毎年欠かさず到来する台風やそれに伴う水害、恐怖を忘れた頃に襲ってくる大地震など、日本は災害が多い国です。
大きな災害が起きたときにペットを連れて避難するのはとてもなく大変です。さらにペットを受け入れる避難所は数が限られていることが多く、ようやくペット受け入れ可の避難所にたどり着いたとしても、ほとんどの避難所ではペットと一緒に生活できません。
ペットも家族なのですから、災害のときこそ互いが心配になるはず。そんなときに離ればなれになってしまうのはとてもつらいですよね。
そんな飼い主さんとペットのために、まだまだ数は少ないものの、ペットと一緒に生活できる避難所が存在します。今回の記事では全国の同伴避難が可能な避難所を紹介します。
この記事の目次
同伴避難と同行避難の違い
同伴避難と同行避難は似た言葉で混同しがちですが、その意味には明確な違いがあります。
- 同伴避難
- 避難所でペットを飼養管理するという状態のこと
- ペットと一緒に寝泊まりできる
- 同行避難
- ペットとともに安全な場所まで避難すること
- 同じ場所に避難するが、居住スペースは別
同伴避難には避難所での生活をともにするという意味も含まれていますが、同行避難には含まれていないことには注意してください。同行避難可という記載がある避難所でも、そのほとんどはペットと人間の居住スペースが明確に区別されています。
環境省が推奨しているのは同行避難であり、同伴避難ではありません。ペットを受け入れる多くの避難所は同行避難を前提としているため、ペットの飼い主さんは同行避難のために備えをしておく必要があります。
同伴避難が可能な避難所
災害時のペットの扱いについて日本はまだまだ後進的ですが、同伴避難が可能な避難所も少数ながら存在します。以下では、同伴避難を受け入れるという明確な記載がウェブ上にある避難所をご紹介します。
岡山県総社市
2018年7月に西日本豪雨が発生しました。そのときに、行政主導では全国初とも言われるペット同伴避難所が開設されたのが、岡山県総社市です。
当時の岡山県では、長引く豪雨により川が氾濫し、支流の堤防が決壊しました。総社市内では46カ所もの避難所が開設され、一時は7000人以上が避難する事態となりました。
厳しい暑さが続くなか、困り果てた飼い主とペットの状況を知り、総社市は市役所の西庁舎など3ヶ所をペット同伴避難所としてペットづれの避難者たちに開放しました。
さらに、同伴避難所には獣医師や犬の訓練士が駆けつけ、ペットの体調・衛生管理を行う飼い主に助力してくれたそうです。ペットに配慮のある自治体であれば、飼い主さんも落ち着いて行動できるでしょう。
広島県尾道市
過去に災害が起こったときにも避難所でのペットの扱いという問題は度々取り上げられ、ペットと一緒に過ごしたいという要望を持つ人が多くいます。
そのような問題意識や声を反映し、2019年7月、広島県尾道市が、指定避難所のうち室内へのペットの同伴避難を受け入れる避難所5カ所を発表しました。
尾道市ホームページ
避難所へのペットの同伴避難について
ペットの同伴避難が可能な避難所を自治体が明確に指定したことで、災害時にペットと飼い主さんが受け入れ先を探してさまようような事態も減るのではないでしょうか。
富山県 スカイラボ
富山県のスカイラボは、犬のトレーニング、散歩代行、ペットホテル、デイケアなどのサービスを提供している施設です。スカイラボでは自然災害もしくは何らかの理由で飼い主と愛犬が避難の必要を迫られた場合、同伴避難場所を提供しています。
先の2つは自治体の取り組みですが、こちらのスカイラボさんは慈善活動として同伴避難を受け入れています。
同伴避難を希望される方は、以下のページに申し込み方法が記載されていますのでご覧ください。
最後に
同伴避難が可能な避難所は全国でもまだ数えられるほどしかなく、受け入れ数も多くはありません。
災害が起きたときに必ずペットと同伴避難ができるとは限りませんので、同行避難を前提として準備するようにしましょう。その際には以下のガイドラインを参考にしてください。
環境省:人とペットの災害対策ガイドライン
また、以下の記事では東京都23区の居住者向けに、区ごとの避難マニュアルと防災マップを記載しています。
災害時は平常時に比べて、特に不安になりやすく、ペットも人間も一緒に過ごしたいと考えると思います。犬猫のアレルギーや衛生問題など多くの課題がありますが、同伴可能な避難所がもっと増えていけばいいですね。