猫が飼える賃貸住宅探しは、意外に大変です。物件数が少ないだけでなく、一般の住宅よりも家賃が高かったり、敷金が高かったりします。
今回は、猫が飼える住宅探しに苦労した筆者が、物件の探し方や見るべきポイントを解説します。愛猫と暮らせる家が見つかれば、苦労も吹き飛びますよ。
この記事の目次
猫飼育可能物件は初期費用がかかる
まず知っておきたい点として、猫が飼える物件のほとんどが、初期費用が多めにかかるということ。特に一般の物件より敷金が高めです。汚れや傷がつきやすいため仕方ないことではありますが、出費は増えます。
「敷金ゼロ」と書いてある物件でも、「猫を飼う場合は3ヶ月」などとなるケースがほとんどです。引っ越しが必要な場合は引っ越し費用もかかるため、ある程度の出費を覚悟しておいた方がいいでしょう。
物件の探し方
今はインターネットでたくさんの物件がチェックできるのですが、不動産屋さんに行くと掘り出し物件もあるようです。
インターネットの不動産サイトで探す
不動産会社のサイトや不動産の総合情報サイトなどで探すのもおすすめです。ペットの飼える物件に特化したサイトもあります。
「猫飼育可」のほか希望の家賃、部屋の広さなどを入力すると候補となる物件が出てきます。ペット専門のサイトは、いちいち「ペット可」「猫可」を入れずにすむので便利です。最近は3Dなどで物件をチェックできるところもあり、より物件の雰囲気を実感しやすいでしょう。
コロナ禍では、インターネット内見などもあったようです。しかし、条件や雰囲気は良さそうでも、実際に物件を見ないとわからないことがたくさんあります。必ず自分の目で見て決めることをおすすめします。
不動産屋会社に直接問い合わせる
インターネットが発達した今でも、直接不動産会社を訪ねるのもおすすめです。掘り出しものが見つかるかもしれません。ただし、大きな不動産会社は予約が必要な場合もあるのでご注意ください。
地元密着の小さな不動産屋さんは、いきなり訪ねても大丈夫なところが多いようです。以前地元の不動産屋さんの窓に貼られた物件案内が気になって眺めていたら、中から社長が出てきて声をかけてくれました。要望を伝えたところ、なんとすぐに内見させてもらえたのです。
結局そこには決めなかったものの、大変親身になってもらえて心強かった覚えがあります。インターネットの不動産サイトで探すのと合わせて、不動産会社にも相談してみてください。
ジモティーで探す
実は今筆者が住んでいるペット可の物件は、ジモティーで探しました。アパートを管理している大家さんが、ジモティーで募集をかけていたのです。条件がぴったりだったので、すぐに内見しました。SNSなどでは「危険」などの意見もありましたが、今のところ大きな問題はありません。大家さんも大変いい方で、入居祝いに猫のトイレをプレゼントしてくれました。
ジモティーでは、「DIY自由」となっている古い一戸建て住宅もありました。自分でDIYができる人なら、お得に住めるかもしれません。
猫が飼える賃貸住宅の種類
猫が飼える賃貸住宅といっても、いくつか種類があります。一長一短なので、ご自分の経済状況や猫の状況に合わせて選ぶ必要があるでしょう。
猫飼育専用の住宅
なかなかお目にかかれませんが、猫飼育専用の賃貸住宅があります。2024年8月には、URでも猫飼育専用住宅の賃貸が始まりました。
壁にキャットウォークや隠れ家がある、傷がつきにくい壁紙や畳を使っているなど至れり尽くせりです。キッチンに猫が入れないようになっているものの、飼い主は猫の様子を確認できる仕様など、猫の安全に配慮されています。賃貸ながらDIYも可能で、猫の飼い主にとってはかなり嬉しい仕様です。
URの猫専用住宅は、2匹まで飼育できるのも大きな特徴でしょう。物件数そのものは少ないのですが、出会えればかなり幸運です。今後も増えていくことを期待します。
ペット共生住宅
猫が飼える賃貸住宅には、ペット共生住宅もあります。人とペットの共生を目指す住宅で、URやヘーベルハウスなどが有名です。入居者同士の交流ができる物件も多いので、悩み事などを共有できるのもメリットですね。
室内にペット用トイレ置き場がある、共有スペースに足洗い場や汚物を捨てる流しがあるなど、きめ細かく配慮されています。物件数が少なく、家賃はやや高めの傾向ですが、経済的に余裕がある場合は、特におすすめです。
途中からペット可になった住宅
一般的な物件を、さまざまな条件を緩めてペット可にした住宅です。やや古い物件や駅から遠いなどの物件に多く、入居者を増やすための策だと考えられます。特にペットのために特化した設備はありませんが、家賃は手頃なのでリーズナブルに暮らせるのがメリットです。
ただし、壁に爪とぎ防止シートを貼るなど、対策も必要になります。ベランダに猫の敷物を干す際は、毛が飛ばないようにするなどの配慮も大切です。
ペット相談可
「ペット可」と紛らわしいのですが、「ペット相談可」としている物件もあります。文字通り、「ペットを飼うなら事前に相談してください」という住宅なので、NGが出ることもあるため注意が必要です。
