「うちの犬は普段はおとなしいのに、インターホンや掃除機の音が鳴ると過度に吠えたり、散歩に行くとクラクションやバイクの音に怯えてしまう」などのお悩みを抱えている犬の飼い主さんは結構多いのではないでしょうか。
「仕方がない」と諦めてそのままにしておくと、犬はストレスを受け続けることになります。愛犬の健康のためにも、生活音や環境音に怯えることのないようトレーニングしてみませんか?
この記事では、トレーニングの仕方と音源集をご紹介します。ぜひ音に敏感な愛犬と一緒にチャレンジしてみましょう!
この記事の目次
人間には聞こえない音が犬には聞こえる
犬は人間と比較すると可聴域が広く、人間が聞くことのできない超音波も聞きながら生活しています。私たちが普段静かに過ごしていても、犬とっては不快な音を聞き続けている可能性があります。
慣れない音や不快な音を聞くと不安になったり怯えたりして、犬にとっては大きなストレスになります。
犬が聞き慣れない音と遭遇したときの症状
犬が聞き慣れない音と遭遇した場合、以下の症状が見られる場合があります。
- 吠える
- 震える
- その場から逃げ出そうとする
- 呼吸が荒くなる
- 失禁する
直接的に命に関わることはありませんが、パニックを引き起こして家から脱走してしまうこともあります。花火の音や雷の音でこのような例があります。
その結果、迷子や不幸な事故が起こらないとも限りませんので、日頃から、できれば子犬の時にいろいろな音を聴かせ、それに慣れておくことが大切です。
音に慣れるトレーニング
犬は生後13週頃までに社会化期を迎えます。この時期に多くの物事を経験させてあげることで、大人になっても些細なことにも動じなくなります。
犬の社会化期についてはこちらで詳しくご紹介しています。
子犬のうちから音に慣れさせておくことで、慣れない音に過剰に反応することはなくなるでしょう。もちろん、成犬でも根気強く続けることで改善されることが多いですので、愛犬のためにも音に慣れるトレーニングをしましょう。
トレーニングの仕方
音に慣れるトレーニングをするには、YouTubeなどの動画サイトや市販のCDを利用し、できるだけ多くの生活音や環境音を犬に聞かせます。
いきなり大きな音を鳴らしてしまうと犬は余計に怖がってしまいますので、最初はわずかに聞こえる音量で流し、怖がらなければおやつを与えるなどして毎回褒めてあげましょう。小さい音に慣れてきたら、徐々に音を大きくしていき、通常の音量でも怖がらなくなったら合格です。
犬の性格、年齢によって慣れるまでの時間もまちまちですので、根気強く毎日続けるようにしましょう。
成犬になってからの場合、数ヶ月〜数年の時間を要することもあります。その期間、ストレスにさらされ続けることになるため、社会化期に慣れさせるのが最も良いのです。
犬の苦手な音① インターホン
インターホンが鳴ったあとに犬にとって見慣れない来客が訪問してきます。インターホン=不審者が来る(もしくは飼い主が慌てて出ていく非日常)と学習するため、インターホンが鳴るたびに吠えることが習慣になってしまいます。ご近所トラブルを防ぐためにも、犬をお迎えしたらなるべく早くインターホンの音に慣れさせましょう。
犬の苦手な音② 掃除機
見慣れない巨大なホースが付き、温かい空気を吐き出しながら物を吸い込む謎の生物。好奇心が旺盛な時期には興味を示して、近寄ってくることも多いでしょう。面白がって掃除機で追い回すなどすると、犬にとっては恐怖の対象でしかありません。そこに大きな音が加わりますので、掃除機の音が聞こえると反射的に吠えたり怯えたりします。
なお、掃除機を見ただけで逃げ出してしまうような場合は、掃除機そのものの周辺におやつを撒いたり、掃除機の上に置いたりして、音の前に掃除機そのものに慣らす必要があります。まずは掃除機は怖いものではないということを理解させましょう。
犬の苦手な音③ 洗濯機
洗濯機の電子音やモーター音に反応する犬もいます。人間にとっては全自動で服を洗濯してくれる便利な道具ですが、犬にとっては、勝手に動いて音が鳴る大きな物体が恐怖に感じるのでしょう。
これも掃除機と同様、稼働していない洗濯機そのものに怯えてしまう場合は、洗濯機そのものに慣れてもらう必要があります。
犬の苦手な音④ カメラのシャッター音
かわいい愛犬の姿を写真に収めようとスマホを向ける方も多いのではないでしょうか?意外と大きな音が鳴り、人間でもびっくりすることのあるカメラのシャッター音。
最近では無音アプリなどもありますが、友人やお散歩中に出会った人が突然カメラを向けないとも限りません。過剰に驚かせないように対策しておくと良いでしょう。
犬の苦手な音⑤ 雷
雷の音は人間でも苦手な人は多いのではないでしょうか。大きな音と地響きは何度聞いてもなかなか慣れるものではありません。耳の良い犬にとっては、かなりのストレスを感じてしまいます。
ちょうど社会化期に雷が発生する時期が来れば自然と慣れますが、そうではない場合は、音を聴かせて事前に慣らしておくしか方法がありません。初めて経験する雷音でパニックを起こさないように特に準備しておきたい音です。
犬の苦手な音⑥ 花火
花火は年中聞く音ではありませんが、聞き慣れない分、犬は怯えやすくなります。
雷とは異なり、事前に花火の音が鳴るタイミングが分かりますので、あらかじめ慣れさせておきましょう。特に花火会場が家から近い場合は必ず対策してあげてください。花火の音に慣れさせても、多くの人出、音だけでなく強烈な光もあるため、花火大会の会場へは連れて行かないことをおすすめします。
アメリカでは独立記念日に連日花火が上がり、毎年花火の音にびっくりした多くの犬が家から脱走し、施設で保護されるそうです。
犬の苦手な音⑦ 車のクラクション・バイクのエンジン音
よっぽど静かな住宅街でない限り、お散歩の時に車やバイクと遭遇することもあるでしょう。クラクションやエンジンのバリバリとした音は、犬に恐怖心を抱かせます。
子犬の場合は全ての音を聴かせて慣れさせておけば良いですが、成犬の場合は、車やバイクが発するどの音に反応しているのかを見極め、その音に慣れさせていきましょう。車がバックするときの「ピー、ピー」という音に反応する場合もあります。また、ドアの開閉音に反応する場合もあります。
犬の苦手な音⑧ 救急車・消防車のサイレン
こちらもいつどんなタイミングで音が鳴るか分かりません。救急車や消防車が真横を通った時は、人間でも耳を塞いでしまうくらい音が大きいので、犬もびっくりしてしまいます。
ちなみに、サイレンは犬の遠吠えと近い周波数のため、サイレンにつられて本能的に吠えてしまうことがあるそうです。
犬の苦手な音⑨工事現場の音
場所によっては地鳴りのような音を発している工事現場もあります。あらかじめ工事をしていることを知っていれば避けられますが、家のごく近くで工事をしていたら避けようがありません。吠え続けるとご近所トラブルにも繋がります。
犬の苦手な音まとめ
今回ご紹介した動画をプレイリストにまとめました。愛犬とのトレーニングにぜひご活用ください。
また、犬のトレーニング用のCDも販売されています。
最後に
普段生活しているだけでも、犬にとっては苦手な音があらゆる場所で発生しています。
愛犬が生活音・環境音に慣れるということは、犬の吠えを減らすだけでなく、ストレスの軽減にも繋がります。「犬が吠えたり怯えたりするのは仕方がない」とは思わずに、ぜひ愛犬と一緒にトレーニングしていきましょう。