猫を飼っている方は、愛猫のお腹を見て、「タプタプだなあ」「おデブだなあ」と思ったことがありませんか?
しかし、もしかしたらそのタプタプお腹、太っているわけではなく、「ルーズスキン」と呼ばれる猫の皮膚の特徴かもしれません。
今回の記事では、猫のお腹をタプタプに見せる「ルーズスキン」について詳しく解説します。
この記事の目次
ルーズスキンとは
ルーズスキンは、「後ろ足の付け根からお腹の真ん中あたりまでタプっとしている皮膚」のことを言います。
ルーズスキンの「ルーズ(loose)」は、英語で「しまりがない様子」を表します。
ただし、「ルーズスキン」という言葉は和製英語で、正式な英語では「プライモディアル・ポーチ(primordial pouch)」と呼ばれます。primordialは「原始的な」という意味で、pouchは「袋」という意味です。
猫以外でも、ライオンなどのネコ科動物によく見られる特徴で、猫の中でも特に野生に近い猫ほどルーズスキンを持ちやすいとされています。
ルーズスキンの役割①腹部の安全を守るため
猫のお腹にルーズスキンがある理由は諸説ありますが、一番有力なのは「致命傷を避けるため」というものです。
例えば、喧嘩の時に噛まれても、ルーズスキンのおかげで内臓までは届きにくいのではないかと言われています。
ルーズスキンの役割②足を動きやすくするため
猫は、高いところへ飛び上がったり、体をひねったりと、アクロバティックな動きをする動物です。
ジャンプする時に皮膚が引っ張られないようにして、足を動きやすくするためとも考えられています。
ルーズスキンの役割③食いだめするため
野生の世界では、いつでも必ず食料が手に入るとは限りません。狩りに失敗すれば、1日中ごはんが食べられないこともよくあります。
そのため、獲物が手に入ったときには、食べられるときにできるだけたくさん食べておけるように、お腹の皮膚にゆとりができたのではないかという説もあります。
脂肪なの?ルーズスキンなの?
タプっとしている部分をつまんでみた時に、脂肪なのか皮膚なのかが感触としてわかるはずです。
肉が詰まっていれば、それは脂肪。つまり、太っているということになり、食事量や運動量が適切でない可能性があります。
中身がなくて皮膚だけが伸びるようであれば、ルーズスキンだと考えられます。
見分けられないと危険!
ルーズスキンなのか、脂肪なのかをきちんと見分けられないと、猫に合わせた適切な飼育ができない可能性があります。
例えば、本当は脂肪なのにルーズスキンだと勘違いして生活を見直さないままだと、肥満が進行して様々な病気の原因となります。
逆に、本当はルーズスキンなのに太っているのだと勘違いしてしまうと、食事量を不必要に減らしてしまうなど、不適切な対処をしてしまう恐れがあります。
よくわからない場合は、無理に自分で判断しようとせず、獣医師さんに相談してみましょう。
避妊手術後のたるみの可能性も
メス猫は、避妊手術の際にお腹を開いた後、同じようにお腹がダボっとすることがあります。また、ホルモンバランスの影響でお腹がたるむこともあるようです。
これらは、ゆっくりと作られていくルーズスキンとは違って、短期間でできるようです。
思わぬ病気に気付けるかも!?
ルーズスキンなのか、脂肪なのかを見分けるためにお腹を触ることで、お腹に水が溜まってしまう「腹水」や、しこりなどの存在に気づけることがあります。
猫のお腹を定期的に触ってみて、簡単な健康チェックをしてあげましょう。
少しでも気になることがあれば、なるべく早く動物病院に連れていくことをおすすめします。
ルーズスキンが発達しやすい猫種
先述した通り、ルーズスキンは野生に近い猫ほど発達しやすいと言われています。
特に、ベンガル、ピクシーボブ、エジプシャンマウ、アメリカンショートヘアなどは、ルーズスキンがあるのが普通とされる猫種で、ルーズスキンの大きさがキャットショーで評価基準になることもあります。
子猫だと目立たない
子猫の場合は、まだはっきりとルーズスキンがお腹に現れることは少ないようです。しかし、体が成長するにつれ、ルーズスキンがだんだんと目立つようになってきます。
性別差はある?
オス猫の方が体が大きいため、ルーズスキンも目立ちやすい場合が多いですが、ルーズスキンの有無に性別差はありません。
メス猫であっても、ルーズスキンがかなり目立つ猫もいるようです。
まとめ
今回は、猫のお腹にある「ルーズスキン」についてご紹介しました。
知らないと太っているのかと勘違いしてしまいそうですが、ルーズスキンは猫が野生生活の中で手に入れた重要な特徴だということがわかっていただけたのではないでしょうか。
自分の飼っている猫のお腹を触ってみて、脂肪なのか、ルーズスキンなのか、適切に見極めることが猫の健康を保つ上で重要でしょう。