近年、「ペット先進国」、「ペットフレンドリー」という言葉をよく耳にするようになりました。
これらの言葉には「ペットが暮らしやすい」というニュアンスが含まれているように感じますが、実際にその定義は曖昧で、人によって理解の仕方も異なります。
この度、Cherieeでは「ペットが暮らしやすい国ってどんな国だろう?その考え方に国による違いはあるのだろうか?」というリサーチクエスチョンに基づき、外国人と日本人計48名にアンケート調査を行いました。
意外な結果が浮き彫りになったアンケート調査。第1回となる今回は、その調査結果から「ペットフレンドリー」というキーワードをテーマに、日本と海外の違いをわかりやすくレポートします。
この記事の目次
回答者のバックグラウンド
アンケートの回答者は全員大学生で、総計48人です。内訳は、海外経験のない日本人、海外経験のある日本人、日本に住んだことのある外国人それぞれ16人。回答者の出身地や住んでいた国は次のようになっています。
海外経験のない日本人(16人)
出身地:東京都、埼玉県、神奈川県、宮城県、長崎県、兵庫県
海外経験のある日本人(16人)
住んでいた国:インド、アメリカ (テネシー、イリノイ、ニューヨーク、オハイオ、アトランタ)、中国、カナダ、イギリス、フィリピン、タイ、シンガポール
外国人(16人)
出身国:中国、アメリカ(ハワイ、シカゴ、マディソン、シカゴ、ミネソタ、ウィスコンシン)、ドイツ、ニュージーランド、韓国
日本に長期間滞在した経験のある大学生で、大半は留学生です。
海外と何が違う?日本のペット事情
日本に住んだことのある外国人と、海外に住んだことのある日本人に、「日本のペット事情について驚いたこと」、「他の国と違うなと思ったこと」を聞いてみました。
日本は犬もスペースも「小さい」
- 小さい犬が多い
- ペットを遊ばせる庭が小さい
- ペットショップのスペースが小さい
日本では飼われている犬も、犬を遊ばせるための庭も、ペットショップのスペースも、全てが「小さい」というイメージを持っている人が多いようです。特に人口密度が高い都市部では大きい犬を飼ったり、広い庭などのスペースを確保したりするのは簡単なことではないですよね。ペットの飼育を禁止している物件や、抱っこできる小型犬しか飼えない物件がたくさんあることに衝撃を受けたという人も複数いました。
アメリカは大型犬が主流?
対して、アメリカなどの広い国では大型犬を飼う人が多く(実際に2018年のアメリカで人気な犬種ランキングでは、1位がラブラドールレトリバー、2位がジャーマンシェパードドッグ、3位がゴールデンレトリバーでした)、広い庭を持つ家も多いのだとか。
ペットショップのサイズ感にも違いが
ペットショップに関しても、ペットショップそれ自体の小ささと、売られているペットが過ごすスペースの小ささを指摘する回答が集まりました。
こうした日本のペットショップでの販売体制については、国内からも批判があがっています。
広さだけが問題ではないでしょうが、ペットショップ以外でペットを買いたいという人が、特に外国人回答者に多く、日本でも今後意識が変わってくるかもしれません。
日本では「ペット」、タイ・インドでは野良との「共存」
タイやインドでは、犬や猫を日本のようにペットとして飼育するというより、野良猫や野良犬にみんなでエサを与えて共存している、という感覚があるそうです。これらの国でもお金持ちはペットを飼えますが、経済的な余裕のない人にとっては、ペットを飼うのはなかなか難しいのです。
特にインドでは、家畜として牛を飼うことがありますが、同時に捨てられてしまった野良牛もいます。このように、街の中に日常的に野良犬や野良猫、野良牛がいて、人間にご飯をもらいながら生活している国もあるのです。
日本では野良=凶暴で危険、というイメージを持っている人が多いと思いますが、こうした国では人間と野良たちが仲良く共存しているという感覚が強いのだそうです。(ただし、狂犬病のワクチンを接種していない場合が多いと思われるため、この点は深刻な問題であると言えます。)
マレーシアの動物事情をお伝えするレポートでも、街の中に野良犬が多くいることが報告されています。東南アジア圏の犬事情について、ご興味のある方はこちらのレポートもご参照ください。
「ペットフレンドリーな国」とは?
日本人が思う「ペットフレンドリー」
日本人に、「日本はペットフレンドリー(ペットが暮らしやすい)な国だと思うか?」と質問したところ、意見にバラツキはありましたが、全体として、「ペットフレンドリーな要素と、改善点どちらもある」という印象でした。
ペットフレンドリーな理由としては、
- 衛生環境が整っている
- ドッグランや一緒に泊まれるホテルなどのレジャー施設の充実
- 医療費の安さ、24時間対応、ペット保険
などが挙げられ、改善点としては、
- ペットと入れる物件が少ない
- 特に都市は自然環境がない、道が狭い
- ペットが遊べる広い庭がない
- 殺処分問題
などが指摘されました。
外国人が思う「ペットフレンドリー」
一方、外国人回答者には、自分の国がペットフレンドリーだと感じている人が多くいました。その理由は、
- 庭が広い(アメリカ)
- 法律でペットの権利が保証されている(アメリカ、ドイツ)
- ペット好きな人が多い(アメリカ、中国)
- アレルギーさえなければ、ほとんどみんなペットを飼っていて、理解がある(アメリカ)
- シェルターの制度・設備が充実している(アメリカ、ドイツ)
- ペットスクール(ドイツ)
- ペットと入れるカフェやレストランの充実(韓国)
などが挙げられました。
意識の差はどこにある?
回答はあくまで個人の意識であり、サンプルサイズも大きくありません。そのため、この結果から「日本はまあまあペットフレンドリーだけどアメリカほどではない」と言うことはもちろんできません。
しかし、ペットフレンドリーに対する意識には、出身国によっていくつか違いがあることが読み取れる結果となりました。
自然が多く、ペットが満足に遊び回れる広さがあることが大事だと答えた人は、日本人・アメリカ人の回答者にたくさんいました。
また、ペットと入れる物件や、ペットと行けるレジャー施設、レストランの充実など、ペットと一緒に過ごせる施設が整備されていることが重要だと言う意見は、多くの日本人・韓国人回答者に見られました。
対して、多くのアメリカ人回答者やドイツ人回答者が重要だと答えた、ペットに対し理解がある人が多いことや、動物の権利が法律によって守られていること、そしてペットスクールなどでペットがしっかりしつけされていることに関しては、日本人回答者からの指摘はありませんでした。
これらの結果から、日本人には、ペットと楽しく過ごせる「場所」が充実していることがペットフレンドリーだと考えている人が多く、アメリカ人やドイツ人には、場所も重要だが、さらに一歩踏み込んで、「動物の権利」が法律や人々の理解によって守られていることが重要だと考えている人が多いことが考察できます。
まとめ
今回のアンケートの回答者は小規模かつ大学生に限定され、また多くの国や地域をまんべんなく網羅することができていないため、必ずしも正確な議論ができたとは言えませんが、日本と海外のペット事情の違いや、ペットフレンドリーに対する人々の意識の違いについて、興味深い発見をすることができました。
今回の記事を読んで下さったみなさんも、ペットフレンドリーとは何なのか、この機会にぜひ考えてみてください。
次回は、ペットを飼うにあたっての価値観の違いを考察していきますので、ぜひそちらもご覧ください。