisted Social Skills Training for Children with Autism Spectrum Disorders
Benefits of Having an Autism Assistance Dog

パニックの収束

精神が不安定になりがちな自閉症の子供は、予期せぬ出来事などによりしばしばパニックを起こします。
パニック状態になった子供の体を、介助犬はもふもふの大きな体で上から圧迫します。

自閉症の子供は圧迫されるとパニックがおさまりやすく、さらに信頼しているもふもふの犬に圧迫されることで、より効果的にパニックをおさめることができます。

睡眠の質の向上

自閉症の症状として、寝つきが悪い、眠りの質が悪いなど、睡眠障がいの症状があらわれることがあります。

自閉症児向け介助犬が寄り添って寝ることで、子供たちは眠りにつきつきやすくなったり、睡眠の質を高めることができるのです。

人間を日夜サポートする介助犬

peace
自閉症の子供が犬と関わることで、さまざまなメリットを得られることがわかりました。特に、自閉症児向けに訓練された介助犬は特別な役割を果たしますが、残念ながらまだ日本ではほとんど知られていません。

最近では、自閉症のみならず、子供が入院する病院に介助犬が訪問し、子供たちの不安を解消する取り組みも行われています。このような場面で、犬たちが子供に与える効果というのは、大人たちが想像ができないほど大きなもののようです。

様々な病や障がいで苦しむ子供たちや家族の方たちががより良い生活を送ることができるように、介助犬たちは日々働いているのです。

  • 介助犬
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