愛猫は大切な家族だからこそ、最期のお別れについて考えてみませんか?猫は人よりも寿命が短いため、どうしてもほとんどの飼い主さんが最期を見届けることになります。
準備や心構えがあると、少しは落ち着いてお別れの時間を過ごせるのがメリットです。
今回は、筆者が19歳の愛猫りんごちゃんを見送った体験談もお伝えします。
この記事の目次
いつかは別れが来ることを心に留めておく
大切な愛猫とはいつかは別れがきます。猫の平均寿命はおよそ15歳。たとえ寿命を全うしたとしても、人よりもずっと早く天国に行ってしまいます。状況によっては突然の病気や事故で亡くすケースもあるかもしれません。
誰も想像したくない事実ですが、最期まで面倒を見ることが飼い主さんの役目でもあるのです。「いつかは愛猫との別れが来る」と心に留めておくことで、今一緒にいる瞬間をさらに大切にすることができます。
ちなみに筆者の猫は19歳でした。心臓疾患や腫瘍などがありましたが大変長寿だと思います。一緒に暮らした19年は、何物にも代えがたい大変豊かなものでした。
亡くなる前後のことを決めておく
病気や高齢の猫の場合、動物病院で最期まで看てもらうか、家に連れて帰って看取るかも決めておくといいでしょう。
最期まで手を尽くしてもらいたい、治療をしてもらいたいと思う飼い主さんは、獣医師に看てもらうという選択肢もあります。危篤になった際は連絡をもらえるか、最期に立ち会えるかどうかも確認しておきましょう。獣医師にも相談しながら、飼い主さん自身の希望もしっかり伝えてください。ただし、動物病院の場所や時間などによっては、臨終に間に合わないかもしれません。
家で看取る場合、愛猫の状況によっては苦しそうな様子を見る可能性があります。慣れていない人は、ショックを受けるかもしれません。しかし、自分の腕の中で看取りたい方にはおすすめの方法です。
葬儀方法を決めておく
愛猫が亡くなった場合、どのような葬儀を行うかも事前に決めておくことをおすすめします。いざという時にも慌てずにすむのがメリットです。
愛猫が亡くなってからペット葬儀会社を探すと、どうしてもバタバタになります。すると愛猫と最期のお別れをする時間が少なくなってしまうのです。葬儀方法は、家族や同居している方とも話し合っておくといいでしょう。
ここからは、一般的な葬儀方法の種類をご紹介します。お家の事情や飼い主さん、家族の思いも合わせて納得できる葬儀の仕方を決めておきましょう。
亡骸を庭に埋める
一戸建ての持ち家で、今後引っ越す予定がない方なら庭に亡骸を埋める方法もあります。ただし、埋め方が不完全だと、悪臭がしたり野生動物に掘り起こされたりする恐れがあるのでおすすめできません。かなり深く掘る必要があり、現実的ではない方法です。賃貸の場合はできないのでご注意ください。マンションの敷地などに埋めるのもNGです。
持ち家の庭に愛猫との思い出がある場合は、葬儀会社で火葬してもらった遺骨を埋める方法があります。埋めた場所がわかるように、ペット用のお墓を設置してもいいでしょう。遺骨ならそれほど深く掘る必要もなく、悪臭などの心配もありません。遺骨を庭に埋める場合も、一戸建ての持ち家に限ります。
自治体に依頼する
自治体でも愛猫の火葬を依頼できます。ただし、ほとんどの場合お骨は戻らず、共同墓地に葬ることになるでしょう。火葬に立ち会うこともできません。
自治体に依頼する場合の大きなメリットは費用の安さです。一部の自治体では、個別火葬を行っています。事前に公式サイトで確認してみてください。
ペット移動火葬の葬儀会社に依頼する
