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病院で働く犬・ファシリティドッグの役割と今後の課題

2023.05.17
病院で働く犬・ファシリティドッグの役割と今後の課題

犬に癒し効果があることは科学的にも証明されています。犬を飼っているという方は、実際にその効果を実感しているのではないでしょうか。

その癒し効果を活かしたセラピー犬なども活躍していますが、その中でも高度に専門的なトレーニングを受けた「ファシリティドッグ」という犬を知っていますか?

日本ではまだ知名度は低く、限られた医療施設でしか導入されていません。ファシリティドッグは一体どんな活動をしているのか、ぜひこの記事を通して理解を深めてみてください。

この記事の目次

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ファシリティドッグドッグとは

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ファシリティドッグ(facility dog)は、病院などの医療施設に常勤して病気の治療中の子どもたちに寄り添い、精神的なケアや治療の補助を行います。

日本国内では、2010年に静岡県立こども病院で導入されたベイリーという名前のファシリティドッグが最初で、現在は4ヶ所の病院で4頭のファシリティドッグが活動しています。

セラピードッグとの違い

いわゆるセラピー犬と呼ばれる犬は、いろいろな施設を月に何度か訪問します。主な活動は「動物介在活動(Animal Assisted Activity)」で、動物と触れ合うことで、精神の安定や生活の質の向上などを目的としています。

一方で、ファシリティドッグは、特定の施設に常勤します。
主な活動は「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」で、医療行為の一環として参加するため、医療関係者によって作成された計画のもと、カルテなどの公式な記録にも記載されます。また、飼い主であるハンドラーは医療従事者であることも特徴で、早ければ生後5週間頃から約2年のほどのトレーニングを必要とします。

ファシリティドッグの役割

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以下のような活動を通して、ファシリティドッグは病気の治療をする子どもたちに付き添ったり精神的なケアをしたりします。

  • ベッドでの添い寝
  • 薬が飲めない子どもの応援
  • 食事がすすまない子どもの応援
  • 採血・点滴確保の際の応援
  • 手術室への移動の付き添い
  • 骨髄穿刺や腰椎穿刺などの処置中の付き添い
  • 麻酔導入までの付き添い
  • リハビリテーションの応援
  • きょうだい・家族のケア
  • 最期を看取るときの同席
  • 介入ケースの電子カルテ閲覧、記入
  • 緩和ケアチームに所属・会議への出席
  • ケースカンファレンスへの出席

https://sokids.org/ja/what-we-do/hospital-facility-dogs/より引用

日本の病院で活躍しているファシリティドッグたち

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現在は、日本では4頭のファシリティドッグが活躍しています。

静岡県立こども病院のタイ

静岡県立こども病院は日本で初めてファシリティドッグを導入した病院で、初代のベイリー、2代目のヨギが活躍してきました。そして現在は、ゴールデン・レトリバーの男の子のタイがたくさんの子どもたちの支えになっています。

神奈川県立こども医療センターのアニー

神奈川県立こども医療センターでは、2012年7月からファシリティドッグが常勤しています。

アニーはゴールデン・レトリバーの女の子で、2018年10月に先代のファシリティドッグから業務を引き継ぎ活動しています。

東京都立小児総合医療センターのアイビー

アイビーは東京都内初のファシリティドッグです。今までの日本におけるファシリティドッグはゴールデン・レトリバーのみでしたが、アイビーが初めてラブラドール・レトリバーのファシリティドッグとなりました。

国立成育医療研究センターのマサ

マサは2021年7月に着任し、日々さまざまな活動をしています。
病院のホームページでは、マサの業務日誌が公開されています。実際にどのような活動をしているのか興味のある人はぜひ訪問してみてください。

マサの業務日誌
https://www.ncchd.go.jp/hospital/support/facilitydog/gyoumu/index.html

ファシリティドッグの今後の課題

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日本においてファシリティドッグの普及を進めるためには、いくつかの課題を解決していかなければいけません。

金銭的な負担の解消

ファシリティドッグを導入するとなると、犬のフードや健康診断、トレーニング用品、ハンドラーの人件費など、年間1000万円ほどかかります

すでに導入している病院も寄付に頼っている部分が大きいため、アメリカと比べると寄付文化が浸透していない日本では負担が大きく、気軽に導入するのは難しいのが現状です。

認知度の向上

日本ではまだファシリティドッグの存在は一般に知られていません。また、医療現場に犬が入ることに理解を得ることも難しく、普及が進まない原因の一つでもあります。
しかし、衛生管理は徹底していますし、すでに導入している病院の例を見ても効果的であることは明らかでしょう。

ファシリティドッグの存在と有用性が広く知られるようになれば、金銭的な課題も少しずつ改善し、より多くの病院で導入が進むのではないでしょうか。

最後に

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闘病中の子どもたちが安心して治療に専念する上で、ファシリティドッグはとても大きな存在です。しかし、日本においてはその知名度は低く、金銭的な理由などにより広く普及するようになるにはまだ時間がかかるでしょう。

ファシリティドッグの普及のために、私たちができることは、その存在や役割を少しでも多くの人に知ってもらうことではないでしょうか。

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