鳥インフルエンザは毎年世界中で感染が確認されており、国内でも数年おきに発生しています。
2020年は香川県内で複数の養鶏場で相次いで鳥インフルエンザウイルスが検出されたほか、福島県や兵庫県の淡路島でも確認されました。
この記事では、鳥インフルエンザがどのような病気なのか、ペットに感染することはあるのかについて解説していきます。
この記事の目次
鳥インフルエンザとは
そもそも鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスの感染により起こる人獣共通感染症です。冬の時期に流行するヒトのインフルエンザとは異なり、基本的には鳥にのみ感染すると考えられてきましたが、ごく稀にヒトや犬、猫への感染も確認されています。
感染症法において、鳥インフルエンザウイルスは、ウイルスの型によりH5N1、H7N9、H5N1とH7N9以外の3つに分けられており、H5N1、H7N9は二類感染症に、それ以外は四類感染症に分類されています。
また、家畜伝染病予防法においては、病原性の程度により、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)、低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)、鳥インフルエンザの3つに分類されています。
日本で鳥インフルエンザが発生した場合
さて、日本で鳥インフルエンザが発生した場合、どのような対応が取られるのでしょうか?
ヒトの場合
ヒトでの感染が認められた場合、感染症法に基づき、届出が必要です。
鳥の場合
鳥が高病原性鳥インフルエンザおよび低病原性鳥インフルエンザに感染した場合、発生が確認された農場の家禽は全て殺処分されます。
また発生農場を中心とした半径5~30kmの区域において、最低21日間は生きた家禽、家禽の死体や生産物・排泄物の移動が原則禁止されます。さらに、区域内の全ての養鶏場で2回にわたりウイルス感染の有無を調べることが義務づけられています。
このように、家禽に鳥インフルエンザが発生した場合、周辺の産業に深刻な被害をもたらすため、鳥インフルエンザを発生させないことが何よりも重要です。
特に野生の鳥に感染してしまうと、行動範囲の広さから一気に感染が拡大してしまうため、迅速な対応が求められます。
潜伏期間と症状
鳥インフルエンザに感染した場合、どのような症状が出るのでしょうか。ヒトと鳥のそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
ヒトの場合
ヒトに感染した場合、潜伏期間は2〜9日程度です。鳥インフルエンザウイルスに感染した動物や排泄物などに触れたり吸い込んだりすることによって感染します。卵や鶏肉からの感染例はありません。
ヒトにおける鳥インフルエンザの感染初期は、発熱、咳、倦怠感、筋肉痛などのインフルエンザのような症状を程します。重症化すると、肺炎や多臓器不全などを起こし、命に関わることもあります。
なお、日本においてヒトでの発症は確認されていません。
鳥の場合
鳥が高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、その多くが症状を示さずに死んでしまいます。一方、低病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、症状が出ない場合もあれば、咳や粗い呼吸などの軽い呼吸器症状が出たり産卵率が下がったりする場合もあります。
ヒトが感染しない・ペットに感染させないための予防策
鳥インフルエンザの感染を予防するためには、病原体と接しないことが何よりも大切です。鳥を飼育している方は、ペットが鳥インフルエンザに感染する可能性があることに留意し、しっかり感染対策をしましょう。
野鳥と接触させない
野鳥も鳥インフルエンザウイルスを保有している可能性があります。ペットの鳥を外(ベランダ等も含みます)で飼育している場合は、野鳥と接触させないようにしましょう。
また、野鳥がペットの餌や水をもらいに来る場合もあります。餌や水は毎日取り替え、常に新鮮なものを与えてください。
ケージを清潔に保つ
病原体の侵入や感染を防ぐには、ケージを清潔に保つことが大切です。鳥のフンは乾燥すると舞い上がりやすいため、マスクや手袋などを着用し、毎日清掃してください。餌入れや水入れも毎日汚れを洗い流しましょう。
ケージ内を清潔に保つことでオウム病の予防にもなります。
ヒトが病原体を持ち込まない
鳥を飼育している飼い主さんは、鳥インフルエンザが発生している地域へは行かないようにしましょう。気づかないうちに自身が感染してしまったり、ウイルスを運んで感染を拡大させてしまう恐れもあります。
また、鳥や動物を触った後は必ず手を洗いましょう。
犬や猫は鳥インフルエンザに感染する?
ここまで鳥とヒトの鳥インフルエンザについて触れてきましたが、犬や猫などの哺乳類に感染することはあるのでしょうか?
答えは「イエス」です。しかし、世界中でも数例のみで、日本ではまだ確認されていません。多くの場合は、鳥インフルエンザウイルスを保有した鳥の死体を食べたなどの、大量のウイルスが体内に入ってしまったことが原因と考えられています。
普通に生活している分には感染する可能性は低いですので、過度に恐れる必要はないでしょう。ただし、散歩中などに鳥の死体を犬や猫がくわえたり、食べたりしないように注意しましょう。
最後に
鳥インフルエンザは、渡り鳥などを通じて海外から入ってきてしまうことも少なくありません。そのため、鳥を飼育している方は野鳥と触れ合う機会がない屋内飼育がオススメです。屋外で飼育している場合、居住地で鳥インフルエンザが発生した際は、その時期だけでもなるべく屋内で飼育するようにしましょう。
自分が感染しない、ペットに感染させないことを第一に考え、餌や水、ケージ内の清掃など、飼育環境を今一度確認してみましょう。