猫にも、人間の認知症と似たような症状が見られることがあります。
認知症とは、加齢などに伴う脳の変化によって、これまでできていた行動ができなくなったり、行動や生活習慣に変化が見られたりする状態のことです。猫の認知症では、夜鳴きやトイレの失敗など、さまざまな変化が見られることがあります。
症状への対応は、猫の状態や飼い主さんの生活環境などによっても異なり、環境を工夫しながら様子を見る場合もあれば、動物病院で相談して治療を行う場合もあります。
今回の記事では、猫の認知症に見られる症状や原因、予防方法についてご紹介します。
この記事の目次
猫の認知症の主な症状

獣医学における認知症の評価方法のひとつに「DISHAA」というものがあります。これは、認知機能の低下に伴って見られるさまざまな兆候を、以下の項目に分類したものです。
- Disorientation:見当識障害
- Social-environmental interaction:社会的相互作用の変化
- Sleep-wake cycle:覚醒・睡眠周期の変化
- House soiling:不適切な排泄
- Activity:活動性
- Anxiety:不安
なお、猫ではこれらに加えて、夜間の鳴き声などの「発声」や、学習・記憶の変化などが見られることもあります。
ここからは、6つに分類された兆候について、それぞれ詳しく解説していきます。
愛猫にこのような変化が複数見られる場合でも、必ずしも認知機能の低下が原因とは限りません。ほかの病気や加齢に伴う身体機能の変化によって、似た症状が見られることもあります。気になる変化がある場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
Disorientation:見当識障害

この項目には、空間認知の変化、周囲の環境に対する把握不全、身についているはずの事が出来なくなるなどの行為が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- よく知っている場所での迷子
- 親密だった人を忘れてしまう
- ドアの蝶番側に向かう
- 落ち着きなく歩き回る
- 障害物にぶつかる
Social-environmental interaction:社会的相互作用の変化

この項目には、人間や他の動物との関わり方の変化、学習したはずの指示に対する反応の低下などが当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 挨拶行動の低下
- スキンシップや遊びへの興味の低下
- しつけしていた行動への反応の低下
- 攻撃性の増加
Sleep-wake cycle:覚醒・睡眠周期の変化

この項目には、睡眠サイクルに大きな変化が現れるという症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 昼夜逆転
- 夜中の無目的な歩行
- 不眠
- 過眠
House soiling:不適切な排泄

排尿・排便のコントロールがうまくいかなくなるという症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 不適切な場所での排泄
- 失禁
Activity:活動性

無目的な行動の増加や、目的を持った行動の減少というような症状が当てはまります。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 活動性の低下
- 無目的な活動の増加
- 食欲の増進/減退
Anxiety:不安

ストレス行動や不安といった症状が見られます。
具体的な行動としては以下のようなものが挙げられます。
- 飼い主から離れることによる不安
- 光や音の刺激に対する不安
- 新しい場所や環境への不安
認知症の主な原因

加齢
猫の認知症も人間の認知症と同様に、加齢に伴う脳の変化が大きく関係しています。
年齢を重ねると、脳の萎縮や神経細胞の減少など、さまざまな変化が起こります。こうした加齢に伴う脳の変化が、猫の認知機能の低下につながると考えられています。
ストレス
猫の認知機能の低下には、ストレスも関係すると考えられています。
猫は、騒音や空腹、トイレの汚れ、新しい環境など、生活環境の変化によってストレスを感じることがあります。特に認知機能が低下した猫では、環境の変化によって不安や混乱が強くなる場合があります。
また、加齢に伴う脳の変化には酸化ストレスなども関係すると考えられています。そのため、日頃から愛猫ができるだけストレスを感じず、安心して過ごせる環境を整えてあげることが大切です。
認知症の予防方法

生活に刺激を取り入れる
毎日同じことの繰り返しで、新しいものに触れたり、さまざまな経験をしたりする機会が少ない生活は、猫の認知機能にも影響する可能性があります。
新しいおもちゃを取り入れたり、遊び方を工夫したりするなど、愛猫が無理なく楽しめる範囲で、生活に適度な刺激を取り入れてみるとよいでしょう。
スキンシップは頻繁に
スキンシップや適度な刺激を取り入れることも、猫の心身の健康維持に役立つと考えられています。猫に話しかけながらブラッシングしたり、一緒におもちゃで遊んだり、猫が嫌がらなければ膝の上で撫でてあげたりするのもよいでしょう。
また、高齢になるとさまざまな病気にかかるリスクが高くなります。スキンシップを通して体に触れることで、しこりや毛並みの変化、痩せてきたなど、普段とは違う変化に気づきやすくなるというメリットもあります。
フードにこだわる
抗酸化物質や必須脂肪酸などを含んだキャットフードは、脳の健康維持に役立つ可能性があると考えられています。
ただし、こうした栄養素を含むフードを与えることで、猫の認知症を確実に予防できるわけではありません。まずは愛猫の年齢や健康状態に合った、栄養バランスのよいフードを適切な量で与えることを心がけましょう。
最後に

猫の認知機能の低下には、加齢に伴う脳の変化や生活環境など、さまざまな要因が関係しています。
年齢を重ねた愛猫に気になる変化が見られたら、生活環境を見直しつつ、必要に応じて動物病院に相談しましょう。



































