最近テレビなどでよく取り上げられている「スナネコ」というネコの仲間をご存じでしょうか?見た目はイエネコによく似ていてとてもかわいらしく、「飼ってみたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、スナネコはあくまで野生のネコであり、一般家庭で飼育するのはオススメできません。
この記事では、最近話題の「スナネコ」についてご紹介します。スナネコを飼いたいと思っている人は、なぜペットとして飼うべきでないのかを改めて考えるきっかけになれば幸いです。
この記事の目次
スナネコのプロフィール
スナネコは、アラブ首長国連邦を中心とした中東や、アルジェリアやエジプトなどのアフリカに分布しています。スナネコという名前は砂漠地帯に生息していることに由来し、英語でも「Sand cat」といいます。
体が小さく、見た目がかわいらしいことから「砂漠の天使」の異名もあります。
スナネコの見た目の特徴
体重は約2kg〜3kg、体長は39cm〜57cmと、イエネコと比べると一回りほど小さく、世界最小級のネコの仲間です。
逆三角形の顔と大きな耳が特徴で、耳の中に砂が入らないようにたくさんの毛が生えています。
主に砂漠に生息しているため、被毛は砂漠に溶け込むようなクリーム色をしており、四肢としっぽに黒い縞模様があります。また、足の裏には長い毛が生えており、灼熱の砂から肉球を守る役割も果たしています。
スナネコの性格
見た目はイエネコに似ていることから、おとなしく人懐っこそうな印象を受けるかもしれません。しかし、スナネコはあくまで野生のネコであるため、気性が荒く、簡単に人に懐くことはありません。また、鋭い牙を持つため、安易に触れようとするとケガをする恐れもあります。
動物園では、動物と飼育員が同じ空間に入らない完全間接飼育がとられています。
スナネコの鳴き声
スナネコの鳴き声は一般的なネコが出す「ニャー」ではなく、「ギャウ、ギャウ」と少し低めで野生味が溢れる鳴き声を出します。
イエネコと比べると決してかわいいとは言えませんが、そんなワイルドなところも魅力のひとつですね。
スナネコをペットにしないで!
小さくてとてもかわいいスナネコを「ペットにしたい」と考える方もいるでしょう。見た目はイエネコによく似ているため、安易に飼えると勘違いしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、高温多湿な日本では感染症にかかりやすく、砂漠で生息していたスナネコがストレスなく生活するのは難しいでしょう。また、気性が荒く、人に懐くことはないため、イエネコのような関係性を築くことは期待できません。
現在、スナネコは絶滅危惧種には指定されておらず、ワシントン条約でも規制対象にはなっていないため、正規の手続きを経れば輸入することは違法ではありません。しかし、すでに海外から不正な手段で輸入されている事例も発生しています。
今後、さらにスナネコを飼いたいという人が増えると、密猟や乱獲により多くのスナネコの命が危険に晒されてしまいます。スナネコは簡単には飼えないことを理解し、犯罪に加担することのないようにしましょう。
動物園へスナネコに会いに行こう
日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟している動物園では、2020年に兵庫県の「神戸どうぶつ王国」と「那須どうぶつ王国」で初めて展示されました。その後、難しいとされている繁殖にも成功し、現在は約20匹のスナネコが国内の動物園で飼育されています。
スナネコに興味をもったら、「飼いたい!」と考えるのではなく、動物園へ会いに行ってみましょう。そして、スナネコが直面している問題について考えてみてください。
現在は以下の動物園でスナネコが飼育されています。
- 那須どうぶつ王国(栃木県)
- 埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
- 神戸どうぶつ王国(兵庫県)
- 長崎バイオパーク(長崎県)
- ネオパークオキナワ(沖縄県)
最後に
スナネコは「砂漠の天使」と呼ばれる通り、その見た目はとてもかわいく、魅力的な生き物です。
しかし、あくまで野生のネコであるスナネコはとても気性が荒く、人にほとんど慣れません。また、高温多湿である日本の気候は、砂漠で生息していたスナネコにとって過酷な環境であり、感染症に罹患してしまう危険もあることから、ペットとして飼うことは難しいでしょう。
幸いなことに、多くの人の努力によって日本の動物園でもスナネコを見ることができます。スナネコと会いたくなったら、ぜひ動物園へ足を運んでみましょう!