第1回では、日本と海外の、社会全体としてのペット事情にはどのような違いがあるのか、そして「ペットフレンドリー」の捉え方にはどのような違いがあるのかを、Cheriee編集部による独自調査の結果に基づいて考えました。
第1回の記事をご覧になりたい方は、こちらからご覧ください。
第2回となる本記事では、日本人と外国人の、ペットに関するさまざまなことへの価値観の違いを細かく考えていきます。回答者は全員大学生で、日本人32人、外国人16名です。
なお、外国人といってもいろいろな国の方がいらっしゃいますから、単純に一般化できるものではありませんが、今回は「日本と世界を大まかに比較する」という意味で、このような括りを用いました。
この記事の目次
どこからペットをもらいたい(買いたい)か?
ペットを飼い始めるには、どこかからペットを譲り受けなければなりません。ペットショップ、ブリーダー、保護施設、知人など、さまざまな選択肢がありますが、今回の調査から、日本人と外国人の間でこの選択肢に少し違いがあることがわかりました。回答は複数回答式で集計しました。
日本人回答者の間では、ペットショップ(62.5%)が保護施設(59.4%)を若干上回ったのに対し、外国人回答者ではなんと100%の人が保護施設から引き取りたいと答え、ペットショップから飼いたい人の割合(31.3%)を大きく上回りました。また、外国人ではペットショップやブリーダーから買うよりも知人から譲り受けたいという人(50%)が多いことがわかりました。
第1回の記事内で「ペットフレンドリー」について考えたとき、「自分の国はシェルター(保護施設)の設備や制度が整っているからペットフレンドリーだ」という回答が、何人かの外国人(特にアメリカ、ドイツ)から寄せられたことをご紹介しました。保護施設の信頼性が高ければ、保護施設から引き取ろうという考えを持つ人が多くなるのかもしれません。
ここ数年で、日本でも保護施設や保護団体が増え、その活動内容が一般の方にも認知されるようになりましたが、それでもまだ一般的ではないと言えるのかもしれません。また、「日本のペットショップの多さに驚いた」という外国人が複数いたことから、国や地域によってはペットショップがそもそも少ない(ない)ことも、この数値に影響していると言えそうです。
ペットが大病になったら?
つづいて、ペットが大病になったとき、あなたならどうしますか?という質問をしました。
どちらのグループにおいても、「手術・投薬」を行うと回答した人がもっとも多くなりましたが、その割合は外国人(73.3%)が日本人(51.6%)よりも多くなりました。一方、日本人は自然に任せる人が約42%で、外国人の6.7%を大きく上回りました。「安楽死」という選択肢は日本人の間ではほとんど馴染みがないと予想していましたが、少数ではあるものの、6.5%の日本人回答者が安楽死を選ぶと回答しました。
もちろん、ペットの種類や年齢、病気の種類によっても選択肢は変わってくるでしょう。しかし、日本人よりも外国人の方が、ペットに対して積極的な治療を希望し、日本人は自然のままを受け入れる考えが多いことがわかります。この調査からははっきりしたことは言えませんが、飼い主が信仰する宗教の違いも関わっているのかもしれません。
ペットに服を着せることについて
以前、アメリカの記事で、ペットに服を着せる文化を日本特有のものとして紹介する記事を読んだことがあり、実際にはどうなのかを調べるため「ペットに服を着せることについてどう思うか」という質問をしました。
結果、実際に日本の大学生と海外の大学生の価値観はそこまで変わらないことがわかりました。
かわいいから、家族だから、暑さ・寒さ対策などの理由から服を着せることにポジティブな人もいれば、ペットが不快なのではないかという心配や、そのまま(服を着ない状態)がベストだから、という理由から着せることに消極的な人もいます。これらの意見は日本人・外国人のどちらのグループにもまんべんなく見られ、出身国による違いも特に見られませんでした。
これは筆者の個人的な推測ですが、ペットに服を着せることに寛容的になってきた背景には、Instagramの発展があるのではないでしょうか。第一に、「インスタ映え」するペットの写真を撮るために、かわいい服やアクセサリーを身につけさせる人が増えているように思います。さらに、SNSで世界中のユーザーとつながれるようになったことで、おしゃれなペットの服が広く知られるようになり、結果として「自分のペットにも着せてみよう」という飼い主が増えたのかもしれません。
この辺りも、今後調査をしてみて、何かわかったらお伝えできればと思います。
ペットへの意識もグローバル化する?
ペットをもらう(買う)先や、ペットが大病になった時の対応は、日本と世界で傾向に差があることがわかりました。
こうした違いは、何も個人の性格的な違いにのみ依存しているわけではないでしょう。むしろ、保護施設の環境整備であったり、ペットショップの広がり方、また、安楽死に対して馴染みがあるか否かなどの環境的な違いが関係していると考えます。ですから、環境が他の国に影響を受けて変化すれば、人々の価値観も自然と変化するのではないでしょうか?
また、第1回でご紹介した外国人、日本人、帰国子女のペットフレンドリーに対する考え方の違いからは、帰国子女が日本人と外国人の中間的な考え方を持っている傾向が見られました。このように、住んできた国の環境や経験によって人々の価値観は変わります。
今回の調査は、限られた人数・グループの調査にとどまってしまったので、一般化できるような結果とは言えないでしょう。しかし、少なくとも人々のバックグラウンドによって、ペットへの価値観に何らかの差があることは十分に考察ができる結果となりました。
グローバル化が進むこの時代、人々のペットに対する価値観にも、さらなる変化が訪れるかもしれませんね。
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