ペット移動火葬は、特別な炉が付いた車が家まで来て自宅周辺で火葬してくれます。365日24時間来てくれるのがほとんど。深夜に亡くなった場合や車の運転ができない場合でも安心です。ちゃんとした葬儀会社なら、ニオイや煙などが出ない火葬車を使っています。火葬後の供養方法もさまざま。合同で埋葬したり、遺骨を骨壺に入れて返却したりしてくれます。火葬に立ち会える場合もあります。
ただし、悪徳業者も存在するので、口コミをしっかり確認しましょう。さらにあらかじめ相場を確認した上で見積もりを取ると安心です。
筆者は10年前に愛犬が亡くなった際、ペット移動火葬に依頼したことがあります。かかりつけの動物病院に紹介してもらったペット葬儀会社が、移動火葬にも対応していたためです。トラブルもなく、料金も適正でした。
ペット葬儀会社に依頼する
ペット葬儀会社で火葬してもらう方法もあります。愛猫の亡骸を自分の車で運びますが、ほとんどの場合、葬儀会社の車で迎えに来てもらうことが可能です。ペット霊園なら、お坊さんによる法要も行ってくれるところもあります。事前に見学ができるペット葬儀会社もあるので、何社かチェックしておくのもおすすめです。
火葬方法は「個別火葬」「立ち合い火葬」「合同火葬」があります。個別火葬は、愛猫だけを火葬する方法で他のペットと一緒ではありません。立ち合い火葬は、人と同じように火葬中は待機し、火葬後に収骨をします。合同火葬は、他のペットたちと一緒に火葬する方法です。合同火葬の場合、愛猫のお骨は持ち帰れません。共同墓地に葬ることになります。
愛猫とのお別れ時間を
愛猫が亡くなったら、静かに声をかけながら体を撫でるなど最期のお別れをします。体の汚れは湿らせたタオルやペット用ウエットティッシュなどで取り除き、毛並みも整えてあげましょう。便や尿が出る場合があるので、オムツをしたりペットシートを敷いたりしておくと安心です。目が開いていたらそっと閉じてあげましょう。
死後硬直が始まる前に、足は軽く折り曲げておきます。夏場は冷房が効いた涼しい部屋に安置してあげましょう。保冷剤も側に置いておくと安心です。
愛猫を19歳で見送った筆者の場合
筆者の愛猫りんごちゃんは、2024年4月1日の夜、19歳で天国に行きました。おそらくは年齢によるものだと思います。数日前までフードも良く食べ、ローテーブルや椅子に飛び乗るくらい元気だったので、「20歳を超えるのでは」と期待していた時期でした。
突然の別れ
夜10時ごろ突然倒れたあと、息が荒くなり深夜1時ごろ虹の橋を渡りました。倒れた時は夜間救急の動物病院に連絡するか悩みましたが、おそらくは間に合わないと判断。移動の負担もあるので、家で看取ろうと決意しました。
最期は少しあえぎましたが、あまり苦しむ様子もなく息を引き取りました。離れて暮らす大学生の息子も、LINEのビデオ通話で見送れたのが本当に良かったと思っています。4歳のときから一緒だったので、猫に見守られて成長したようなものです。就職が決まり、猫は自分の役目が終わったと思ったのかもしれません。
ペット葬儀会社は事前に決定していた
亡くなって深夜2時近くになっていましたが、24時間OKだったのでペット葬儀会社に連絡しました。葬儀会社は、かかりつけの動物病院の紹介です。猫の平均寿命を超えた16歳のとき、ペット葬儀会社のパンフレットをもらっておきました。
信頼できる獣医師の紹介という点はもちろん、24時間対応で送迎が可能である点も選択の大きなポイントです。立ち合い火葬で骨壺に遺骨を入れて持ち帰る方法に決めておきました。
一晩かけてお別れ
亡くなってすぐ葬儀会社が来ると思ったのですが、翌朝9時過ぎに迎えに来るということでした。最後の夜を一緒に過ごせたので、ゆっくりお別れができたと思います。
