猫も人間と同じように認知症になります。
認知症とは、今までできていた行動が、脳に変性性疾患が起こることによって、急に出来なくなるなどの変化が起きることを言います。
猫の認知症の場合、環境や仕事の事情によって、その症状を老化現象として受け入れた方が良い場合もあれば、病気と捉えて何らかの薬物療法を選択した方が良い場合もあり、その対応はそれぞれの事情に合わせて様々です。
今回の記事では猫の認知症の症状、原因、そして予防方法を紹介していきます。
この記事の目次
猫の認知症の主な症状
獣医学における認知症の評価方法で、DISHAというものがあります。これは認知症の症状を体系的に分類して、その頭文字をとったもので
- Disorientation:見当識障害
- Socio-environmental interaction:社会的相互作用の変化
- Sleep-wake cycle:覚醒・睡眠周期の変化
- House soiling:不適切な排泄
- Activity:活動性
の5つがあります。
これから先では、5つに分類された兆候について解説していきます。
もし飼い猫に同じような兆候がいくつも見られたりした場合は、かかりつけの動物病院に相談しに行くことをオススメします。
Disorientation:見当識障害
この項目には、空間認知の変化、周囲の環境に対する把握不全、身についているはずの事が出来なくなるなどの行為が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- よく知っている場所での迷子
- 親密だった人を忘れてしまう
- ドアの蝶番側に向かう
- 落ち着きなく歩き回る
- 障害物にぶつかる
Socio-environmental interaction:社会的相互作用の変化
この項目には、人間や他の動物との関わり方の変化、学習したはずの指示に対する反応の低下などが当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 挨拶行動の低下
- スキンシップや遊びへの興味の低下
- しつけしていた行動への反応の低下
- 攻撃性の増加
Sleep-wake cycle:覚醒・睡眠周期の変化
この項目には、睡眠サイクルに大きな変化が現れるという症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます
- 昼夜逆転
- 夜中の無目的な歩行
- 不眠
- 過眠
House soiling:不適切な排泄
排尿・排便のコントロールがうまくいかなくなるという症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 不適切な場所での排泄
- 失禁
Activity:活動性
無目的な行動の増加や、目的を持った行動の減少というような症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 活動性の低下
- 無目的な活動の低下
- 食欲の増進/減衰
認知症の主な原因
加齢
猫の認知症も人間の認知症と同様、加齢による脳細胞数の減少が大きな原因となります。
脳細胞数は一度最大量に到達すると、あとは徐々に死滅していくので、脳細胞の数は年を重ねるごとに否応なく現象していきます。
ストレス
猫の認知症には、ストレスも大きく関係しています。
猫は、騒音や空腹、清潔感のなさや新しい環境に対して、特にストレスを感じやすいと言われています。
ストレスは脳内における酸化物質の蓄積を促進し、認知症の進行を促します。日頃から猫がストレスを感じないように配慮しましょう。
認知症の予防方法
生活に刺激を取り入れる
毎日が単純で、新しいものを吸収する機会がないと、認知症を発症してしまう確率が高くなると言われています。
新しいおもちゃや、新しいスキンシップ方法など、新しいことにどんどんチャレンジする方法を試してみると良いでしょう。
スキンシップは頻繁に
スキンシップや適度な刺激を脳に与えることも認知症予防につながります。猫に話しかけながらブラッシングしたり、一緒におもちゃで遊んだり、膝の上で撫でてあげたりするようにしましょう。
高齢になると様々な病気にかかるリスクが上がります。スキンシップをとることで、それらの病気の早期発見に繋がるというメリットもあります。
フードにこだわる
抗酸化物質を含んだキャットフードを選ぶようにしましょう。抗酸化物質はアルツハイマー型の認知症を予防すると言われています。
最後に
人間と同じく、猫も認知症にかかります。
早いうちから意識し、予防することが重要となりますので、若い猫を飼っていらっしゃる方もぜひ意識して生活してくださいね。