【獣医師監修】パグの好発疾患と日常生活で注意したい4つのポイント

2024.07.30
【獣医師監修】パグの好発疾患と日常生活で注意したい4つのポイント

パグは、その平たい鼻とコミカルな表情が特徴的な犬種です。鼻ペチャの犬種は短頭種と呼ばれ、コアなファンが多くついています。

しかし、その身体的特徴から、パグにはかかりやすい病気や、発症リスクが高い病態がいくつかあります。

今回の記事では、パグの好発疾患と、それをふまえて飼い主さんが日頃気をつけたいことについて、獣医師が詳しく解説していきます。

この記事の目次

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パグの基本情報

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パグの歴史

パグの歴史には諸説ありますが、チベット原産という説が有力で、紀元前2000年頃には存在していた歴史ある犬種だとされています。当時は現在よりも大型で、その後チベットの僧院で飼育され、チベタン・スパニエルやペキニーズなどとの交配で小型化されたと考えられています。

パグの身体的特徴

鼻ぺちゃな顔に、胴は短くてがっしりとしたスクエアで、胸が深く脚はまっすぐです。
体高は20cm~25cm程度、体重は約6kg~8kgが理想とされています。
パグの毛色には、シルバー、アプリコット、フォーン、ブラックがあります。

パグの性格

明るくて愛情深く、飼い主さんと一緒に遊ぶことが大好きです。穏やかな性格で警戒心も弱いので、知らない人にもすぐ懐き、子供の遊び相手としても最適でしょう。

逆に、長時間ひとりで留守番するのは苦手で、吠え声も小さいので番犬としてはあまり期待できません。

パグの好発疾患

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パグにおける好発疾患の特徴としては、呼吸器疾患が多いことが挙げられます。
これは、人間がパグの鼻を短くするように改良した結果なのですが、それによって体温の放散や酸素の取り込みなど、命に関わるような機能に障害が出やすくなりました。

どのようなものがあるのか紹介していきます。

短頭種気道症候群

【症状】
ガチョウのような呼吸音、呼吸困難、興奮、発熱など
【原因】
軟口蓋過長症、鼻腔狭窄、扁桃腺腫大、喉頭の反転小嚢、声門狭窄、喉頭や気管の虚脱などの先天的な解剖学的異常によって上部気道が狭くなる。
【備考】
興奮時の窒息、失神、熱中症、睡眠時の窒息などの病歴を有する。何が原因となっているかを正確に把握し、外科手術を行うべきである。

壊死性髄膜脳炎

【症状】
痙攣発作、意識低下、旋回行動、頭部の押し付け、失明など
【原因】
原因は不明であるが、遺伝的要因が示唆されている。
【備考】
一般的にパグ脳炎と呼ばれる。

熱中症

【症状】
高体温、パンティング、粘膜が赤くなる、迅速な処置を行わないと意識混濁、痙攣など
【原因】
短頭種気道症候群などの素因によって体温の放散が上手くいかないことによる。
【備考】
熱中症は病気ではないが、短頭種では注意すべき病態である。

乾性角結膜炎

【症状】
結膜浮腫、眼瞼痙攣、軽度の瞬膜突出、眼脂(透明~黄色の粘性)、慢性となると色素沈着、角膜潰瘍など
【原因】
パグは涙腺や瞬膜腺の無形性が先天的に見られる場合がある。
【備考】
頭部打撲などによる涙腺炎や瞬膜腺炎によっても引き起こされる。

変性性腰仙椎(ようせんつい)狭窄症(馬尾症候群)

【症状】
腰部~尾根部の疼痛、排便時に鳴く、排便困難、歩様異常、活動性の低下など
【原因】
加齢に伴う腰仙椎間の狭窄や骨架橋によって脊髄を始めとする神経が圧迫されることによる。
【備考】
脊髄から末梢神経が束のように分岐する部位の疾患であり、神経束が馬の尻尾のように見えることから馬尾症候群とも呼ぶ。

肥満細胞腫

【症状】
皮膚のしこり
【備考】
黒い毛色のパグでは良性の肥満細胞腫が発生しやすい。

大動脈小体腫瘍(ケモデクトーマ)

【症状】
浮腫、腹水、胸水、失神、呼吸困難、不整脈、運動不耐性(疲れやすい)など
【原因】
慢性的な低酸素が発生誘因と考えられる。
【備考】
シニアは特に注意。心タンポナーデが発生すると緊急処置が必要。

パグの飼い主さんが注意したい4つのポイント

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パグは特徴的な外見をしている犬種であり、その分苦手なことも多くあります。

かかりやすい病気の傾向から、日頃注意したい点をまとめました。日常生活を見直し、改善できるところは改善して病気の早期発見に繋げましょう。

1. 散歩コースに注意して眼に傷をつけない

眼が大きくて突き出ているパグは、例えば散歩中に草むらに顔を突っ込むだけでも角膜に傷がつく可能性があります
犬はニオイで情報を集めるため、どうしても色々なものに顔を近づけてニオイを嗅ぐ必要があります。

散歩のコースに固い葉が茂っている箇所などがあれば、そこを避ける工夫が必要です。

2. 排便の様子をチェックし、腰痛の確認

パグは、腰の骨に異常が見られることもよくあります。
歩き方や活動性の低下などによって、腰の痛みを察知することはできますが、犬は本能的に体調不良を隠すことも珍しくありません。

そんなときは排便の様子を確認し、力むときに変な声で鳴かないか、最近排便回数が減っていないかなどをチェックしてみてください。
また、痛みがありそうだからと、むやみに腰付近を押すことは避けましょう。

3. 熱中症には細心の注意を

パグを始めとする短頭種で、最も注意しなければならないのが熱中症です。
特に、体毛が黒いパグは熱がこもりやすく、大変危険です。

夏場の高温多湿な時期はクーラーを有効に使い、外に出る時間は早朝や夕方などの比較的涼しい時間にしましょう。
タオルなどを用いて首の周りに保冷剤を巻くなどの工夫も有効です。

4. 黒パグは皮膚の状態もチェック

黒い毛のパグには、肥満細胞腫が多発します。
多くは良性で悪さはしないのですが、元々肥満細胞腫は悪性の腫瘍で、脾臓などに転移します。

早期発見によって腫瘍が小さいうちであれば、局所麻酔での切除も可能かもしれません。
腫瘍をグリグリ触ることは禁物ですが、スキンシップを取る際に少し皮膚の状態を気にしてみると良いですよ。

まとめ

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パグは外観的な特徴から、様々な疾患にかかりやすい犬種です。

飼い主さんが犬種の好発疾患を把握しおくことで、日常生活の中で病気のリスクを減らしてあげることが重要です。

パグの飼育について分からないことがあったら、無理して自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してみてくださいね。

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