まずはオムツをつけて、目やになどをふき取ってあげました。亡くなったのに温もりがあり、被毛もフワフワで、今にも息を吹き返しそうに思えてしまいます。つい何度も声をかけましたが、当然目を覚ますことはなく、本当に逝ってしまったとじわじわと悲しみが襲ってきました。
足は軽く曲げておきましたが、思っていたよりも死後硬直は進まず、ずっと柔らかかったのが意外でした。ほとんど眠れないまま、結局ペット葬儀会社がくる時間ギリギリまで撫でていたと思います。
生きていた証が欲しく、被毛やヒゲを少しカットしてファスナー付きのビニール袋に保存しました。筆者の場合、亡骸と一晩一緒過ごした時間がペットロス回復に有効だったと実感しています。
ペット葬儀会社からは「箱に入れるように」といった指示は特にありませんでした。お気に入りの敷物とバスタオルで包んだ状態でしたが、「それで大丈夫です」と言われ安心した覚えがあります。
ペット葬儀会社のお迎え
会社名などを表記していない一般的なセダンで迎えにきてくれました。運転するのは、丁寧な物腰のやや高齢の男性です。人当たりがいいけれどやたらと話しかけてくることもなく、気が楽でした。自宅から葬儀場までは約30分です。
立ち合い火葬
火葬の前に、お線香をたいて本当に最期のお別れをしました。この時になっても今にも起き上がりそうに見え、ふと「本当に火葬していいのかな」と思ったほどです。最後の姿の写真を撮る時間なども設けてくれて、ありがたいと実感しました。
ぼんやりと窓の外を眺めながら火葬を待っていると、ミルクティーを葬儀会社の人が入れてくれました。一口飲んだ瞬間、心に沁みるような温かさと甘さに涙が溢れたのを覚えています。「寂しいですよね」と慰めてもらいました。
収骨
火葬は1時間ほどで終わり、収骨をしました。かぎしっぽだったりんごちゃん。骨も小さなかぎの形になっていたのが印象的でした。収骨は、葬儀会社の人も手伝ってくれて、小さな骨も一つ残らず骨壺に入れることができました。春らしいピンク色の骨壺カバーに入れてもらいました。
二度と肉体が戻らない悲しさと、無事に火葬できたという安堵の気持ちが交差した不思議な感情に包まれていたと思います。
帰宅
帰りも30分かけて車で送ってもらいました。タクシーでの往復を考えると、送迎付きで火葬と骨壺、骨壺カバーを入れて3万円程度で済んだのは良心的な価格です。ペットが亡くなると、しっかりした判断ができない場合もあります。優しいスタッフがいて、良心的な価格の葬儀会社を選ぶべきと実感しました。
思う存分悲しむ
今まで愛犬愛猫を何匹か見送ったにもかかわらず、やはりペットロスになりました。何もしなくても涙がこぼれ、眠れない夜が続き困ったことも。しかし、我慢せず写真を見て思い出しては泣き、気がすむまでお線香をあげて花を飾り続けました。存分に悲しんでいると、時間が少しずつ癒してくれるのは確かです。
虹の橋で楽しく遊んでいるはずなので、ときどき思い出すことが供養だとようやく気持ちが前向きになってきています。
ストックしていたフードは人に譲り、トイレも処分しました。ただ、冬に使っていた愛用の敷物だけは捨てられません。寝ていた様子を思い出すと、汚れすら愛おしく洗うこともできないままです。無理せずずっと持っておこうと思っています。
まとめ
愛猫を看取るのは大変辛いことです。しかし、大切な愛猫の最期をしっかり見届けてあげるためにも、事前に見送り方を決めておくことをおすすめします。そうすると、お別れの時間もたくさん作れるのがメリットです。
筆者は19歳と長生きしてくれた愛猫を見送り、ペットロスにもなりました。しかし、ほんの少し準備をしていたおかげで落ち着いて行動できたと実感しています。
まだ悲しみは完全に癒えていませんが、愛猫と暮らした日々を胸に前向き生きていこうと思っています。ご参考になれば幸いです。