ペットフードは、大切なペットの健康を維持する上で大切な役割を果たします。それぞれのペットに適した栄養を与えることが重要ですが、目的によっていくつかの種類に分類されていることはご存じですか?
正しい知識を持たずにフードを与えていると、必要な栄養素が不足してしまうこともあります。ペットが少しでも長く健康でいられるよう、ペットに与えるフードについて十分に理解しておきましょう。
今回はペットフードの分類と療養食について解説していきます。
この記事の目次
ペットフードの分類
ペットフードは、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」において、その目的から以下の4種類に分類されています。
- 総合栄養食
- 間食
- 療養食
- その他の目的食
それぞれ、役割や含まれている栄養素が異なっているため、誤った与え方をしてしまうと、ペットの健康が脅かされてしまう可能性もあります。それぞれ一体どのような役割があるのか詳しく見ていきましょう。
総合栄養食
総合栄養食は、毎日の主食として与えることができ、そのフードと水だけで健康を維持できるよう、栄養パランスが整えられています。
基本的には総合栄養食のみで十分な栄養素が得られます。
間食
いわゆるおやつのことで、ご褒美やペットとのコミュニケーション手段として利用できます。ジャーキーやガム、魚肉製品、ジェル状のおやつなど、さまざまなタイプのものがあります。
与えすぎると栄養バランスが崩れ肥満につながるため、1日に与える量をしっかり管理する必要があります。
療養食
療養食は、特別に栄養バランスが調整されたフードのことです。病気の治療だけでなく、これ以上症状を悪化させないために与えることがあります。
療養食は獣医師の指導のもとで与えることが推奨されています。最近はさまざまな療養食も販売されていますが、フードの変更を希望する場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
その他の目的食
総合栄養食、療法食、間食のいずれにも当てはまらないものを「その他の目的食」といいます。総合栄養食ではないフードや栄養補給を目的としたサプリメントなどを指し、「副食」や「栄養補完食」などと表記されていることがあります。
療養食の種類
療養食といっても、病気によって栄養バランスが異なるため、違う病気用の療養食を与えてしまうと、必要な栄養が不足してしまう危険があります。それぞれの病気によってどのように栄養素が違うのか見ていきましょう。
なお、これらは一般的なものを紹介しています。フードによって細かい部分に違いがありますので、獣医師の指示に従うようにしてください。
皮膚疾患の療養食
皮膚疾患は、皮膚のバリア機能が低下し、細菌などが入り込んで炎症を起こしたり、皮膚が荒れたりすることで引き起こされます。
皮膚疾患用の療養食には、皮膚の炎症を抑制する効果があるオメガ3脂肪酸や、皮膚のバリア機能を維持するオメガ6脂肪酸が強化されています。また、アレルギーが原因の可能性もあるため、食物アレルギーの原因になりにくい原材料を使用しています。
腎臓病用の療養食
腎臓病用の療養食はタンパク質やリンの含有量を抑えています。
リンは健康な動物にとってはとても重要な栄養素ですが、腎臓病を患うと血液中のリン濃度の調節がうまくできず、リンの濃度が高くなり腎臓への負担がさらに高まるため、腎臓病を患っている場合には摂取を控える必要があります。
心臓病の療養食
心臓病を患っている動物にとって、ナトリウムを摂取しすぎてしまうと心臓への負担がさらに高まります。そのため、心臓病用の療養食はナトリウム量が制限されています。
尿路結石用の療養食
尿路結石の原因は、マグネシウムやカルシウム、ナトリウムなどのミネラルです。そのため、尿路結石用の療養食にはこれらの栄養素が制限されています。
肥満用の療養食
体重を減らそうとしてフードの量を減らしてしまうと、他の重要な栄養素が不足してしまいます。そのため、肥満用の療養食は低カロリーながら必要なタンパク質やビタミン、ミネラルを十分に摂取できるよう調整されています。
回復食
病気の回復期や手術後などに与える療養食で、カロリーと栄養素を多く含んでいます。
異なる動物のフードは与えない
ドッグフードとキャットフードは見た目もよく似ており、犬にキャットフードを、猫にドッグフードを与えてもいいのでは?と考える人もいるかもしれません。しかし、必要な栄養素は動物によって異なるため、その動物専用のフードを与えなければいけません。
例えば、食事やサプリメントからの摂取が必要な必須アミノ酸だけ見ても、犬は10種類なのに対し猫は11種類です。他にも、肉食動物である猫は犬よりも多くタンパク質を摂取する必要があります。また、体内でビタミンCを合成できないモルモットは、食事からビタミンCを摂取しなければいけません。
このように、必要な栄養素は動物によって異なるため、専用のフードを与えることが大切です。
最後に
人に飼育されているペットは自分で食事を選ぶことはできません。飼い主が正しい知識を持たずに餌を与えてしまうと、栄養失調になってしまったり、逆に肥満になってしまったりします。
何のために与えているか、与えているフードの種類や量は適切かどうかを改めて確認してみましょう。