犬には様々な種類があります。犬の先祖はオオカミと言われていますが、これだけ多くの犬種が存在することから、一種類のオオカミから進化した確率は低いと言われています。
主に、アメリカアカオオカミ(北アメリカ)、タイリクオオカミの亜種であるインドオオカミやヨーロッパオオカミ、チュウゴクオオカミの4種類が、今の犬(イエイヌ)の先祖とされています。
今回は、もともと野生のオオカミが、どのように人間に飼われるようになったのか、歴史を追ってみたいと思います。
この記事の目次
イエイヌの起源とされるオオカミたち
アメリカアカオオカミ
アメリカ合衆国、ノースカロライナ州に生息するオオカミです。かつてはタイリクオオカミの亜種とされたり、コヨーテとタイリクオオカミとの交雑種とされたこともありましたが、現在は純粋種として保護が進められています。
また、名前に赤と入っていますが、他のオオカミと比べて特別体毛が赤いということもないようです。
他のオオカミとの違いとしては、耳が縦に長いという特徴を持っています。
インドオオカミ
インドからペルシャ、中東アジア地域にかけて生息しているタイリクオオカミの亜種です。
暖かく乾燥した気候の中で生活するため、他の寒冷な地域のオオカミに比べて、体毛が短く体つきはほっそりとしています。
ヨーロッパオオカミ
ユーラシア大陸に広く分布するタイリクオオカミの亜種です。体毛は白色、浅黄色、柿色、灰色、黒色で混合した色をしています。
日本国内では、多摩動物公園にて10頭ほどの群れで生活するヨーロッパオオカミを見ることができます。
チュウゴクオオカミ
別名チベットオオカミとも呼ばれる、タイリクオオカミの亜種です。
オオカミとしては中型で、朝鮮半島や中国、ロシア南西部、モンゴルなどに分布しています。チベットやネパールなどのヒマラヤ地方にも分布しており、毛色や習性などは他のオオカミと大きく変わることはないようです。
日本国内では、大阪の天王寺動物園で飼育されているチュウゴクオオカミを見ることができます。
オオカミからイエイヌへ
オオカミが人間の定住地の近くに住むようになったとき、自然にイエイヌへの道を選んだ可能性が高いと言われています。
人間がオオカミを自ら家畜化しようとしたというよりは、オオカミの生存戦略として人間と共生する道を選んだと言うとわかりやすいかもしれません。
オオカミたちの生存戦略
オオカミたちは食料を獲るために、自分たちで獲物を捕らえる必要がありました。しかし、人間の近くにいれば、食べ物の残りものにありつけます。加えて、人間のお手伝いをすると、餌を貰えるかもしれません。
このように、自らが選択して、人間のそばに寄り添い、イエイヌ化した可能性が高いと言われているのです。
野生の犬は本来あまり吠えない
大型だったオオカミはやがて小型化し、人間社会に同化していきました。その後の選択育種によって、犬はよく吠えるようになり、垂れ耳や特殊な尻尾の形など、野生犬には見られない特徴も出てきました。
意外かもしれませんが、野生犬はあまり吠えません。吠えることで、自分たちの居場所が敵からわかってしまいます。
また、獲物を狙うときも、吠えてしまっては逃げられてしまいます。
犬は吠える生き物というのは既に定着していますが、実は吠えるという行動は、人間が番犬になってもらおうと、遺伝的に選択して強化した特性なのです。
大型のイエイヌの秘密
実は、現在の大型犬は一度小型化した犬種を再度大型化されたものと言われています。
このようにして、人間は様々な特徴を持った犬種を生み出してきたのですね。
最後に
現在のおうちで飼われている愛犬が、かつては上記のようなオオカミだった…なんて想像もつかないかもしれません。
犬種によっては、人間の非常に細やかな選択育種の結果、とても同じオオカミから派生したとは思えない特徴を持つ犬もいます。
改めて犬のルーツであるオオカミを紹介してきましたが、犬と人間の長い歴史を知るきっかけになればと思います。