実際に探していた時の感触としては、「相談可」はなぜか「小型犬のみOK」となっているケースが多かった印象です。大家さんに迷いがあるのかもしれません。猫が好きな大家さんなら、すんなり許可がおりる可能性もあります。ペット相談可もペット可同様、抜け毛が飛び散らないようにするなど他の住民への配慮が必要です。
内見時のチェックポイント
良さそうな物件が見つかったら必ず内見しましょう。複数候補をあげておくと、メリットやデメリットを比較できます。猫を飼う視点でのチェックポイントについて、筆者の経験談から解説します。
1. 事前に譲れない条件と譲れる条件を決めておく
猫の飼育可は当然として、飼い主自身の生活も重視する必要があります。「洗濯機は室内」など、譲れない条件を決めておくとブレません。一方で、「バストイレ別がいいけれど、良い物件なら妥協する」など、譲れる条件も決めておくと選択肢が広がります。
2. 動物病院は近いか確認
近所に動物病院があるかどうかは、大きなポイントです。飼い主の多少の不便さは目をつぶっても、動物病院が近ければ決めていいのではと思っています。
筆者の家は、かかりつけの動物病院まで徒歩3分。「こまめに通院できたので長生きできた」と先生に言われました。近いと「何だか元気がない」という程度でも、連れて行こうかなという気になるのです。おかげで大病することもありませんでした。
猫の健康維持のためにも、動物病院が近い物件をおすすめします。周辺にかかりつけ以外も2件ほどあるとさらに安心です。
3. 玄関とリビングのドアがあるか
たとえワンルームタイプでも、玄関とリビングの間に扉がある物件をおすすめします。猫の飛び出し防止のためです。留守番中に玄関で猫が待っていて、開けた途端に飛び出すというリスクも防げます。ない場合は、入居後に市販のガードを付ける必要があります。
4. ガスコンロにロック機能があると安心
猫が留守中などにいたずらしないように、ガスコンロにロック機能があるかどうかも確認します。自分でコンロを買う場合は、購入時に確認してください。ただ、最近はほとんどのコンロにロック機能があるようです。
5. 窓や日当たりも確認
外を見渡せる窓があるか、日当たりがいいかもチェックポイントです。ほとんどの猫が外を眺めるのが好きなので、見晴らしのいい家はおすすめです。日当たりは秋冬にどのくらい入るかを確認した方がいいでしょう。夏の日当たりはほどほどでいいかと思います。
筆者の家は南西角部屋のため日差しが強く差し込み、夏の温度調整に苦労しました。実際、猫を熱中症にしてしまったほどです。内見時の季節にもよりますが、物件の位置などをよく確認することをおすすめします。
6. 車があれば駅から遠くてもOK
車移動がメインの方は、駅から遠い物件でも大丈夫です。家賃も安くなりますし、きれいな物件が多かった記憶があります。買い物ができて動物病院もあるのなら駅から遠い物件も視野に入れると、選択肢が広がるでしょう。
7. 住宅の共有部分を確認
部屋の中だけでなく、階段やエレベーター、ゴミ捨て場などの共有部分の確認も必要です。ゴミが散乱している場合は、住民のマナーがよくないと考えられます。場合によっては、せっかく猫が飼える住宅を見つけたのに、アパートの住人のせいで早々に退去という残念な結果になりかねません。ゴミ捨て場が汚い場合は、管理が行き届いていないか、管理が追い付かないくらい住民のマナーが良くないと予想できます。
実際、条件が良さそうなマンションを見つけたのですが、外廊下に吸い殻が何本も落ちているのを見てやめたことがあります。
8. 近所も確認する
内見後は、時間帯を変えて近隣を歩いてみてください。特に女性は、夜間の状況のチェックをおすすめします。街灯が明るいか、コンビニエンスストアが近いかなどは大きなポイントです。ちなみにコンビニエンスストアが近くにあると、夜間フードが必要になった際に便利です。
猫は物音に敏感なので、近くに大きな音を出す工場や線路が近くないかもチェックしましょう。
9. 家族や友達と一緒もおすすめ
自分一人で内見するより、家族や友達も一緒の方が心強いでしょう。一人だと見逃すようなことも気づいてもらえます。実際に猫を飼っている人に来てもらうのもおすすめです。契約を急ぐ不動産屋さんや大家さんもいるので、1対1になるより落ち着いて対応できます。
契約時はしっかり確認!
どのような場合でもそうですが、住宅を借りる際は契約書をしっかり確認することがポイントです。
大変恥ずかしいのですが、以前住んだ家は事情があって、ろくに確認せず焦って決めてしまいました。1年経って引っ越したいと思った際、2年未満で解約すると違約金を取られることに後から気づいたのです。おかしな住人がいたためだったので、予想外の出費となりました。契約前によく読みこんでおくこと、不明点は確認することをおすすめします。
まとめ
猫が飼える賃貸住宅探しは、なかなか手間がかかります。インターネットの不動産サイトで探したり、不動産会社を訪ねたりして、ピッタリの物件を探しましょう。ジモティーにもいい物件があるかもしれません。猫の飼育のための物件やペット共生住宅があれば、快適に暮らせるでしょう。
ペット可やペット相談可も、条件が合えば意外に心地よいもの。なにより物件をしっかり見ることが大切です。愛猫との快適な暮らしが始まったとき、苦労して見つけた甲斐があったと思えるでしょう。