野良猫を保護して飼おうと思っている方は、野良猫を飼う際のデメリットやリスクについて考えたことはありますか?
野良猫出身の猫との生活は、決して良いことばかりではないのが現実です。
例えば、野良猫が感染症や治らない病気を抱えている場合もあるでしょう。
悪い面もきちんと理解しておかないと、飼い始めてから大変大きなストレスを感じてしまい、最悪の場合、飼育放棄なんてことにもつながりかねません。
今回は、野良猫出身の猫を飼っている筆者の立場から、野良猫を飼うリスクやメリット・デメリットをご紹介します。これから野良猫を飼おうと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
野良猫を飼うデメリット①病気・感染症の可能性
野良猫を飼い始める大きなリスクの1つに、「病気・感染症」が挙げられます。
野良猫は外の過酷な場所で生活をしているため、何らかの病気にかかっている可能性が高いです。
実際に、筆者が保護した野良猫は、元気そうに見えても「心因性脱毛症、瓜実条虫症、便秘、慢性的な結膜炎」にかかっていました。
ここでは、野良猫を飼い始める前に知っておきたい代表的な感染症や病気について詳しくご紹介します。
野良猫の代表的な感染症
猫の代表的な感染症として以下があります。
- 「猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)」:発症から数ヶ月ほどで亡くなる確率が高い病気で、猫エイズキャリアの猫に喧嘩で噛まれるなどして感染します。
- 「猫白血病ウイルス感染症(猫白血病)」:発症すると数ヶ月〜数年で命を落としてしまう病気で、唾液や糞尿からも感染するため、舐め合ったり、同じトイレを使うだけで感染します。
上記の感染症は人に移りませんが、猫同士で感染します。
どちらの病気も必ず発症する訳ではありませんが、発症してしまうと完治が難しく、数ヶ月〜数年で亡くなります。
人に移る病気を持っていることも
カビや寄生虫などが原因の病気は、野良猫から人にも感染する可能性があります。
- 皮膚糸状菌症:カビの一種が原因
- 疥癬(かいせん):ダニが原因
これらの病気は、感染すると猫も人もかゆみや脱毛などの症状が出ます。
動物病院での検査はいち早く済ませよう
「感染症を持っているかもしれない」という覚悟は、野良猫を迎え入れる前に必ず必要です。
特に先住猫を飼っている場合は、猫同士で感染する可能性があるので、お家に迎え入れる前に検査しましょう。感染症の有無は動物病院にて、5,000〜20,000円ほどで簡単に検査してもらえます。
筆者の場合、野良猫を保護した時、すでに先住猫がいたので、もし感染症だったら親戚の中で里親を探すなど、家族間で何度も話し合っていました。
野良猫を飼うデメリット②夜鳴きがひどいことがある
特に、野良猫を飼い始めてすぐの場合は環境の変化によるストレス、夜行性が抜けていないなど様々な理由で夜鳴きが激しい場合があります。
夜鳴きは数週間続くこともあり、筆者も2〜3週間ほど夜鳴きに悩まされました。毎日深夜0〜2時、早朝4〜5時に鳴いてしまうので、しばらく寝不足が続きました。
飼い主は野良猫を飼って夜鳴きすることを覚悟しなければいけません。
ご近所トラブルを防ぐために
野良猫の夜鳴きによって、ご近所に迷惑をかけてしまうことがあります。
特に壁の薄い部屋に住んでいる場合は、事前に近隣の方に野良猫を飼おうとしていること、夜鳴きをするかもしれないことを伝え、承諾を得ておくとよいでしょう。
野良猫を飼うデメリット③体臭や口臭がきついことがある
野良猫を保護したばかりの時は、臭いとの戦いになります。
綺麗好きの猫でも外で生活していると、どうしても体臭や口臭、便臭がきつくなります。
さらに、野良猫を保護したばかりだと警戒心が強いため、お風呂に入れられません。
体臭はシャンプーシートなどを使って臭いを減らすことができますが、口臭や便臭は体質改善から始まるので治るまでに時間がかかります。
筆者が野良猫を保護した時は、石油のような臭いと獣臭さが混ざったような臭いがしていて、シャンプーを数回しないと取れませんでした。
野良猫を飼うデメリット④保護した際に数万円かかる
「野良猫は連れてくるだけだからお金はかからない」と思うかもしれませんが、動物病院代などを含めると金銭的な負担は大きいです。
最初にかかる医療費だけで10,000〜25,000円ほど、飼うための初期設備・避妊去勢手術なども含めると50,000〜100,000円ほどかかる場合もあるでしょう。
他にも野良猫が何らか病気にかかっていて通院が必要な場合もあるので、野良猫を保護するためにはまとまったお金が必要になります。
野良猫を飼うメリット
ここまで、野良猫を飼うデメリットをお伝えしてきましたが、もちろん悪い事ばかりではありません。
野良猫を飼い始めて良かったと思えることを、筆者の経験を含めて3つご紹介します。
1.猫が幸せになる
野良猫が住む外の環境に比べると、室内はご飯もあって安全で寒くも暑くもないのでとても快適です。
「外の方が自由なんじゃないか?」という意見もありますが、実際に野良猫を飼い始めると室内の方が幸せだとわかる以下のような大きな変化がありました。
- 早食いしていたが、段々ゆっくりと噛んで食べるようになった
- ストレス性のハゲが治ってきた
- のびのびと寝るようになった
また、怪我をしたり感染症にかかったりしても治療できる可能性が高いため、野良猫よりも長生きできます。ぜひ一日でも長く猫を幸せにしてあげてください。
2.慣れると心を開いてべったり懐いてくれる
飼い始めた頃の野良猫の警戒心は強いですが、安心すると徐々に心を開いてくれます。わかりやすく変わる態度がうれしく、本当に愛おしいです。
個体差がありますが、筆者が保護した猫は飼い始めて2〜3ヶ月で距離が近くなり、半年経つ頃には何をしても怒らない良い子になっていきました。
猫の雰囲気が柔らかくなって、徐々に仲良くなれるところも、野良猫を飼うメリットです。
3.飼い主の生活が豊かになる
野良猫に限った話ではないかもしれませんが、猫が生活の中に溶け込むことで、今までよりもっと生活が豊かになります。
家に帰ると猫が「おかえり」と挨拶したり、寒い時期にはお布団の中に入ってくることもあり、少なくとも筆者は野良猫を迎え入れて本当によかったと日々感じています。
まとめ
今回は、野良猫を飼う前に知りたいデメリットとリスクを中心に筆者の経験談を踏まえてご紹介しました。
野良猫を飼う最大のリスクは病気です。猫は本能的に体の不調を隠すので元気そうに見えても病気を抱えていることがあります。
野良猫との生活はとても幸せですが、動物を保護することには責任がついてきます。
今後野良猫を飼おうと思っている方は、そのリスクや悪い面にもきちんと目を向けて、十分な覚悟を持った上で飼育を始めてください。